前奏曲とフーガ 変ホ長調「聖アンのフーガ」BWV552

 イエスの母である聖マリアの母アンナ。イエスの祖母にあたる聖アンの名を持つこのオルガン曲は、イギリスの聖アン教会のオルガニスト、ウィリアム・クロフトが作曲した賛美歌を用いていると言われ「聖アンのフーガ」とも呼ばれています

 日本では結婚式にもよく使われるこの曲は、後にイタリア人の作曲家でピアニストのフェルッチョ・ブゾーニがピアノ曲に編曲し、また12音技法を創始したことで知られるアルノルト・シェーンベルクもオーケストラ用に編曲しています。


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St. Anne's Church


 前奏曲は205小節におぶ雄大な曲で、父・子・聖霊を象徴するような、フランス序曲風の付点リズム、シンコペーション、下行句の3つの対照的な主題が、イエスの運命を描写するかのように展開されます。

 続くフーガはプレリュード以上に特異な作品で、3つの主題に基づき、賛美歌を主題とする荘重な2/2拍子の第1主題に始まり、穏やかに流れる6/4拍子の第2主題、活気溢れる12/8拍子の第3主題が、それぞれの提示部を経て、第1主題と絡み合いながら二重対位法で展開してゆきます。圧倒的なスケールを持つ長大な作品です。

ウィリアム・クロフト作の賛美歌

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 最初にアメリカのオルガニスト、ダグ・マーシャルの演奏動画でお聴きください。フロリダのアヴェ・マリア大学での録画です。



 ダグ・マーシャルの演奏はフーガではテンポも遅めで少し単調なので、後半のフーガのみ名手トン・コープマンの演奏をリンクしておきます。



 次にブゾーニが編曲したピアノ曲を、今は亡きイギリスのピアニスト、ジョン・アンドリュー・ハワード・オグドンの演奏でお聴きください。テンポも速めで、熱のこもった演奏ですが、BACHのオルガン曲を単にピアノで演奏したのとは異なり、原曲を知らなければBACHの作品には聴こえないかも知れません。



 もう一つオランダの音楽学者、ジェラルド・ヴァン・リーネンはこの曲をチェンバロで演奏しています。演奏者本人が投稿したYoutubeですが、オグドンの躍動感あるピアノ演奏の後では、少し物足りないかもしれません。



 最後にシェーンベルクが編曲したオーケストラ曲を小澤征爾指揮、ボストン交響楽団の演奏でお聴きください。さすがにシェーンベルクのオーケストレーションは見事です。小澤征爾のダイナミックな演奏のせいもあり、これを聴くとBACHの作品とは思えなくなります。BACH音楽の奥の深さを感じさせます。


 

 楽譜を見ながら聞くとこの曲の構成の素晴らしさがよくわかりますので、下記にリンクしておきます。

前奏曲とフーガ 変ホ長調「聖アン」BWV552 楽譜

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