糖尿病は贅沢病ではなく"貧困病"であることが判明!

 十分な食費を確保できていない2型糖尿病患者は、食事の心配のない患者に比べ、良好な血糖コントロールができていないことが新たな研究で判明しました。糖尿病に関する教育では、健康的な食事についてだけでなく、食べ物の入手のしやすさについても議論する必要があると、研究著者である米エモリー大学糖尿病教育訓練学会のBritt Rotberg氏は述べています。

 この研究は、米ボストンで開催された米国糖尿病協会(ADA)会議で発表されました。米国では、約14%の家庭が「食糧不安」の状況にあり、以前の研究では、食糧不安の家庭では糖尿病リスクが2.5倍になることがわかっています。

 今回の研究では、血糖管理をサポートするプログラムに参加した2型糖尿病患者を対象としました。被験者の3分の2が健康保険に加入しておらず、76%は世帯年収が1万5,000ドル未満だでした。最近30日以内に十分な食料確保に不安を感じたことがあれば、食糧不安であるとみなしました。

 食糧不安のある人は137人、ない人は167人でした。食糧不安のない群は血糖値が有意に良好であり、HbA1C値は平均7.6%であったのに対し、食糧不安のある人ではHbA1C値が約10%でした。BMI(肥満度の指標で、30以上で肥満とみなされる)は両群とも31でした。

 HbA1cは赤血球中で体内に酸素を運ぶ役のヘモグロビンと、血液中のブドウ糖が結合したもの。糖尿病の人では血液中に顕著な増加がみられます。血糖値は常に変化していますが、HbA1cは濃度が安定しており、HbA1cの値を調べれば、過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を知ることができます。ちなみに日本糖尿病学会では、基準値を6.2%未満としています。

食料不安がある人ほど野菜摂取が少ない

 Rotberg氏の説明によると、食糧不安のある人もカロリーは摂取できていますが、安価な食品には加工食品やファストフードなどが多く、野菜の量が少ないと言います。「主な食事において、1皿の3分の1以上、でんぷん質を含まない野菜を食べている」と回答した人の割合は、食糧不安のない群では62%だったのに対し、食糧不安のある群では38%でした。

 生野菜は長持ちしないため買うことができないという人が多いことから、教育プログラムでは冷凍野菜や缶詰の野菜(ただし塩分に注意が必要)の利用を提案しています。

 米コロンビア大学(ニューヨーク市)のMaudene Nelson氏は、まずは血糖値に影響を及ぼす炭水化物源を正しく認識する必要があると述べています。誤った情報も多く、たとえば玄米は白米よりもよいとされていますが、実際は血糖値の上昇に差はないといいます。健康的な食事を摂るための簡単な方法として、同氏は1皿の4分の1をでんぷん質、4分の1を肉などの蛋白質、2分の1を野菜が占めるようにする「プレート法」を勧めています。

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日本の現状

 日本でも、かつては糖尿病や肥満は贅沢な生活や飽食から生まれる"贅沢病"であると考えられてきました。しかし、2012年に厚生労働省から報告された平成22年度国民健康・栄養調査の結果では、世帯所得が600万円以上の女性(肥満者の割合13.2%)に比べて,世帯所得が200万円未満(25.6%)や200万~600万円(21.0%)の女性の方が肥満者の割合が多いことが知られ、肥満は贅沢病ではないことが明らかとなっています。

 さらに台湾のデータでは、所得の多い人に比べて、所得の少ない人の方が糖尿病の発症率が高く、糖尿病治療の質も悪いことが報告されています。

 日本では着実に経済的な格差が広がっています。健康保険費の未払いや子供の給食費も払えない家庭が続出、十分な食事や健康維持のために使うことのできる金銭や時間的な余裕の無い家庭が増加しています。このままでは日本での糖尿病は増加し続ける可能性があります。

 「糖尿病アトラス 第6版 2014 UPDATE」によると、日本の成人糖尿病人口は721万人で、世界ランキングでは10位となっています。そして膨大な糖尿病治療薬がこの国で消費され、大手製薬メーカーの利益が確保されています。

(Health Pressより編集)
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