加工肉に発がんリスクが存在するとWHOが発表!

 世界保健機関(WHO)が発表した研究結果で、ベーコンやハム、ソーセージなどの加工肉や、赤身の肉を食べることで「がん」にかかるリスクが最大で18%高くなることが発表されました。発表にあわせてその危険度は喫煙やアスベスト、ヒ素や放射性物質と同じクラスに分類されることになったのですが、この内容に反論する声も即日挙がっています。


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 この研究は、WHOの外部組織である国際がん研究機関(IARC)のワーキンググループがまとめ、世界的な医学誌「Lancet(ランセット)」に発表したもの。ワーキンググループは10か国から集まった22名の専門家で構成されています。

 IARCの専門家グループは、加工肉(牛や豚などの肉に対して塩漬けや薫製、発酵などの処理を行ったもの)を1日あたり50グラム食べることで結腸直腸がんの発生リスクが高まるとして、IARCが定める発がん性基準で喫煙やアスベストと同レベルである「グループ1(ヒトに対する発がん性が認められる化学物質、混合物、環境)」に分類。また、牛や豚、羊、牛、ヤギなどの赤身の肉については「グループ2(ヒトに対する発がん性がおそらくある化学物質、混合物、環境)」に分類しています。

 この発表について、IARCの専門研究プログラムを統括するKurt Straif博士は「個人に対していえば、加工肉を食べることで発がんリスクが高まる可能性は低い状態にとどまります。しかし、消費する肉の量によってリスクは増大し、世界中で加工肉を食べる人が多く存在する状況を鑑みると、人類全体レベルでの発がん性への影響は公衆衛生における重要な事項といえます」とその意味を語っています。

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 世界で肉を最も食べている国トップ10と、最も食べていない国トップ10を比較したグラフでみると、オーストラリアやアメリカでは90%以上の人が肉を食べているのに対し、エチオピアやインド、バングラデシュでは5%以下の人しか肉を食べていない状況となっています。

 ある意味で衝撃的な研究内容が発表されたわけですが、当然のように食肉業界などを中心に反発の声が挙がっています。食肉と健康における助言を行うMeat Advisory Panelのメンバーで、カーディフ大学の教授でもあるRobert Pickard氏は「我々が理解していることは、赤身の肉を控えることは、がんのリスクを下げる有効な戦略とはなっていないということです。がんを避ける最も有効な方法は、喫煙をやめ、標準的な体重を保って過度のアルコール摂取を避けることです」と、赤身肉とがん発生の関係を否定するコメントを発表しています。

 一方で、IARCの発表内容を支持する声も挙がっています。イギリスのがん研究機関・Cancer Research UKのTim Key教授は「IARCが発表した加工肉と赤身の肉に発がんリスクが存在するという決定を支持する」と語っています。また、がんの予防を啓蒙する非営利団体の世界がん研究基金も、長年にわたって加工肉の発がんリスクを指摘して可能な限り摂取を控えることを提唱してきました。

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 また、専門家でない人物からも、IARCの論理に異を唱える声が挙がっています。スタートアップ「Particle」のCEOであるZach Supalla氏は「30分ほどググった」結論として、IARCの数字の意味に反論しています。

Supalla氏は、IARCが発表した以下の2点について検証を行っています。


●赤身肉を食べることによる影響:1日あたり100グラムの摂取で結腸直腸がんのリスクが17%増大(平均的な1日の摂取量は50~100グラム)

●加工肉を食べることによる影響:1日あたり50グラムの摂取で結腸直腸がんのリスクが18%増大


 アメリカの国立がん研究所の統計によると、アメリカで結腸直腸がんに罹患する人の数は、男女10万人あたり42.4人という数字が明らかになっており、これを割合になおすと「0.042%」となります。ここで、実際に赤身の肉100グラムと加工肉50グラムを毎日食べることで発生リスクが予測どおり上がったとすると、先述の発生率は0.042×1.17×1.18=0.058%ということになります。

 一方、加工肉と同レベルと認定されている喫煙をこれにあてはめると、全く異なる様子が明らかになるとしています。非喫煙者の肺がん罹患率と、喫煙者の罹患率を比較すると、男性は非喫煙者が0.020%なのに対して喫煙者は1.259%、女性は非喫煙者が0.025%なのに対して喫煙者は1.309%と、加工肉による影響とは比べものにならないほど強い影響があると指摘し、IARCが喫煙と加工肉を同レベルに分類したことに対する反証を行いました。

 Supalla氏は「私の検証には誤っている部分もあるかもしれない」として、さらなる検証を期待すること述べています。いずれの意見も必ずしも誤りではなく、IARCが公表した数値も「リスクが増大する」という観点においては決して見過ごすことができない事実といえそうです。今後もさまざまな検証が行われることになると思われる分野ですが、最終的に何を重要視するかは人ぞれぞれの判断に委ねられることになりそうです。

(BBC News,Gigazineより)
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