バロック・チェロによる無伴奏チェロ組曲(BWV1007~1012)

 「BACHを弾くことによって、この世に生を享けた歓びを、私はあらたに認識する」・・・これは「無伴奏チェロ組曲」の真価を世に知らしめた名チェリスト、パブロ・カザルスの言葉です。

 BACHはケーテンの宮廷楽長を務めていた時期に、旋律楽器のための無伴奏作品を作曲していますが、その中でも「無伴奏チェロ組曲」は低音を含んだ和声進行が見事に凝縮され、単一楽器でありながら、和声的背景を暗示している名曲です。


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 しかしこの曲は演奏が難しく、当時弾くことができたのは、ケーテン宮廷のチェロ/ガンバ奏者のクリスティアン・フェルディナンド・アベールただ一人だったといわれます。


 最初にグスタフ・レオンハルトとピリオド楽器による古楽演奏運動によりバロック・チェロの先駆者と言われるアンナー・ビルスマの演奏で第1番 ト長調 (BWV1007)及び第2番ニ短調(BWV1008)をお聴きください。1779年の録音です。




 オランダのヤープ・テル・リンデンはムジカ・アンティクヮ・ケルン、イングリッシュ・コンサート、アムステルダム・バロック・オーケストラの首席チェリストを務めたバロック・チェロの名手です。第1番から第6番まで連続して聴けます。



 シギスヴァルト・クイケンはバロック・チェロの演奏ではなく自ら復活させたヴィオロンチェロ・ダ・スパッラで演奏しています。(全曲)



 少し後の世代のクリストフ・コワンは、フランス出身のバロック・チェロ奏者です。残念ながら第1番の演奏はありませんので第2番ニ短調(BWV1008)をお聴きください。演奏会の録画ですが、レガートな素晴らしい演奏です。



 ピーター・ウィスペルウェイは、1962年生まれのオランダのチェロ奏者です。アンナ・ビルスマにも師事し、次世代のチェロ奏者として活躍しています。2012年に無伴奏チェロ組曲(全曲)がリリースさました。この曲はバロックピッチで演奏していますが、楽器と演奏スタイルは近代奏法を採り入れています。(第1番、第2番)




 全て演奏家を全曲聞いてはいませんが、第2番の比較では、クリストフ・コワンの演奏が一番気に入っています。全曲演奏のレコーディングが望まれます。アンナー・ビルスマは古楽演奏運動初期で少し渋い演奏です。シギスヴァルト・クイケンのチェロ・ダ・スパッラは響きに深みが不足しています。ヤープ・テル・リンデンは心地よく落ち着いたバロック・チェロらしい好演奏です。

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