鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも

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 キャンプなどで、バーベキューを楽しむ機会などが増える夏は、カンピロバクターによる食中毒が増加します。鶏肉が原因となることが多く、刺し身やたたきなどの生食の他、加熱不足でも起こっています。筋肉を動かす運動神経が障害されるギラン・バレー症候群を引き起こすこともあり、内閣府食品安全委員会は、肉は十分加熱し、生や半生で食べることは避けるよう呼びかけています。


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鶏肉で多発

 カンピロバクターは、鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息している細菌。厚生労働省によると、昨年発生した原因物質が判明している食中毒のうち、最も件数が多かったのがカンピロバクターで全体の3割を占めました。

 中でも多いのが鶏肉が原因となっているケース。食鳥処理の過程で汚染されやすく、市販の鶏肉の6~8割から菌が検出されたとの調査結果もあります。

 「新鮮だから大丈夫」と鶏肉を生で提供する飲食店がありますが、カンピロバクターに汚染されている場合は、鮮度に関係なく食中毒となる可能性が高く、また、菌量が少なくても発症することがあるため注意が必要です。

 東京都台東区の飲食店で4月下旬、コース料理を食べた約50人のうち23人がカンピロバクターによる食中毒を発症しました。鶏のささ身を湯引きしてポン酢であえた料理が原因とみられ、同店は「刺し身と違い、湯引きしているから大丈夫だと思っていた」と打ち明けています。

 東京都健康安全研究センターが鶏のささ身を使い、9秒間湯通ししたところ、外側の色は白く変化したが内部は生肉の色のまま。菌も生存していました。軽く湯を通す程度の加熱では食中毒になる恐れがあります。


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9秒間湯通しした鶏ささ身。内部の菌は生存していた。


 台東保健所生活衛生課は、飲食店で提供されるものは安全と思っている消費者は多く、鶏肉は中までしっかり火を通したものを提供してほしいと飲食店に呼びかけています。

 一方、焼き鳥やバーベキューなど加熱して食べる料理でも生焼けのことがあります。食べる前に肉の内部の色を見て、火がきちんと通っているかを確認しましょう。

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交差汚染に注意

 カンピロバクターによる食中毒は、原因となる食品を食べてから2~7日たってから発症するのが特徴です。主な症状は腹痛や下痢、発熱、嘔吐などです。

 腸管出血性大腸菌のように重篤化で死亡することはほとんどありませんが、症状が治まってから1~2週間後に、ギラン・バレー症候群を発症することがあります。主に筋肉を動かす運動神経が障害され、手や脚に力が入らなくなる難病です。約7割は回復しますが、中には後遺症で歩行に介助が必要となる人もいます。日本では、ギラン・バレー症候群の患者の約3割がカンピロバクター感染が原因とみられています。

 調理器具などを介して感染が広がる交差汚染にも注意が必要です。例えば、汚染された鶏肉を扱ったまな板や包丁に付いた菌が生で食べる野菜などに付着し、それを食べたことで食中毒になることもあります。

 食品安全委員会は予防のため、

(1)肉は十分に加熱(75度以上で1分以上)

(2)肉と他の食品と調理器具などを分ける

(3)肉に触った後は十分手を洗う-などを呼びかけています。

鹿児島、宮崎は生食用に「基準目標」

 厚生労働省は、焼き肉店で5人が死亡した腸管出血性大腸菌O-111による食中毒事件を契機に平成24年7月、牛レバーの生食提供を食品衛生法で禁止。今年4月、E型肝炎ウイルスの感染リスクが高い豚の肉やレバーを生で提供することをを禁止しました。

 一方、鶏肉の生食については、死亡リスクが低いことから、「現状では法律での規制は考えていない」としています。

 鶏肉を生食してきた鹿児島と宮崎の2県は、食中毒リスクの低減のため、生で食べる鶏肉の細菌量などについて独自に「基準目標」を定めています。ただ、宮崎県衛生管理課は「基準目標はリスクを減らすためのもの。生食を推奨しているわけではない」とし、消費者には加熱して食べるよう呼びかけています。

(Sankei Digital、東京都健康安全研究センター、政府広報Onlineより)
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