片足で20秒立てない人は脳卒中リスクが高い

 これを読んでいる方はちょっと椅子から立ち上がり、目を開けたまま"片足立ち"をしてみてください。もし20秒以上バランスを保つことができなければ、すでに脳血管に小さな異常が起きている可能性があります。


8da6d0a7b46289e236e3e8a7c2dd260a.jpg


 そんな研究論文が、日本の研究グループにより示され、アメリカ心臓協会の「Stroke」オンライン版に掲載されました。「片足立ち」で20秒以上バランスをとるのが難しい人は、臨床的な症状のない健康な人でも、脳内の小血管の損傷や認知機能の低下が起きている恐れがあるといいます。京都大学付属ゲノム医学センターの田原康玄氏らによる研究で明らかになりました。

 脳卒中は凝血や出血により脳の一部への血流が妨げられる病態で、身体障害や死亡の主な原因となっています。今回の研究では、1,400人弱の男女(平均67歳)に1分間片足でバランスを取ってもらい、さらに「無症候性脳卒中(silent stroke)」や微小出血を評価するMRIスキャンを実施しました。その結果、片足で20秒以上立てない場合、脳内の微小な脳卒中や出血との関連がみられたほか、思考力や記憶力の低下との関連も認められました。


 そして参加者全員の脳の小血管をMRIで検査。片足立ちのタイムとあわせて分析した結果、20秒以上片バランスを続けることができない人は、自覚症状のない脳小血管疾患や、認知機能低下のリスクが高いことが明らかになりました。


4a460237.jpg


 脳小血管疾患とは、ラクナ梗塞(細い動脈が詰まることで起こる小さな脳梗塞)や、微少出血などのことです。今回のテストで片足立ちのバランスを取りにくかったのは、次のような人でした。

●2つ以上のラクナ梗塞病変があった人の34.5%

●ラクナ梗塞病変が1つあった人の16%

●2つ以上の微小出血があった人の30%

●微小出血が1つあった人の15.3%

 米ノースショア・LIJヘルスシステム(ニューヨーク州)のRichard Libman氏は、「脳の深部にある微小血管の狭窄や閉塞から、小さな脳卒中や微量の出血が起こることがある。このような脳卒中は精神機能低下や認知症の主な原因となり、歩行やバランスの困難、転倒との関連も認められている」と説明し、「今回の研究の著者らは、脳の‘小血管疾患’を反映する簡単なバランス検査を考案した。この検査は高い費用も技術も必要とせず、重度の脳卒中や脳損傷のリスクが特に高い人をスクリーニングできる」と付け加えています。 

脳の健康チェック以外にも有効な片足立ち

 今回の調査では、片足立ちタイムの短さは認知スコアの低さとも相関関係があることが分かりました。さらに片足で立つことのむずかしさと加齢には強い関連があることも判明。60歳以上になると、片足立ちの時間が明らかに短くなりました。

 これまでも、歩き方や身体能力を脳卒中リスクと結び付ける研究はありますが、今回の研究では、片足でバランスをとる能力が脳の健康の重要なテストとなることが判明したのです。「片足でバランスが取りにくい人は、脳疾患や認知機能低下のリスクが高いので注意が必要」と田原氏は述べています。

locomo.jpg

 ちなみに片足立ちは、ロコモティブシンドローム(運動器症候群・略称ロコモ)対策としても推奨されています。ロコモとは老化とともに筋肉、関節などの運動器に障害が起こり、要介護になるリスクが高い状態のことです。片足立ちをすると両足で立っているときよりも太ももの付け根に3倍近くの負荷がかかるため、左右1分行うだけで、約53分歩いたことと同じ運動になります。

 厚生労働省によれば、75歳以上で20秒以上の片足立ちができる人は男性38.9%、女性21.2%(2006年)。しかし、1分×1日3回の片足立ちを継続した人の骨密度を測定したところ、3カ月で6割以上の人で太ももの付け根の骨密度が上昇し、転倒率も3分の1になったというデータもあります。

 片足立ちは、ごく簡単に脳卒中と認知機能低下のリスクを早期に判断する材料になり、筋力やバランス感覚をチェックし、運動器の障害を防ぐための格好のトレーニングになります。高齢者に限らず若い人も、メタボや血圧の高さが気になっている人、運動不足を自覚している人などは、仕事の合間にでも片足で立ってみるのも有効です。

(HEALTH PRESS、Health Day Japan他)
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する