網膜はスマホを見るだけでも剥がれる?

 40代を過ぎると、目が疲れやすくなったり、近くの物が見づらくなったり、目の悩みが多くなります。最近はスマホやPCの使用時間も増え、特に疲れやすくなったという人も増えています。目の酷使だけではなく、加齢とともに涙の分量や質が低下するため、ドライアイが悪化する人も少なくなありません。

 目の見えづらさを「歳のせい」と放っておくと、失明の危険性もある病気が潜んでいることがあります。よく知られているのは、白内障、緑内障、加齢黄斑変性症、網膜剥離です。中でも網膜剥離は、かなり進行するまで自覚症状が少ないので注意が必要です。

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 民主党の岡田克也代表は去年12月に患った左目の網膜剥離が再発したため、東京都内の病院に入院し、緊急手術を受けました。岡田氏は昨年12月に網膜剥離の手術をして年明けに退院したばかりで、今回も同じ左目でした。

 網膜剥離を患う著名人は少なくありません。女優の樹木希林さんが網膜剥離で左目を失明しました。2014年だけでも、プロ野球の山本昌投手(49歳)、お笑いコンビのウーマンラッシュアワーの中川パラダイスさん(32)が網膜剥離の手術を受けています。

 網膜剥離は、ボクサーなどの目に衝撃を受ける人だけに起こる特別なものではありません。若者から高齢者まで幅広くかかる一般的な病気です。しかし、網膜が剥がれる前に発見し、手術することで失明という最悪の事態は回避することができます。

自然治癒しないため、治療には手術が必要

 目の中は、硝子体(しょうしたい)という透明なゼリー状のもので満たされています。しかし網膜に穴(網膜円孔)や裂け目 (網膜裂孔)ができると、その水分が網膜の下に浸み込んでいき網膜がどんどん剥がれていきます。

 人間の目はよくカメラに例えられますが、網膜剥離はフィルムにあたる部分の網膜(10層構造)が9層目の視細胞層と一番外側の10層目の色素上皮細胞層で剥れてしまう病気です。網膜剥離になると、視細胞は色素上皮細胞層からの栄養の供給が途絶え、その部分が見えなくなり、剥離が拡大すると視野欠損の範囲も広がります。

 自然治癒しないため、治療には手術が必要です。視細胞には再生能力があるので早期に治療し、網膜の位置が戻れば完治します。しかし、黄斑と呼ばれる部分が剥れると、著しく視力が低下して失明に至ります。早期治療でも目の機能の回復が困難になります。

 網膜剥離には、裂孔原性(網膜にあいた穴が原因)と非裂孔原性(糖尿病網膜症など)があります。 一般的にいわれる網膜剥離とは、裂孔原性のことを指します。

 網膜剥離になる前であれば、レーザー治療だけでほとんどが完治します。まだ剥がれていない部分にレーザーを照射してくっつけ、進行を止めます。

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 しかし、網膜剥離に至ると「網膜復位術」と呼ばれる手術が必要になります。剥がれた部分を、眼球の外側からつける「強膜バックリング手術」と眼球の中からつける「硝子体手術」です。どちらが適しているかは、その部位や剥がれ方によりますが、近年では硝子体手術の進歩によって、こちらを用いる症例、医療機関が増えています。

弱い刺激でも長い間受けることで発症する

 網膜剥離は、老化だけでなく、目を強くこすったり、激しいスポーツや交通事故などで頭や目に強い力が加わったりするのも原因の一つです。糖尿病や高血圧など、ほかの疾患との合併症で起きることもあります。また、もともと網膜の弱くなっている部分があって、そこに穴が開いて発症する人もいます。

次のような人は網膜剥離になりやすい

●50代~60代

 老化で眼球内のゼリー状の繊維が減ってくると、網膜が引っ張られて穴が開き、そこから剥がれてくる。

●強い近眼(強度近視)

 極度の近視は眼球が長く変形し、網膜が引っ張られて薄くなる。すると、極端な例では、スマホなどの細かい目の動きや車の振動でも網膜が剥がれることもある。

●飛蚊症

 早期発見の重要な兆候。網膜に穴が開くと、濁りやゴミとして見えることがある。急にゴミが見え始めた、ゴミの数が多くなったら注意。

●目をよくこする

 弱い刺激を長い間受けることでも発症する。アレルギーやアトピー性皮膚炎などで目をこする癖がある人は注意。

●高血圧、糖尿病、脂質異常

 高血圧や糖尿病の人は、目の血流が悪くなって新しい血管が発生し、網膜を引っ張ってしまう。

初期症状の段階で受診

 網膜剥離の代表的な初期症状は、「飛蚊症」や「光視症」です。飛蚊症は、実際は黒いゴミのようなものや黒い点が無数に見えたりします。光視症は、光が当たってないにも関わらず、光を感じてしまう症状をいいます。

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 これらの症状の段階で受診できればいいのです、放っておくと視野が狭くなり、視力の低下が表われます。ここまでくると網膜のダメージが広がっている証拠です。手術をしても症状の改善が難しくなってきます。

 普段、両眼で生活していると気づきにくく、たまには、片眼で見て、左右の差や普段と見え方に変化がないか自分でチェックしてみることも大切です。そして、40代を過ぎたら年に1回の検診は行い、早期発見と早期治療に努めるようにします。

(Health Pressより)
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