われは何ぞ世を思い患わん(BWV94)

 今日聴く日曜カンタータは三位一体主日後第9主日、1724.08.06に、ライプツィヒで初演されたコラール・カンタータで、名人芸的なフルート・パートを持つ最初のカンタータとして異彩を放っています。当時BACHに周辺には優れた奏者が滞在していたものと思われます。


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 当日の福音書聖句は「不正な管理人」の例えですが、このカンタータでは「不正にまみれた富」すなわち現世の富が否定され、イエスという真の宝の認識へ達し、信ずることによってもたらされる至福と平安が讃えられています。

 バルタザール・キンダーマンのコラール歌詞が、オリジナルとは違うメロディと組み合わされてほぼ全編で引用され、コラールに関係した楽曲は共通して「私はこの世に何を期待するのだ」という言葉で締めくくられています。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ&合唱団、シビラ・ルーベンス(S)、アネット・マーカート(A)、クリストフ・プレガルディエン(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




1. 合唱

私は、この世とその全ての財宝に

何を期待したら良いのでしょうか。

私のイエスよ、私はただあなただけを

喜びとしていたいのです。

あなただけを唯一の

悦びと思い定めたのですから。

あなたは、あなたは私の憩い。

私は、この世に何を期待したら良いのでしょうか!

2. アリア (バス)

この世は、煙か影のようだ、

それはすぐに消え、すぐに過ぎ去る、

だからこの世は、ほんの短い時間存在するもの。

しかしすべてのものが倒れ、壊れても

イエスは、私の確信であり続ける、

この方に、私の魂はすがるのです。

それなのに、私は世の中に何を期待するのだろう。

3. コラールとレチタティーヴォ (テノール)

この世は位の高い人々にすり寄って

栄光と誉れを求めている。

誇るものは贅沢な宮殿を建て

この上ない名誉な職を求める。

彼は上等な衣服で着飾る、

緋、金、銀、絹やビロードなどで。

自分の名前を人みなに先立って

この世の隅々にまで響かせようとする。

自分の高慢な鼻柱を

空中から

雲にまで届かせようとし、

立派なものばかりを得ようとするのだ。

そして、自分が滑り落ちるのがどんなに

早いかなどは、思ってもみない

しばしばわびしい風が吹き

奢り高ぶる体を一挙に墓場へと運び、

あの哀れな地上の虫けらが

この世で大いに見せびらかしていた

すべての栄華は消え去るのだ。

ああ!このような虚しいがらくたは

私の心から、遠くへと追放されるのだ。

しかし私の心が

何よりも誉れとするものがある。

それは、キリスト者に真の誉れと

ふさわしい栄光を与えるもの、

それは、私の霊が

虚栄心からはなれて

栄華と高慢の代わりに愛するもの、

それはただ、イエスだけなのだ。

イエスが永久に、そのようであり続けますように。

仮に、この世が私を

それゆえに愚かだとみなそうとも。

私は世の中に何を期待するのだ(何も期待しない)!

4. アリア (アルト)

誘惑された世よ、(マモンに)誘惑された世よ!

お前の富も、宝も財貨も、

それらはみな欺瞞であり、偽りのみせかけなのだ。

お前は、虚しいマモン(富と強欲の悪魔)を数えるがよい。

私は代わりに、イエスを選ぼう。

イエスを、イエスだけを

私の魂の富とするのだ。

誘惑された世よ、誘惑された世よ!

5. コラールとレツィタティーフ (バス)

思い悩む世の中よ、

だが、そもそもその心痛は何にからくるのだろうか?

なんと愚かなことだ! その心痛が苦しみなのか、

場合によっては世が軽蔑されるのだ。

世よ、恥じるがいい。

神はお前をこれほど愛するが故に、

そのひとり子を、与えてくださったのだ。

大きな辱めによって、

お前を罪から栄光に導くために。

それなのにお前は、イエスのために苦しむ気はないのか?

世の悲しみは決して大きくは無いのだ、

人が策略をもって自分のために

栄誉を得ようとすることに比べれば。

そうした方がいい、

私はキリストの辱めを一緒に感じるのだ、

それが彼の気に入るならば。

それは今の世での苦難にすぎない。

私は良く知っている、永遠が私に

賞賛と誉れを授けてくれることを。

たとえ世が私を

嘲り、嘲笑しても、

たとえ私が軽蔑されるとしても・・・・

イエスが私を認めていてくれるのならば、

私は何を世の中に期待するのか(何も期待しない)!

6. アリア (テノール)

世は自分の逸楽と喜び、

醜い虚栄のまやかしを

求めて尽きることはない。

世は、黄色の糞(黄金)を見つけようと

もぐらのように地中を堀り、

その代わりに、天のことなど顧みもしないのだ。

7. アリア (ソプラノ)

お前は目がくらんだこの世を好きになればいい、

天のことなど気にもしない者よ。

私はそうではない、この世など大嫌いだ。

私はイエスだけを愛し

悔い改めと信仰に励もう。

そうすれば、心豊かに、幸福になれるのだから。

8.コラール

私は何をこの世に期待するのか!

それは、すぐに消え去るもの。

この世の見かけ(富や財産)は青ざめた死を

遠ざけておくことは絶対出来ないのだ。

財産は失われ、

全ての逸楽は衰えなければならない。

イエスさえ私のそばに居続けるのなら、

私は何をこの世に期待するのか(何も期待しない)!

私は何をこの世に期待するのか!

イエスは、私の命。

私の宝、私の所有物、

私がすべてをゆだねるもの。

私の完璧な天国、

いつも私が喜ぶもの。

だから私はもう一度言うのだ、

私は何を世の中に期待するのか(何も期待しない)!と。

                         ターフェルムジーク鎌倉訳
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