高齢者ほど肉を食べるべき!

70歳以上の5人に1人が「タンパク質不足」による栄養失調!

 若いころは食欲旺盛で肉が大好きでも、高齢になると「年だから」「身体に負担がかかる」という理由で、肉料理を控えてしまう人は多いようです。

 実際、日本では、昭和53年に初めて栄養指導の指針が打ち出されて以来、「生活習慣病の主な原因は食の欧米化による肥満」として、肉の食べ過ぎや脂の摂りすぎを制限するように指導してきました。そのためか、「粗食こそ長寿の秘訣」というイメージが定着しています。


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 しかし、そうした認識にはどうやら問題があるらしい。6月、米国で報告された研究結果によると、高齢者は生活に必要な筋肉量と筋力を維持するために、タンパク質の豊富な食事が重要だと言います。

 これは米ヘブライ・シニアライフ加齢研究所(ボストン)のShivani Sahni氏らが米国立衛生研究所の資金援助を受けて実施した研究で、論文は『Journal of Nutrition』(オンライン版)に掲載されています。

動物性と植物性、筋肉量を増やすのはどちらのタンパク質?

 米国の代表的な疫学研究の一つに、「フラミンガム研究」と呼ばれるものがあります。1940年代にスタートした長期の地域コホート研究です。地域コホート研究とは、同じ地域に住む人を対象にした追跡調査研究のことで、食生活や血圧、血清脂質値などを調べたうえで、長期間にわたり健康状態の変化を追跡調査します。

 さらに1970年代からは、フラミンガム研究に当初参加した人の子どもを対象とした「フラミンガム子孫研究(Framingham Offspring Study)」も始まりました。今回、Sahni氏らは、この「子孫研究」に参加した平均年齢60歳の男女2600人超のデータを収集。対象者のタンパク質摂取量と、下肢の脂肪を除いた筋肉量、及び大腿部の筋力を、1998~2001年にわたってさまざまな時点で測定しました。

 その結果、筋肉量と筋力の維持には男性では1日約85g、女性では1日約75gのタンパク質が必要だとわかりました。下肢の筋肉量が最も多かったのは、タンパク質の総摂取量と、動物性タンパクの摂取量が多かった人たちでした。

 一方、ナッツや豆類などの植物性タンパクは、男女ともに筋肉量とは関連していませんでした。ただし、その摂取量が最も多い群は、最も少ない群に比べて大腿部の筋力が強かったと言います。

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 「筋肉量と筋力は加齢に伴って失われていきます。筋肉量は50歳ごろから減り始め、筋力は50〜60歳で年間約1.5%、60歳以降は年間3%ずつ低下してしまいます。筋肉量と筋力を失うと、運動能力や日常活動能力に影響する」とSahni氏は指摘。全般的なタンパク質の重要性を強調し、高齢者は毎食食べるように勧めています。

60歳過ぎてからの粗食は低栄養のおそれ

 実は、現在日本では70歳以上の5人に1人が「栄養失調」状態だと指摘されています。中でも深刻なのが肉などのたんぱく質不足。肉や脂を控えた食事が健康に良いとされるのは、生活習慣病の原因になるメタボ予防のためですが、それが有効なのは40代〜50代くらいまで。60歳を超えての粗食は老化に直結し、健康にとって害が大きくなります。

 高齢者の低栄養が問題なのは、要介護状態になるリスクを高めるからです。中でも老化に伴って筋肉量が減る「サルコペニア」という現象は、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を引き起こす最初のきっかけと言われています。


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 成人が1日に必要とするタンパク質の目安は、体重(kg)✕1〜2gと言われ、それは高齢になっても変わりません。体重が60kgの人であれば1日60g~。普通に生活をしている人は体重✕1gで十分ですが、激しい運動をしている人やケガをした人、妊婦などはもっとたくさん必要になります。

 そして実は、高齢者でエネルギー摂取や毎日の活動量が極端に少ない場合、若い人よりもタンパク質が必要になります。タンパク質の利用効率が落ちるためです。そのため、タンパク質を積極的に摂るべきなのです。

手の平1枚分を一食の目安にしよう

 タンパク質の量は食材によって異なりますが、ごくおおまかな目安として一食当たり「手の平のサイズ✕厚さ」を基本にします。毎食、手の平1枚分を目安に肉、魚、卵、大豆製品などをバランス良く食べることで、必要なタンパク質の補給が可能になります。

 ちなみに、1日60gのタンパク質をさまざまな食材で補うためには、たとえば、魚を約100g、肉を約100g、豆腐を1/3丁、卵1個、牛乳1本(200ml)となります。毎食しっかり意識しないと、足りなくなるという人もいるでしょう。

 タンパク質不足による栄養失調状態は、ダイエット中の女性やインスタント食品を食べることが多い若者にも見られます。暑さが厳しくなると食がすすまず、そうめんなどの麺類だけで済ませがちですが、この季節は特に、食事の栄養バランスに注意しましょう。

(Health Pressより)
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