遺伝子組み換え作物は本当に危険なのか?安全なのか?

 遺伝子組み換え食品(作物)という言葉は知っていても日常生活ではその姿も見えず、実態も知ることもできません。そのメリットや危険性を誰かがしっかりと説明してくれるわけでもありません。しかし、遺伝子組み換え作物の輸入大国である日本にとってこの問題を避けては通れません。

 ではどれだけの遺伝子組み換え作物が世界中にあふれ、日本に輸入されているのでしょうか。2013年の世界の遺伝子組み換え作物の作付面積は1億7520万ヘクタールで、この数字は商業栽培が始まった1996年から60倍を超える爆発的な増加を見せています。ちなみに日本全体の耕地面積は約450万ヘクタールにすぎません。

 作付面積が広い筆頭がアメリカ(7010万ヘクタール)、次いでブラジル(4030万ヘクタール)、アルゼンチン(2440万ヘクタール)、インド(1100万ヘクタール)、カナダ(1080万ヘクタール)などです。最近では隣国の中国(420万ヘクタール)が積極的な導入の動きを見せています。


u15242851734021096085fm11gp0.jpg


 輸入では、日本はとうもろこし、大豆、なたねなど多くの遺伝子組み換え作物を輸入する一大消費国です。トウモロコシでは世界最大の輸入国で、輸入量は年間約1,600万トン。約9割がアメリカ産で、その88%が遺伝子組み換え品種です。

 とうもろこしの場合、ヒトが食べる食品としてではなくその大半が飼料となり家畜の餌として消費され、その肉をわれわれが食べています。残りが食油や、香料、でんぷん、果糖などの加工食品の原料となります。われわれは見えないところで多くの遺伝子組み換え作物が消費されています。

 はたして遺伝子組み換え作物は人間の身体、さらには環境に対してマイナスの影響は与えないのでしょうか? 

肯定派と否定派が繰り広げる際限ない学術論争

 この疑問にはすぐには明確な答えが出そうにありません。米国医師会の科学審議会がまとめた報告書の要旨(2001年)は、「遺伝子組み換え DNA 技術を用いて生産された作物および食品が入手可能になって10年程になるが、今日までに長期的な影響は何ら発見されていない。これらの食物は、従来の食物と実質上変わりない」としています。

 一方で、米国環境医学会は2009年に、遺伝子組み換え食品に関する意見書を発表。「複数の動物実験により、遺伝子組み換え食品と関連のある重篤な健康リスクが示唆される」と懸念を表明しました。その上で、遺伝子組み換え食品の一時使用禁止と独立機関による長期安全性検査、および表示等を要求しています。

 こうした世界を巻き込んだ遺伝子組み換え作物や食品の肯定・否定論争から日本は随分距離があるようです。主要メディアもほとんどこの話題は取り上げません。まるでこの話題がタブーであるかのようです。

 中でも、世界に衝撃を与えた論文があります。2012年、フランス、カーン大学のジル・エリック・セラリーニ博士らは、米モンサント社が1970年に開発した非常に強力な除草剤「ラウンドアップ」と、それに耐えうる性質を持たせて作り上げた遺伝子組み換えとうもろこし(NK603)について、2年間のラット給餌試験で、遺伝子組み換え食物を日常的に摂取する固体はがんにかかりやすいというもので、「Food and Chemical Toxicology」誌にラットに発生した巨大な腫瘍の写真とともに掲載されました。


veziu-sergancios-ziurkes.jpg


 この写真の衝撃はすさまじく、すぐさま世界中のメディカが取り上げたましたが、結局、この研究結果にはその手法やデータ解析などに関して科学界から大きな疑問の声が寄せられ、その正当性に疑問が続出。論文を出版する出版社は、「捏造や不当表示の証拠はみつからないが、元々がんにかかりやすい種類や少ない個体数を対象に行われた動物実験では、決定的な結論へと導くことはできない」として、論文を撤回しました。

 当のセラリーニ博士は、研究の正当性を主張する一方で、論文の選考委員の1人がモンサントで7年間働いたことを理由にモンサント社の圧力であると主張して議論は平行線のままです。

「欧州食品安全機関」(EFSA)は、「実験設計と方法論の深刻な欠陥があり、許容できる研究水準に達していない。NK603のリスク評価を見直す必要はない」という見解を発表しています。

 しかし、いずれの主張が正しいかは未だ判明していませんが、こうした議論が国際的に進んでいることさえ日本では表のメディアには出てきません。しかし、事態はさらに急速な展開を見せています。

 遺伝子組み換え食品のイメージはこれまで作物、つまり植物の範囲にとどまっていましが、2012年米国FDA(食品医薬品局)は、遺伝子組換え動物食品としては初めてとなる、「遺伝子組み換えサケ」を環境への影響はない、食品としても安全だ、と発表しました。

 このサケは通常の2倍のスピードで成長し、体長が従来の2倍、重さが8倍というきわめて生産効率のよい魚です。米国マサチューセッツ州に本社があるバイオテクノロジー企業、アクアバウンティ・テクノロジーズが開発したもので、カナダ政府は、100,000個の卵をカナダ東部のプリンス・エドワード島から、パナマ西部のチリキ県に輸出することを承認しました。


o0468026912246531208.jpg


 最終的にはまだ人間の食用としては許可されていませんが、カナダの地元では環境や生態系への悪影響を懸念する声が高く"フランケンフィッシュ"と呼ばれています。2012年の日本におけるサケの供給量は61万3千トンで、その約半数は輸入に頼っているだけに、こうした事態には関心を払わざるを得ません。

 遺伝子組み換え作物・食品をめぐる論争は非常に分かりにくく、それぞれのサイドのもっともらしい論客がそれぞれの主張を繰り返しています。そこには遺伝子組み換え作物の市場を国際的に独占する少数の巨大企業の思惑も見え隠れします。

 すでにわれわれの食生活は遺伝子組み換え作物なしには成立し得ないところまで来ています。だからこそ継続的な議論と関係機関・企業からの情報開示、さらには遺伝子組み換え食品に関する表示義務の適正化は必須です。

(Health Pressより)
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する