命に関わる「LOH症候群」とは

 女性と同じように、男性にも更年期障害があることは、かなり知られてきました。年をとってテストステロン(男性ホルモン)が減ることで、さまざまな不調を引き起こします。テストステロン値は人によって異なりますが、血中の遊離テストステロンが最低ラインの8.5pg/ml未満になると、LOH(late-onset hypogonadism)症候群と診断されます。日本語に訳せば「加齢男性性腺機能低下症候群」。こうなると立派な病気です。

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 日本のLOH症候群の潜在患者数は約600万人。60代以上の2割、50代以上の1割と言われます。早ければ40代でも起こるといいます。

 テストステロンが下がると、頭痛、不眠が続き、筋肉が減り、骨がもろくなるなどの身体症状が現れますがが、それだけではありません。精神面にも大きく影響し、分泌量が減ると、意欲が衰え、気持ちが沈みがちになってしまいます。実際、テストステロンが低い人はうつ病になりやすいという報告もります。

なぜ、そんなことが起こるのか?

 誰でも、些細なことでも何かしらの恐怖体験をしたことがあります。今までの人生で体験した「恐怖の記憶」は、脳の扁桃体にためこまれ、普段は表に出てこないようになっています。このフタをしているのがテストステロンで、テストステロンが少なくなるとフタが緩み、昔の恐怖体験がよみがえります。その結果、不安感が強くなります。


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 女性の更年期は閉経前後の5年程度で終わりますが、男性の場合は放っておくとテストステロンは下がる一方で、不快な症状がいつまでも続きます。

 年をとればホルモンが減るのは仕方ないので、LOH症候群は、がんや心臓病のように命にかかわる病気ではないと思われています。ところがテストステロンが低いと、脳血管障害、心筋梗塞、がんなどのリスクが高まります。すなわち、明らかに死亡リスクが高くなるといいます。LOH症候群は決して軽く見てはいけない“死に至る病”といえるわけです。

あなたは大丈夫? 自己診断してみよう!

 心配になった方は、ぜひ下の「AMS(エイジング・メイルズ・シンプトンズ)質問票」を試してみましょう。これはLOH症候群の診断で世界的に使われているもので、17個の質問に答え、合計点が26点以下は正常、27~36点は軽度の症状、37~49点は中等度の症状、50点以上は治療が必要とされます。

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各設問に当てはまる症状の程度をチェックし、点数を合計する。
 17〜26点:男性更年期障害ではない
 27〜36点:軽度男性更年期障害の可能性

 37〜49点:中等度男性更年期障害の可能性

 50点以上 :重度男性更年期障害の可能性

 50点以上だった人は、すぐに泌尿器科に行ったほうがいいといいます。できればメンズヘルス外来や男性更年期外来に行くのがベストです。

ストレスはテストステロンの大敵

 重症のLOH症候群患者には注射によるホルモン補充療法がありますが、これが行われるのは3割程度といいます。残りは「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などの漢方薬、バイアグラなどのPDE5阻害薬、食事療法などで対処します。

 AMS質問票で「軽度」だった人はあわてて病院に行く必要はありません。とはいえ、テストステロンが下がっているのは確かです。生活習慣を改善して、テストステロンの分泌を高めるようにします。

 テストステロンが下がるのはさまざまな原因があります。老化による精巣(睾丸)の衰えは仕方ないとして、気をつけてほしいのはストレスです。

 強いストレスを感じると、脳の視床下部からCRFというホルモンが出て、精巣がテストステロンを作るのを抑える作用があります。「ストレスで立たなくなる」というのは決して気のせいではないわけです。深酒やタバコなど肉体に負担をかける方法は避けて、上手にストレスを解消する方法をマスターしましょう。

 ストレスの他にも、睡眠、食事、運動といった生活習慣によって、テストステロンの分泌量は大きく変わります。

 テストステロンをキープするには、「自分の居場所」を確保することも大切です。テストステロンは、社会に自分を押し出すホルモン。定年を迎え、社会に居場所を失うことで一気にLOH症候群になってしまう人も多いといいます。特に仕事一筋の男性は要注意です。定年は男性にとって大きな危機。40代くらいから本格的な趣味を探し、定年後に備えることが必要だといいます。

(Nikkei Goodayより)
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