男性ホルモンが増えれば、メタボを予防できる!?

 男性ホルモンは下半身だけにかかわるホルモンではありません。気力や性格、社会性といったメンタル面にも強く影響し、第一線でバリバリ活躍している政治家や芸能人は男女を問わずテストステロン(男性ホルモン)の数値が高いといいます。さらに最近では、メタボリックシンドロームとも深い関係があることが分かってきました。

メタボは日頃よく使われる言葉で、ユーモラスな響きから単なる「中年太り」と同じように思っている人もいるかもしれませんが、メタボは動脈硬化を進め、最終的には命にもかかわる恐ろしい病気です。

 男性の場合、「腹囲」が85cm以上(女性は90cm以上)。さらに「脂質異常」「高血圧」「高血糖」の3つの症状のうち2つ以上があるとメタボと診断されます。

 高血糖や高血圧も立派な病気ですが、ここで最も重視されるのは腹囲。上記の診断基準を見てもわかる通り、ウエストさえ細ければ高血糖、高血圧、脂質異常とすべてそろっていてもメタボとは呼ばれません。“お腹が出ている”内臓脂肪型の肥満が諸悪の根源で、そのため日本ではMetabolic Syndromeを直訳した「代謝症候群」ではなく、あえて「内臓脂肪症候群」という訳語を使っているわけです。

 メタボがなぜ怖いかといえば、心疾患や脳血管疾患のリスクが一気に高くなるためで、肥満、高血糖、高血圧、脂質異常の4因子のうち、1つ持っているだけでも心疾患の発症リスクは5.1倍に、3つ持っていれば35.8倍も高くなります。(内臓脂肪型)肥満を防げば他の3因子の予防にもつながる、というのが厚生労働省の考え方です。

メタボと男性ホルモンは深い関係がある!?

 メタボとは別に、テストステロンが極度に減ったLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)という病気があります。その診療の手引きには性機能障害、抑うつ、睡眠障害、筋力低下、皮膚の変化、骨租しょう症とともに、内臓脂肪の増加が症状のひとつに挙げられています。ということは、テストステロンが下がるとメタボになりやすくなることにつながります。

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 1849人の男性を対象にした米国の調査から、太った男性はテストステロンが低いことが分かっています。メタボになれば動脈硬化が進み、心疾患や脳血管疾患のリスクが高まって寿命が縮む。IMT(頚動脈内膜の厚さ)を調べてみると、テストステロンが低い人はIMTが厚く、つまり動脈硬化が進んでいました。

 30~63歳の日本人男性1154人を細かく調べた結果、肥満、高血糖、高血圧、脂質異常というメタボの因子が増えるほど、反比例してテストステロンが低くなっていくことがわかりました。さらに、テストステロンが低くなるほどメタボの発症リスクが上がることも確認できました。

 メタボになるとテストステロンが減るのか、テストステロンが減るからメタボになるのかはわかりませんが、両者には深い関係があります。テストステロンを高く保てば、メタボを予防できる可能性があります。

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 その推測を裏付ける論文が2014年に発表されました。45~65歳でテストステロンが低く、メタボと診断された40人の男性を対象にして、そのうち半数の人たちに5年間テストステロンを補充しました。するとテストステロンを補充したグループだけ、腹囲が平均9.6cm細くなり、体重が平均15kgも減っていました。さらに血圧も下がり、糖代謝も改善したといいます。

 メタボは動脈硬化を進めて寿命を縮めるわけですから、それが改善したということは寿命が延びたということです。一方、テストステロンが低い人は早く死ぬ確率が高いことがわかっています。40歳以上の男性858人を追跡調査すると、テストステロンが低いほど生存率が低くなっていました。男性の心身にとって、テストステロンは想像以上に重要な役割を持っています。

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テストステロンを増やして不調を改善しよう!

 テストステロンが極度に少ないLOH症候群になると、性機能障害や抑うつなど多くの症状が表れます。しかし、少し低いくらいでは自覚症状は感じられず、それは高血圧や脂質異常症に似ています。

 コレステロールがいくら高くても自覚症状は感じません。しかし放っておくと動脈硬化が進むため、コレステロールを下げる薬をのんでいる人はたくさんいます。同じように、テストステロンが低めの人は注射や薬で補充するのが当たり前の時代が来るかもしれません。

 テストステロン値は「メンズヘルス外来」を設けている病院などで測ってもらえます。低かった場合、希望すれば補充療法も可能です。一般に健康保険は利きませんが、1回2000~5000円でテストステロンの注射が受けられます。

 ただしテストステロン補充療法を実施すると、精子が作られにくくなることが知られています。米国で8709人の退役軍人を対象にした調査には、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるという報告もあります。

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 もともとテストステロンは体内で作られているホルモンで、外から補充するほどの効果は望めなくても、食生活や運動といった生活習慣を改善するだけでも分泌を増やすことはできます。テストステロンが減ればさまざまな不調が表れる半面、ヘルシーな生活を送ればテストステロンもたくさん分泌されるようになるわけです。

 分泌を増やすには定期的にカラダを動かしたり、習い事を始めるなど、プライベートタイムの過ごし方が重要になります。

(Nikkei Trendy Netより画像追加編集)

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