「ビタミンC」でストレス撃退

 ビタミンCはビタミンのなかでもおなじみで、「美容ビタミン」として知られています。ビタミンCにはコラーゲンの合成をサポートしたり、細胞の老化を防いだり、シミを防ぐ働きがあるため、美容にも有効です。しかし、もともとは「壊血病」を予防する物質として発見された栄養素でした。

壊血病の解消に役立ったライムジュース

 私たちの体をつくっているたんぱく質の約3分の1はコラーゲンですが、ビタミンCはコラーゲンの合成に必須な成分です。コラーゲンは皮膚、血管、骨に多く含まれていて、細胞と細胞の間をつなぐ接着剤のような役割を果たしています。

 ビタミンCが不足してコラーゲンが十分に合成できないと、皮膚に張りがなくなったり、毛細血管がもろくなって出血しやすくなったり、骨折を起こしやすくなったりします。これが壊血病です。

無題.jpg

 15~17世紀の大航海時代、航海が長くなると生鮮食品がとれなくなるため、壊血病で死亡する船乗りが多くいました。イギリス海軍のキャプテン・クックは世界一周航海の際、ライムやザワークラウトを船に積み込むことで壊血病を予防したといいます。

 その後、イギリス海軍では、乗組員にライムジュースを飲ませるようになり、現在でもイギリスの軍艦や商船、または船乗りのことを「ライム・ジューサー」「ライミー」と呼ぶことがあるといいます。ライムジュースが航海にいかに欠かせなかったかを表す逸話です。

 ちなみに、壊血病はラテン語でscorbiaといいます。ビタミンCはアスコルビン酸ともいいますが、これは、ビタミンCが壊血病を予防する物質として発見されたことに由来します。

細胞の酸化を防いでアンチエイジング

 金属が酸化するとさびるように、細胞も酸化するとさびてしまい、老化や病気の原因になります。なかでも脂質が酸化してできる過酸化脂質は細胞の老化と深く関わっています。

 ビタミンCは過酸化脂質の生成を抑え、老化や動脈硬化を予防します。とくに、ビタミンEと合わせると相乗効果を発揮し、LDLコレステロールの酸化を抑えて心臓血管系の疾患を予防します。

 ビタミンCは水溶性のため主に体液中に存在し、ビタミンEは油溶性のため主に細胞膜に存在します。それぞれが違う持ち場で過酸化脂質の生成を抑えるため、一緒にとると相乗効果を発揮します。また、ビタミンCはさび取りで消耗したビタミンEをよみがえらせる作用もあるといいます。

 アンチエイジングや生活習慣病の予防効果を狙うなら、ビタミンCを単独でたくさんとるよりも、ビタミンEを合わせてとるほうが賢く、ビタミンEは植物油、ナッツ類、魚介類、野菜などに含まれていますが、赤ピーマン、菜の花、かぼちゃ、モロヘイヤなどは、ビタミンCとビタミンEを併せ持つおすすめの野菜です。

メラニン色素の沈着を防いでシミを防ぐ

 また、ビタミンCにはシミを予防する働きがあります。紫外線の刺激を受けると、チロシンというアミノ酸がチロシナーゼという酵素の働きを受けてメラニンという黒い色素になります。ビタミンCはチロシナーゼの働きを阻害してメラニン色素の沈着、つまりシミを防ぐといわれています。

 シミには紫外線が原因の老人性色素斑だけでなく、遺伝的な要素の強いソバカス、女性ホルモンが関係している肝斑などがありますが、いずれの場合も、ビタミンC不足や代謝障害が推定されれば、ビタミンCは治療薬としても用いられます。

生食もいいが、野菜は煮汁ごと食べるのもアリ

img_8.jpg

 ビタミンCの成人の摂取推奨量は1日100mgです。これは、壊血病の予防というよりは、心臓血管系疾患の予防や抗酸化を目的に算出されたものです。

 ビタミンC 100mgは、野菜なら赤ピーマン1/2個、果物ならグレープフルーツジュース(濃縮還元)コップ1杯に含まれる量なので比較的とりやすく、実際、国民健康・栄養調査(平成25年度)によると、成人の平均摂取量は1日100mgとなっています。しかし、これは平均値なので、半数近くは不足気味かもしれません。

 ビタミンCは生鮮食品だけでなく、お茶やジュース、惣菜類、パンなどに酸化防止剤として幅広く含まれているため、欠乏することはまずありません。

 ビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱くいため、調理による損失が大きいといわれる。確かに、新鮮な野菜や果物を生で食べれば効率よくとれるが、必ずしも生食でなければいけないわけでもないという。

 野菜のビタミンCは加熱すると壊れますが、長時間グツグツ煮ない限り、ゆでたり煮たりした汁に溶け出しています。つまり、煮汁ごと食べる具だくさん味噌汁のような料理なら十分にとれます。サッと加熱するとカサを減って量がとれるので、損失分をカバーできるという利点もあります。

タバコを吸う人、ストレスが多い人は多めにとろう

 ビタミンC=美容ビタミンというイメージがありますが、抗酸化作用で生活習慣病やがんを予防したり、病気に対する抵抗力を高める働きがあるため、働き盛りの男性にもおすすです。とくに、喫煙者やストレスが多い人は、ビタミンCが不足しがちです。タバコを吸うとニコチンなどの有害物質が体内に入ってくるため、活性酸素が大量に発生します。それを消去するためにビタミンCが使われます。

 タバコを吸う人は、吸わない人よりも1日あたり35mg以上余分にビタミンCをとる必要があります。受動喫煙でも血液中のビタミンC濃度が低下するという報告があるので、身近に喫煙者がいる人も注意したほうがいいでしょう。

 また、ビタミンCはストレスがあると消費されます。私たちの体はストレスがかかると副腎皮質ホルモンが大量に分泌され、血圧や血糖値を上昇させてストレスに対抗します。ビタミンCは副腎皮質ホルモンの合成に欠かせないビタミンです。この場合のストレスは、不安や緊張、イライラといった精神的なものだけでなく、暑さ寒さ、過労、睡眠不足なども含みます。

 ビタミンCはとりすぎると尿中に排泄されるので過剰症の心配はありませんが、サプリメントなどで1日に3~4g以上摂取すると、下痢を起こすことがあるといいます。ビタミンCは体内にとどまる時間が短いので、一度にたくさんとるよりも、三度の食事のたびにこまめにとるのが理想です。サプリメントで補う場合も、1日2回よりも3回とるようにします。

(Nikkei Goodayより要約)
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する