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EDを治療するマシン「ED1000」の効果は?

薬が効かなかった人にも朗報! 衝撃波で血管新生を促す

 現在ED(勃起障害)にはバイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)といった内服薬が使われています。これらはPDE5阻害剤といって、どれも男性が興奮したとき勃起の邪魔をするPDE5という酵素を抑える働きを持っています。


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※性的刺激を受けるとNO(青い輪の部分)が生成され、これがグアニル酸シクラーゼを介してGTPがcGMPに変換されこれが陰茎海綿体の平滑筋細胞を弛緩させ、勃起が完成します。ところが、動脈硬化によって血管内皮が傷んでしまうとNOの放出が十分でなくなるため、cGMPも少なくなります。その結果勃起に障害が生じてしまいます。そのうえcGMPはPDE5という酵素に分解され、消えていく物質です。PDE5阻害剤は、このPDE5の働きを阻止することでcGMPを長持ちさせます。こうして勃起を助けます。心因性のEDでも、神経や血管は反応し効果が期待できます。


 画期的な薬には違いないのですが、残念ながら「どんなEDもこれでOK」とはいかず、効果がない人も3割くらいいるのが現状です。また、心臓病に使われる硝酸塩系薬剤などを飲んでいる人は危険なので使えません。昔バイアグラを大量にのんで病院にかつぎこまれたお笑い芸人もいました。

 そんな中「EDを治すマシン」が登場しました。薬と違って誰でも使え、今のところ深刻な副作用はまったく報告されていなません。これによって、「EDの世界で大革命が起きようとしている」といいます。



 その名はED1000―。低出力の衝撃波をビビビビッと直接ペニスに当てることで、EDを治すといいます。直接、衝撃波!? そう聞くと思わず二の足を踏むが、「低出力なのでほとんど知覚できない程度の刺激で痛みはまったくないはず」といいます。

衝撃波を使って海綿体の血管新生を促す

 もともとイスラエルで開発された機械で、2010年に初めて論文が発表されました。現在、イスラエル、インド、そして日本で臨床試験が行われており、米国でも近くFDA(食品医薬品局)の認可が下りそうな最新の医療機械です。

 衝撃波を使った治療は、1980年代に確立した尿路結石破砕術から始まります。やがて衝撃波によってサイトカイン(生理活性物質)が放出されて「新しい血管ができる」作用がわかり、今世紀に入ってから狭心症の治療などにも使われるようになりました。 ED1000はこれをED治療に応用したもので、はっきりと確認されたわけではないのですが、海綿体の血管新生効果があると推測されているそうです。実際、ペニスの血管機能が高まることも確認されたという報告があります。

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 具体的には、ペニスの5カ所に衝撃波を与える治療を20分程度行います。これを3週間で6回行い、3週間休んで、再び3週間で6回。つまり、9週間で合計12回行えば治療終了というわけです。

 2011年から帝京大学医学部で、EDに悩む50代以上の中高年を対象に臨床試験が行われました。2012年の日本性機能学会での発表によると、27人中18人(67%)に勃起の改善が見られ、15人(56%)がセックス可能になったといいます。

治療費は、某クリニックでは約40万円

 EDはさまざまな原因で起こります。甘酸っぱいチェリーボーイにありがちなのは「緊張して立たない」という心因性のもの。それに対し、年を取ると機能的な原因で立たないことが増えていきます。

 ペニスの動脈は細いので、動脈硬化の影響が真っ先に表れます。日本性科学情報センターで行われた調査によると、日本人男性では40代の20%、50代の40%、60代の60%がEDと推測されます。年齢が上がるほど増えていくのは、血管の機能が衰えていくことが原因です。ペニス(海綿体)の血管からNO(一酸化窒素)が出ることで血管が拡張しますが、動脈硬化によって血管が衰えると充分なNOが出せず、若き日のような「ピンピン」は難しくなってしまいます。

 バイアグラなどPDE5阻害剤は、あくまで「勃起の邪魔をするPDE5を抑える」ものなので、血管からNOが出なければ効果はありません。ところが、ED1000は新しい血管を作ることで血管機能を回復させるため、そういう人にこそ効きます。また、セックスのたびにのまなければいけないPDE5阻害剤と違って、「EDを根本的に治す」ことも期待できます。



 日本でED1000の輸入代行を行っているメディテックファーイーストによると、ED1000による治療を受けられるクリニックは東京、名古屋、大阪、広島の4都市でわずか6施設だけです。健康保険は利かないので自費診療です。ちなみに名古屋市の某クリニックでは、約40万円で9週間12回の治療を受け付けています。

 ED1000も万能ではなく、臨床試験を見ても効果がなかった人も意外といます。しかし中高年のED、とりわけ「血管の衰えによるED」に効果が期待できるのは間違いないそうです。何年かしたら、「ED治療にはED1000」が当たり前になるのかもしれません。

(日経Goodayより編集)
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