自動運転タクシーで温室効果ガス94%減

 運転手がいなくても勝手に走ってくれる「自動運転車」。実用化されれば、走行中にメールや昼寝もできますが、利点はそれだけではないといいます。現在、米国のグーグル社とウーバー社が開発中の自動運転車をタクシーとして普及させれば、温室効果ガスの排出量も大幅に削減できるとする調査結果が発表されました。

 米ローレンス・バークレー国立研究所が「ネイチャー・クライメート・チェンジ」誌オンライン版に発表した論文によると、2030年には、自動運転の電気自動車タクシーの二酸化炭素(CO2)排出量が、現在のガソリン車と比較して最大94%低下するといいます。しかも運転手つきのタクシーよりもはるかに低料金で運用できるそうです。


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 排出量削減の約半分は、利用客に合わせてタクシーを小型化することで達成できます。「米国では大半が1人でタクシーを利用しているので、座席は1~2人分あれば十分」と、論文の著者ジェフリー・グリーンブラット氏は語ります。車両を小型化すれば、エネルギー消費量も温室効果ガスの排出量も抑えられます。


プロトタイプは公道へ

 IT企業や自動車メーカーは自動運転車の実用化を進めています。ディズニー映画の「カーズ」に出てきそうなグーグル社の自動運転車は、今年の夏から米国カリフォルニア州で公道での走行が合法化されました。ハンドルやペダルがなく、州の法律に従って、万一のために人間が乗車していることが義務づけられています。

 グーグル社は昨年5月、「順調に行けば数年以内にカリフォルニア州で小規模な試験プログラムを実施したい」として、100台のプロトタイプを製造する計画を明らかにしています。また、独自のライドシェア(相乗り)事業の展開も進めています。イスラエルで開発された同社のナビゲーション・アプリ「Waze」は、同じ方向へ相乗りしたい通勤者同士をマッチングするサービスで、まずはテルアビブで試験プログラムが実施されます。

 ライドシェア・サービスの大手ウーバー社も遅れを取るまいと、米カーネギー・メロン大学と提携して独自の自動運転車の開発に取り組み、5月には市内の公道で試験走行が行われました。

 グリーンブラット氏の論文では、自動運転車によるエネルギー使用量と温室効果ガス排出量の削減効果は、ライドシェア・システムの一部として導入された場合に最も高いとされていなす。

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鍵を握るのはロボット技術よりも…

 また、2030年には、太陽光や風力など再生可能エネルギーのシェアが拡大し、自動運転の電気タクシーが排出する温室効果ガスの量は、同時期の個人所有ハイブリッド車と比べて63~82%少なくなると予測しています。現在のガソリン車と比較すれば、その差はさらに拡大します。

 過去の研究でも、自動運転車が交通事故を減らすだけでなく、さまざまな効率化が可能になると示されています。目的地まで最適なルートを計算、スムーズなアクセルとブレーキを実現し、先行する別の自動運転車のすぐ後ろを追従することで、空気抵抗を抑えることもできます。

 研究者たちはほかにも、自動運転電気タクシーのコスト効率性に着目しました。個人向けの電気自動車は、2030年になってもガソリン車と比較すれば高価で維持費も高いが、1年間で4万~7万マイル(約6万~11万キロ、米国のタクシーの平均的な年間走行距離)走行するなら、電気や水素など代替燃料で動く自動車の方が安くつくといいます。燃料代が下がって、高い購入額が相殺されるためです。

 1台当たり15万ドルともいわれる自動運転技術のコストを考慮に入れたとしても、自動車自体の燃費が良く、加えて運転手もいらない自動運転タクシーに軍配が上がります。

 グリーンブラット氏の研究は、2030年に自動運転技術がどれだけ普及しているかを予測していません。その鍵を握るのは、ロボット工学というよりは公共政策によるところが大きいと考えられます。

 2014年に、トヨタ自動車のヒラリー・ケイン氏は米国ワシントンD.C.で自動運転技術について意見を述べた際、連邦法や州法の適用に関しては「不確定な部分が多い」と発言しました。生まれたばかりのこの分野にとって、政府による規制が最大の障害となるかもしれなません。

(National Geographicより)
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