デング熱、6月から要注意

 昨夏、約70年ぶりにデング熱の国内感染が確認されました。日本では戦後、デング熱で死亡した患者はいませんが、東南アジアでは死亡例があります。せきや鼻水、のどの痛みを伴わない高熱が突然出たら、デング熱を疑って受診して欲しい、と専門医は言います。

 昨年8月20日、東京都内の学校に通う埼玉県の女性が39.9度の高熱と全身の痛みで、さいたま市内の病院に救急車で搬送されました。26日、国立感染症研究所(東京都新宿区)でデングウイルスを検出。海外への渡航歴はなく、国内感染と確認されました。


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 女性は代々木公園で頻繁に蚊に刺されていました。その後も、同公園で蚊に刺された人を中心に感染が相次ぎ、報告された患者は計162人にのぼりました。

 デング熱は、デングウイルスによる感染症です。日本ではヒトスジシマカが媒介しています。背に白い線が1本走っているのが特徴で住宅地の茂みを好むようです。

 感染蚊に刺された時にウイルスがヒトの体内に入り、感染します。発症するのは感染者の半数以下とされますが、発症する場合は刺された2~14日(多くは3~7日)後に、38度以上の高熱が突然出るのが特徴です。頭痛や筋肉痛、関節痛などを伴うことが多い半面、のどの痛みやせきは出ないといわれます。熱が下がり始めるころに、赤い小さな発疹が体に出ることがあります。

 デングウイルスには1~4の四つの血清型があります。昨夏の国内感染で検出されたのは、すべて1型でした。初感染でも重い「デング出血熱」になることはありますが、次の感染が前回と違う型だと、重症化のリスクは高くなると言われています。

 国立国際医療研究センターでは昨夏、19人の国内感染の患者を診察しました。そのうち40代の男性には、腹部の皮下出血や胸に水がたまるなどデング出血熱の症状がありました。

 実はこの男性、06年にフィリピンでデング熱になったことがありました。当時感染したウイルスの型は分かりませんが、同じ1型なら免疫が働くため、別の型だったと考えられます。同センター国際感染症センターの忽那賢志医師は「1回デング熱になった人は、特に蚊に刺されないように気を付けてほしい」と話しています。

 「デング熱の国内感染はいつ起きてもおかしくない。いや、もう起きているかもしれない」と専門家の間では指摘されていました。というのも、海外で感染して帰国してから発症する「輸入症例」が続き、海外旅行の増加に伴い、2010年以降は毎年のように200人を超えていたからです。


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青:輸入症例、茶:国内症例


 ヒトスジシマカの活動は主に5~10月。温暖化と共に生息域は北上し、13年時点では秋田・岩手以南に生息しています。東京都内では、5月下旬には幼虫(ボウフラ)から成虫になり、飛び始めています。梅雨が明けた後、活動が最も活発になります。

 大型連休で東南アジアなどデング熱の流行地域を訪れた人は多く、感染研ウイルス第一部第2室の高崎智彦室長は「6月初めごろから、国内感染例が出る可能性はある」と指摘します。

 蚊に刺されないためにはどうしたらいいでしょうか。長そでのシャツやズボンで肌の露出を減らし、露出部分には虫よけを噴霧したり、塗ったりという対策があります。「夏は汗で流れるから、一般的な虫よけなら2時間おきにつけたほうがいい」と、忽那さん。

 もちろん、蚊の数を減らすことが一番。国の「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」に基づく手引では、蚊の幼虫の発生源となる植木鉢の受け皿などにたまった水を週に1度は除き、容器を片付けることを勧めています。

(Asahi Apitalより)
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