プロバイオティクスについて

 最近「プロバイオティクス」という言葉によく接するようになりました。スーパーで売られているヨーグルトや乳酸菌飲料などにも目立つように表示してあります。

 プロバイオティクスとは「消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用をもたらす有用な微生物と、それらの増殖促進物質」のことです。プロバイオティクス機能を持つ微生物を摂取すると、それが消化管内(口腔内や腸内)のフローラ(細菌叢)に作用し、フローラの健常化をはかりながら、疾病の予防、改善を行う、というものです。

 人間は体内の微生物のバランスを崩すと病気になるという考え方から、体内環境を整えるために、乳酸菌に代表される善玉菌を食品から摂取することで、消化器系のバランスを改善し、病気の発生を未然に抑えることができるといわれます。日本でも古い歴史があり、納豆や味噌などの発酵食品もプロバイオティクスの一種です。日本ではでは1919年に初めて乳酸菌飲料が発売され、1970年代初めにヨーグルト製品の販売が始まっています。

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 世界的にも注目が集まっています。世界のプロバイオティクス製品のマーケットは、2013年から2018年までの間に毎年7%以上の成長率で拡大するという予想もあります。市場にはプロバイオティクス関連の製品が出回り、その機能についてはいろいろあり、同時にプロバイオティクスに関するさまざまな効果とエビデンスが発表され、自分の目的に合った製品を選ぶことが可能な時代になってきています。


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 こうした中、プロバイオティクスの国際カンファレンスが、ハンガリーの首都ブダペストで開かれました。今年は前年の2倍以上の参加者があり、関心の高さがうかがえます。

 日本からも日本プロバイオティクス学会理事長である、古賀泰裕教授(東海大学医学部・感染症研究専攻)をはじめ、プロバイオティクスの研究者が発表を行いました。古賀教授は2000年に胃潰瘍や胃がんの原因とも言われるピロリ菌に対して、すぐれた抗菌作用がある乳酸菌「LG21」の研究発表をしています。

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 人間の胃の中は強い酸と消化酵素があるため、以前は無菌と考えられていました。ピロリ菌の発見はそれを根本から覆したのですが、ピロリ菌以外の細菌種については、ほとんど解明されていません。しかし、近年の分子生物学的手法を採用することで、複雑な胃内微生物の詳細な分析が可能になってきたといいます。

 今回のカンファレンスで、古賀教授は人間の胃液に存在する胃内細菌とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の関連性について研究成果の発表を行いました。

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸の分泌を抑える薬剤です。胃潰瘍や胃食道逆流症(GERD)の治療のために広く処方されています。胃酸の分泌を抑えると、理論的には、胃の内部の細菌を増殖させると推測されまが、LG21乳酸菌を摂ることで、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用している胃食道逆流症患者の腹部症状が改善されたことが観察されました。


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 3年ほど前、佐賀県の小中学生が、R-1乳酸菌を使用したヨーグルトを継続して食べたことで、インフルエンザの罹患率が大幅に下がったというニュースが報道されました。今回、この免疫力を高める乳酸菌の研究成果についても紹介されています。

 体の中には細菌やウイルスの侵入を阻み、見つけ次第、攻撃して、体の健康を維持するために働く「免疫」というシステムがあります。その中でも、とりわけ攻撃的で破壊力があるのが、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)と言われています。NK細胞の活性力が高い人ほど、風邪などの感染症にかかりにくく、1073R-1乳酸菌(以下R-1乳酸菌)は、このNK細胞の活性を高め、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防に寄与するといいます。

 山形県と佐賀県に住む健常高齢者を対象に行われた調査では、R-1乳酸菌を使用したヨーグルトと牛乳を摂取するグループを各地域2つのグループに分けて、調査しました。どちらの地域でも、1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトを食べたグループが牛乳を飲んだグループと比較すると、加齢に伴って本来低下するT細胞増殖能とNK細胞の活性が上昇し、風邪罹患リスクについては1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトを食べたグループのリスクが大きく減少したという結論が出しました。

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クレモリス菌(便秘の改善、免疫力UP、コレステロールの低下)


 ほかにも、各国の発表の中で、肥満や高血圧などのメタボリック症候群やがんなどの生活習慣病との関係についての研究発表が目立ちました。今後は、便秘や下痢などを正常な状態に戻す整腸作用や胃内の改善から、生活習慣病予防のための気軽にできる健康維持の方法として、プロバイオティクスに対する期待が高まっています。

 医師や管理栄養士に相談して、自分の目的に合った製品を選ぶことも必要だと思います。

(参考資料apital、Wikipedia等)


参考:腸内改善ラボ

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