脂質と脂肪酸

 脂質は炭素、水素、酸素で構成され、水に溶けずに有機溶媒(エーテル、クロロホルムなど)に溶ける物質です。ホルモンや細胞膜、核膜の構成成分で、臓器を寒冷や熱から守り保護する働きがあります。1グラムで9キロカロリーという、糖質やたんぱく質の約2倍のエネルギーを産生しています。また脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもあります。脂質には多種多様な物質があり、化学構造の違いによって、単純脂質(中性脂肪、ロウ)、複合脂質(リン脂質、糖脂質、リポたんぱく質)、誘導脂質(ステロール類)の3種類に分類されます。これらを構成しているのが脂肪酸です。

 私たちが摂取する脂質のほとんどがトリアシルグリセロールです。エネルギー源として使われる脂肪酸は、私たちの体内でトリアシルグリセロールとして蓄えられています。

脂肪酸の仲間
 脂肪酸は、食品中に含まれる脂質の主な成分で、動物性の脂や、植物性の油に多く含まれ、40以上もの種類があり、それぞれ特徴や働きも様々です。

 また脂肪酸はその構造によって、炭素の二重結合がない飽和脂肪酸と、炭素の二重結合がある不飽和脂肪酸の2種類があります。さらに不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分けられます。

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 脂肪酸を含む脂質は、カラダのエネルギー源であり、血液や生体膜の構成成分ですから、適正な量の摂取が必要です。

主な脂肪酸の特長

 飽和脂肪酸も不飽和脂肪酸も過剰に摂取すると肥満や高脂血症の原因になりますが、不飽和脂肪酸の中には、適度に摂取するとコレステロールを下げる働きをしたり、アレルギー症状を抑える働きがあるものもあります。

■飽和脂肪酸

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 牛・豚肉等の肉類やバターなどの乳製品などの動物性脂肪、また植物性でもヤシ油やココナッツ油等にも多く含まれています。飽和脂肪酸を多く含む油脂は常温(約20度)で固体となり、体内で固まりやすいので、血液の粘度を高めて血液を流れにくくします。飽和脂肪酸を摂りすぎると中性脂肪や動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、肥満や動脈硬化などを引き起こします。

■不飽和脂肪酸

 不飽和脂肪酸、は一価不飽和脂肪酸(n-9系)と多価不飽和脂肪酸にわけられ、さらに多価不飽和脂肪酸の方はn-3系とn-6系にわけられます。n-3系、n-6系不飽和脂肪酸は、健康を維持したり成長のために必要であり、体の中でつくることができないため食べ物からとらなければなりません。不飽和脂肪酸を多く含む油脂は、常温で液体となります。

 不飽和脂肪酸はいくつか結びついている炭素数の(n個)最後から何番目が二重結合かによって、n-9系(最後から9番目)、n-6系(最後から6番目が初の二重結合)、n-3系(最後から3番目が初の二重結合)の3系列に分けられます 。nの代わりにω(オメガ)を使っていて表示さることもあります。

・一価不飽和脂肪酸  n-9系脂肪酸

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 代表的なものがオレイン酸で、悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを減少させない働きがあります。また他の脂肪酸と比べて酸化されにくく、有害な過酸化脂質をつくりにくいのが特長です。

・多価不飽和脂肪酸 n-6系脂肪酸

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 植物油に多く含まれるリノール酸が代表的。他の不飽和脂肪酸と違い、悪玉コレステロールだけでなく善玉コレステロールも減少させてしまいます。また過剰摂取は肥満をもたらすうえ、アレルギー症状が生じやすくなるといわれています。

・多価不飽和脂肪酸 n-3系脂肪酸

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 悪玉コレステロールを減らすうえ、善玉コレステロールを増やす働きがあります。またDHAは、脳の神経組織に多く存在し、情報伝達を行う作用があるため、このためDHAが不足すると、記憶力の低下や発育不全などがもたらされ、うつ病対策にも注目されている健康油です。

脂肪酸のとり方のポイント

・過剰摂取は注意

 いくら健康に良い油でもやはり油脂は油脂です。肥満を招き、それが生活習慣病にもつながりますから、とりすぎは注意です。私たちが生きていく上で、エネルギー源として必要ですが、食生活の欧米化により、現在は特に飽和脂肪酸については過剰摂取が問題になっています。

 また多価不飽和脂肪酸もとりすぎるとよくない面があります。酸化しやすいので、体内で過酸化物質を生成し 動脈硬化を引き起こすなどの生活習慣病の原因になるとも言われています。何事も適量が肝心です。

 昔は「コレステロールを減らし、動脈硬化を予防する」と言われてリノール酸をとりましょうと盛んに宣伝していましたが、その神話は崩れてしまいました。リノール酸は、善玉コレステロールも減らす作用があったからです。今は、α-リノレン酸の方が有効とされています。

・バランスは3:4:3

 食品には、このような脂肪酸がそれぞれ異なった割合で含まれています。

「飽和脂肪酸」、「一価脂肪酸」、「多価脂肪酸」の3種類をバランス良くとることがポイントで、厚生労働省では、第六次改訂日本人の栄養所要量でこれらのバランスを3:4:3で採るように推奨 しています。

 現代の食生活では、肉類や乳製品、n-6系脂肪酸はとりすぎの傾向にあるので、どちらかというと肉や乳由来の動物性脂質に偏らないこと、不足しがちなn-3系の魚を摂取したり、植物性の油での調理をこころがける必要があるとされています。

脂肪のつにくい油?

 「脂肪がつきにくい」油も販売されています。その一つは花王で発売した食用油のエコナですが、一般の油が3つの脂肪酸で構成されているのに対し、「脂肪がつきにくい油」はジアシルグリセロールという2つの脂肪酸で構成されたものや、中鎖脂肪酸でつくられています。

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 ところが花王は、発がん可能性成分が多く含まれている疑いがあり、2009年に販売を中止しています。発がん性については食品安全委員会で審査を継続中ですが、花王は欧州食品安全機関(EFSA)に対して、エコナの主要成分であるジアシルグリセロールを摂取することで体重が減少するという健康機能表示を行いたいと申請しましたが、EFSAは、体重減少の効果は認められないという結論を出し、効能なしの烙印を押されてしまいました。

 もう一つは日清オイリオで発売されているヘルシーリセッタですが、中鎖脂肪酸を含み、「体に脂肪がつきにくい」としてトクホに認定されている食用油です。決め手となる成分は「中鎖脂肪酸」です。普通の食用油に含まれているのは、炭素が18個くらいつながった「長鎖脂肪酸」ですが、中鎖脂肪酸は炭素数がその半分の8~10個しかありません。
 この中鎖指肪酸は、長鎖脂肪酸に比べて消化吸収が4倍早く、しかも腸管から肝臓ヘ通じる門脈という血管に入って直接肝臓に運ばれて、ここでほとんどがエネルギーとして燃焼されてしいます。そのため、体脂肪として蓄積されることがないといいます。

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 しかし中鎖脂肪酸100%の油は揚げものなどの調理には向かないという難点があり、そのままでは食用油にできません。そこで日清オイリオは独自のエステル交換技術を用い、トリアシルグリセロールの脂肪酸のうちひとつを長鎖脂肪酸から中鎖脂肪酸に置き換えることで、調理にも向き、かつ体指肪のつきにくい油にしています。このれらの脂肪酸は、エネルギーとして燃焼されやすいとか、小腸で吸収されにくいなどが特長で、つまり中性脂肪がつきにくことがPRされていますが、まずは油脂をとりすぎていないか、また良質の油を適量とるという食生活の見直しが一番大切です。総脂質量の目安は、成人で1日の総エネルギーの20~25%程度が基準です。

(資料:消費者庁PDF、健康長寿NET、Aii About、花王HP、日清オイリオHP他)

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