「生体認証」が生活を変える

 社会のあらゆる場面でインターネット化が進み、スマホが生活者の消費行動のすみずみに入り込めばこむほど、安全(セキュリティー)が問題になってきます。消費者は、自分のことや自分の資産の安全を守ることが必要ですが、安全を求めれば求めるほど代償も大きくなります。

 スマホでのユーザー登録(ID)やパスワードの入力は、パソコンとは違ってキーボードがないためストレスがかかります。ある調査では、ネットユーザー1人当たり平均14サイトでパスワードを入力しているといいます。また複数サイトで共通のパスワードを使い回しています。人は3つほどのパスワードしか管理できないといいます。

 完璧なセキュリティーを求めるなら、サイトごとに異なるパスワードを設定して定期的に更新することが必要ですが、これはネットの便利さの代償です。

 もし「安全だが複雑で面倒」が「安全で便利」となれば、暮らしのあらゆる面が変化し、消費の促進も期待できます。今、安全と便利性を兼ね備えた例がでてきています。


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 グーグルが開発したアンドロイドを搭載したスマホは、任意のパターンを指でなぞることで認証する「指リスト」機能があります。スマホにパスワードを入力するよりも負担が少なく、しかも安全です。

 一方のアップル製の最新機種のスマホには「タッチID」というセキュリティー機能が搭載されています。スマホに指紋センサーを備えたことで実現した認証の仕組みです。スマホを使う際に面倒なパスワード入力の手間を省くだけではなく、ユーザーIDに指紋認証が統合されており、アップルが運営する電子商取引(EC)サイト「iTunesストア」の決済でも、指タッチだけで済む点で優れています。


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 さらにアップルは、電子決済サービス「アップルペイ」を米国で始めています。店舗にある端末に「iPhone」を押し当て、タッチIDで指紋認証すれば、決済が完了します。これが普及すれば財布が不要になる社会がさらに現実味を増します。

 指紋認証は「生体認証(バイオメトリクス)」の1つで、スマホのカメラを使った「虹彩認証」や「顔認証」も製品化の段階に入ってきました。今夏にも発売される米マイクロソフトの「ウィンドウズ10」にも、こうした多彩な生体認証がサポートされる予定です。



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 身に着けるセンサーという点では、眼鏡や時計などの「ウエアラブル機器」も、認証において重要な役割を果たしそうです。

 たとえば米アップルが4月に発売した腕時計型ウエアラブル端末「アップルウオッチ」では、皮膚面や発汗、心拍などを測定すし、特定のタイミングだけでなく、機器を身に着けている間はずっと利用者を認識し続けるため、その日のカロリーや運動量など包括的な生体認証が可能になります。

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 決済だけでなく、高度な医療を受ける時や、スマホやウエアラブル機器から自動車、住宅機器などを操作する場合にも、このような新次元のユーザー認証が中心的な役割を果たします。1990年代に米アマゾンはボタンを1回クリックするだけで注文できる「1クリック注文」で消費の世界を大きく変えました。それ以上の衝撃が消費行動や暮らし全体に広がろうとしています。

(日経Webより編集)
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