週末の朝寝坊が体調不良の原因に

週末の夜更かし、ドカ寝が体内時計を狂わせる

 平日は朝も早いし、睡眠も不足ぎみ。せめて週末くらいはたっぷり寝よう―。そんなふうに考えている人は多いのですが、たっぷり寝たはずなのに体調はイマイチ。特に休み明けの月曜日がつらい…なんてことはないでしょうか。

 実は、体を休めるつもりの“週末朝寝坊”には、意外な落とし穴があります。それが“時差ボケ”です。

 平日は規則正しい早寝早起きの生活でも、週末に夜更かしや朝寝坊をして就床時刻や起床時刻がずれると、それをきっかけに体内時計が乱れ、時差ボケのような症状を招いてしまいます。このような状態は「社会的時差ボケ」と呼ばれ、近年、睡眠研究者らの間で注目されています。週末だけの乱れと軽く考えがちですが、体への影響は決して侮れません。


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体内時計がずれると健康を損ねる

 そもそも時差ボケとは、体内時計と生活時間との間にズレが生じ、眠気や食欲不振、集中力低下などの体調不良を招くことです。時差の大きい国への旅行や出張には付きものですが、日常生活の中でも十分起こります。その原因が睡眠時間の乱れというわけです。

 典型的なのが、夜勤などのシフトワーク(交代勤務)です。これまでの研究で、シフトワーカーでは睡眠障害だけでなく、がんや肥満、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、狭心症などの虚血性心疾患、うつ病などのリスクが高まることが分かっています。これも体内時計のズレが大きな原因といわれています。

 例えば、がんの場合、シフトワーク自体に発がん性があるとみなされています。WHO(世界保健機関)の下部組織である国際がん研究機関(IARC)が発がんリスクのランク分けをしていますが、シフトワークは上から2番目のグループ2Aに位置付けられています。これは「人に対する発がん性が考えられる」というものです。また、社会的時差ボケが進むほど、肥満の指標になるBMIが高くなり、この傾向は特に太った人ほど顕著だったという報告もあります。

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社会的時差ボケにより頭の働きが低下

 シフトワークほど深刻ではありませんが、夜型生活や週末朝寝坊でも社会的時差ボケによる心身の不調が起こりやすくなります。社会的時差ボケ状態では、頭の働きの低下、昼間の眠気や抑うつ傾向の増加が見られるとの報告もあり、仕事のパフォーマンスも低下してしまいます。実際、社会的時差ボケが大学生の学業成績に関係するとの報告もあります。

 また、こうした問題は、大人だけに限ったことではありません。1~5歳の子供がいる全国1000世帯を対象に、子供の睡眠や食事などの生活習慣、心身の症状などについて答えてもらい、生活パターンとの相関を調べた結果、週末朝寝坊の影響が思った以上に大きいことが分かったといいます。

 この調査において、生活パターンは「超夜型」「夜型」「やや夜型」「早寝早起き」「週末朝寝坊」の5グループに分類されましたが、このうち朝の不機嫌さや体調不良、かぜの引きやすさなどの不調の度合いが最も大きかったのが、「超夜型」組。逆に、症状が最も少なく健康的だったのが、「早寝早起き」組でした。

 ここまでは予想通りの結果なのですが、予想外だったのは「週末朝寝坊」組です。このグループは、平日は早寝早起き組と同じ理想的な生活を送っているにもかかわらず、朝の不機嫌さやかぜの引きやすさの程度が、「やや夜型」組よりも高かったそうです。

 どのグループも週末は平日に比べて起床時刻や朝食時刻が遅くなる傾向がありますが、週末朝寝坊組は特にそのズレが大きく、11時ごろに朝昼一緒のブランチをとっている家庭もありました。朝食は朝の光を浴びることと並んで、体内時計をリセットする重要な役割を担っています。週末朝寝坊組は、朝寝坊にブランチが加わることで体内時計の乱れが一層進むと考えられます。


週末の起床時刻のズレは1時間までに

 では、週末はどのように過ごすのが正解なのでしょうか?

 いつもと同じ時間に寝て、同じ時間に起きるのがベストです。とは言え、休みの日くらい多めに寝たいという気持ちも分かります。ならば、せいぜい1時間以内のズレですむように努めます。このくらいなら、社会的時差ボケがひどくなることはありません。できれば、夜更かしはせず、夜早く寝て睡眠時間を長めに確保するのがお薦めです。

 なお、前述の睡眠時間帯と健康状態に関する調査では、子供だけでなく、母親についても質問しています。その結果によると、生活が規則正しい早寝早起き組のママが、偏食や肥満やストレスが最も少なく、これと真逆だったのが、超夜型組のママでした。ちなみに、週末朝寝坊組のママは、超夜型組の次に肥満の割合が多いという結果でした。

 今回の調査結果は、子供の生活パターンだけでなく、家庭の生活習慣から導かれたものだもので、つまり、子供だけでなく、お母さんの方にも社会的時差ボケの影響が出ていると考えられます。夜型生活だと社会的時差ボケが進むことはわかっていましたが、たった2日の週末朝寝坊がこれほど体内時計を乱しているとは想像していませんでした。週末朝寝坊が習慣になっている人は、今週末から早速、休日の睡眠を見直してはどうでしょうか。

(Nikkei Goodayより)
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