遺伝子から睡眠の謎に迫る!

 「あー眠たい、どれだけ寝ても眠たい」というお疲れの人、現代人には多いかもしれません。必要な睡眠時間にはどうやら個人差があるようですが、睡眠もまた遺伝子に影響されているのでしょうか。

 双子を使った研究により、睡眠時間の個人差のうち50%くらいは遺伝するらしいということが示されています。最近の2つの異なる研究で、睡眠に関わる遺伝子の存在が分かってきました。


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睡眠サイクルのずれを引き起こす睡眠障害とは

 日本の国立精神・神経医療研究センターのチームは、概日リズム睡眠障害の原因となる遺伝子を明らかにしました。

 人間を含む多くの生物は、約24時間にセットされた概日リズムのシステムを体の中に持っています。私たちはこのリズムのおかげで朝起きてから夜まで活動し、夜になると眠くなって睡眠をとるというサイクルが体の中に組み込まれています。

 このリズムが正しくセットされずに睡眠と覚醒が困難になることが、概日リズム睡眠障害と呼ばれています。この睡眠障害のうち、例えば、睡眠相後退症候群(DSPT)は、体内時計の時間が遅い時間にずれて固定化し、そのため夜眠れず朝起きられないという状態が続きます。また、非24時間型睡眠覚醒症候群(FRT)は、体内時計が1時間ずつ後ろにずれていき、夜眠る時刻が毎日遅くなってしまうという症状が現れてしまう状態です。


遺伝子多型で朝型か夜型かが分かる

 研究チームは、概日リズム睡眠障害をもつ182人のDSPTと67人のFRTの人々、そしてコントロールとなる925人の遺伝子について調査しました。

 この結果、PER3という体内時計関連遺伝子の多型(SNP)が、DSPTとFRTの症状と強く関連することが示されました。また、この関連は睡眠障害ではない人でも朝型であるか夜型であるかと関わっていることが分かりました。今後、この遺伝子が個人の体内時計や睡眠リズムの特徴の目印となりうるかもしれません。


全遺伝情報から分かった睡眠時間遺伝子とは

 一方、ボストン大学をはじめとする研究チームは、非常にたくさんの人の全遺伝情報(ゲノム)と睡眠時間を比較調査することで、睡眠時間と関連のある遺伝子を見つけられないかと考えました。

 この研究では、約4万7000名ものヨーロッパ人のゲノムと睡眠時間を調べて、ある遺伝子の特徴(SNP)が睡眠時間と関連していることを突き止めました。今回のSNPの結果を、4771名のアフリカ系アメリカ人のゲノムと睡眠時間を調査して確認したところ、異なる人種においてもこのSNPが睡眠時間と関連していることが確認できました。

 このSNPは神経疾患や心臓の疾患と関わっているとされているので、この結果は、睡眠や病気のメカニズムを解明する上で、重要な手がかりとなるかもしれません。とはいえ、このSNPを持つ人は、平均して一晩3.1分睡眠時間が長いだけのようです。さらに別の遺伝子が見つかることを期待したいですね。

 適切な睡眠時間を遺伝子だけで診断!というのはまだ難しいかもしれませんが、これまで多くの謎に包まれていた睡眠という現象が、遺伝子という側面からも少しずつ明らかになっているようです。睡眠時間の確保は、肥満や糖尿病だけでなくがんの予防にもなるといわれています。

 今後の研究によって、私たちの睡眠環境が良くなることを期待しましょう。

ITmedia Business Onlineより
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