予知困難な火山噴火、川内原発再稼動で住民心理に影響も

 長野、岐阜両県の県境に位置する御嶽山が27日に噴火し、多数の登山者が死亡、心肺停止になったことで、噴火予知の技術的な能力や態勢面などで、困難な要因が山積していることを印象づけました。



 年内にも再稼働するとされる九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の近くには、頻繁に噴火する桜島があり、鹿児島県の住民に心理的な影響を与える可能性がありそうです。

 しかし今回の噴火と、川内原発の審査で検討対象となった巨大噴火リスクとでは、被害規模や発生頻度が大きく違うため、安倍晋三政権は両者を同一視はできないと強調する構えです。

再稼動影響ないと政府、反対派は懸念強める

 水蒸気爆発による今回の御嶽山の噴火と、蓄積したマグマが大量に噴出し、高温の火砕流の到達距離が100キロを超える「カルデラ噴火」とは、発生頻度や被害の及ぶ範囲などの点で大きく異なります。

 気象庁によると、御嶽山は2007年3月にごく小規模な噴火を起こし、今回はそれ以来の噴火です。

 一方、火山学者によると、巨大なカルデラ噴火は日本列島ではおよそ1万年に1度の頻度で発生してきたといいます。

 日本で最後の巨大なカルデラ噴火は、約7000年前に鹿児島沖で発生しました。南九州には、鹿児島湾北部に位置し、南端に桜島がある「姶良(あいら)カルデラ」など複数のカルデラ火山があります。巨大なカルデラ噴火が発生した場合、南九州一帯に及ぶような破局的な被害をもたらすというのが定説です。


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 菅義偉官房長官は29日午前の記者会見で、御嶽山の噴火が川内原発の再稼動に影響を与えるかどうかについて「ないと思う」と述べました。菅長官は「今回は水蒸気(爆発)なので、予測は極めて難しいと言われていた」と語り、政府方針である原発再稼動に影響はないとの認識を示しました。

 一方、地元の原発反対派からは懸念の声が高まっています。1012年の鹿児島県知事選に立候補した向原祥隆氏は29日、ロイターの取材に対し「水蒸気爆発だから予測できないとか、マグマが噴き出すような噴火であったら予測できたとか、後からの説明に過ぎない」と述べ、政府の見解を批判しました。

 噴火発生の翌28日には、鹿児島市内で川内原発の再稼働に反対するデモがあり「1万人以上が集まった」といいます。鹿児島で反原発運動を主導してきた向原氏は「昨日も一昨日も、桜島はかなり噴煙を上げている。集会では、御嶽山の予測ができなかったことを多く人が触れていた」と強調しました。

 同県では、10月に川内原発が立地する薩摩川内市など5カ所で同原発の審査に関する住民説明会が行われる予定です。

巨大噴火、予測困難と火山学者

 原子力規制委員会が策定した新規制基準で初の合格となった川内原発の審査では、カルデラ噴火が近い将来、発生し、施設に影響を与えるリスクがあるかどうかが検討されました。

 その結果、川内原発の半径160キロ圏内にある複数のカルデラが同原発の運用期間中に、破局的噴火を起こす可能性は「十分に小さい」うえに、「監視によって前兆を捉えることができる」との結論に至りました。

 ただ、川内原発の審査合格が見えてきた段階で、複数の火山学者からは規制委の結論の導き方に対して、異論が聞かれました。火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣・東大名誉教授は5月下旬、ロイターの取材に対し、川内原発の運用期間中に、破局的噴火が起こるかどうかについて「起こるとも、起こらないとも言えない」と述べました。

 東大地震研究所の中田節也教授は、8月25日に規制委が開いた「原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム」の会合で、「巨大噴火の時期や規模を予測することは、現在の火山学では極めて困難」と指摘しました。

 中田教授はカルデラ噴火の前兆を捉えることができるとする点については否定しません。同教授は5月下旬、ロイターの取材に対し「数カ月前、数週間前なら確実に異常は捉えられると思う。大きな噴火なら、もうすこし長めに(前兆が)起こると思う」と述べる一方で、「それ(前兆)が数年前に起こるとか、数年前に理解できるものではない」とも語りました。

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加圧水型原子炉


 原発施設に高温の火砕流が飛んでくるようなカルデラ噴火が発生するならば、核燃料を原子炉から取り出して火砕流が届かない安全な場所に搬出する必要がありますが、数カ月間では終わらない作業です。

 規制委の田中俊一委員長は、核燃料を原子炉から取り出して輸送キャスクに入れて外部に搬出できるまでの期間について「通常の輸送は、5年程度は(川内原発など加圧水型では格納容器横の燃料ピットで)冷やしてから」と述べています。

(Reutersより転記、画像追加)

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