ゾウががんに罹りにくい理由が判明!遺伝子が「ガン治療」の特効薬に!?

 国民の2人に1人がかかる病気といわれるようになった「ガン」。いうまでもなく、適切な治療を行わなければ、命にかかわる病気です。ガンが発生する原因については、喫煙、化学物質の暴露、ホルモンななどの変化といった様々な原因があります。そのため、治療が難しいケースがまだまだ多いのが実状です。

 ガンについて、面白い研究が行われています。同じほ乳類で、体が人間よりもはるかに大きいゾウは、なぜかガンにかかりにくいことがわかっています。その理由を探れば、ガンを防ぐことができるのではないかというものです。


動物のなかでもゾウだけはほとんどガンを発症しない!


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 ガンは、人間だけでなく動物も発症します。もちろん、野生動物は寿命を全うする前に捕食されたり、餓死することもあり、一概には計れないものの、人間でも動物でも理論上は隔てなく発症します。ところがゾウだけは、ガンを発症する確率がほとんどないといいます。

 6トンを超える体をもちながら70年以上生き、この世界最大の陸生動物がガンにならない理由の解明に取り組んだ研究チームが、その秘密を突き止めたといいます。

 米ユタ大学とアリゾナ州立大学の研究者らが、ゾウ保護団体の協力のもと行ってきた研究で、ある一つの回答を導き出しました。それは「ゾウは損傷した細胞がガン細胞に変わる前に死滅させる力を持っている」ということです。

 成長すると5トンを優に超えるゾウは、人間よりもはるかに多い細胞を持っています。論理的に考えれば発症リスクも高いと思えます。人間は最大で25%もの発症リスクがあろますが、ゾウのガン発症率は5%にも満たないといいます。では、なぜ動物の中でもゾウの発症率だけが低いのでしょうか?


細胞を修復、死滅させるガン抑制遺伝子が人間の20倍!

 この研究をリードしてきたジョシュア・シフマン博士によると、人間とゾウの血液を調査した結果、ゾウからはガン腫瘍を抑制する「p53遺伝子」のコピーが、40も発見されたといいます。このp53とは、それぞれの細胞の中でDNA修復や細胞増殖停止する機能を持つ、ガン抑制遺伝子のひとつで、人間にはこのコピーが2つしか存在しません。


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 ゾウのP53遺伝子はヒトに比べ、損傷した細胞を修復するよりも死滅させる比率が高いこともわかりました。その数は健康なヒトの2倍以上、リ・フラウメニ症候群患者の5倍でした。

 さらに、ゾウは損傷したガン化のリスクがある細胞を、早期に死滅させる強靭な機能が体内に備わっており、人間の細胞に比べて、より迅速に細胞死(アポトーシス)を起こしています。この結論にたどり着いたシフマン博士は、他の動物と比較しても細胞数が多いゾウに発症が少ない理由を、この2点だと主張しています。  付随論説の著者である英ロンドン大学がん研究所のメル・グリーブス氏は、「本当の謎は、なぜヒトはがんに対する防御力がこれほど弱く、がんの発生率が高いのかということだ」と述べ、その答えはヒトの社会的進化が異常に速いことにある可能性が高いと示唆しています。ゾウは喫煙することも、過剰なカロリーを摂取することもありません。「多くのがんは予防できるものだ」と同氏は述べています。


小児ガン治療薬の研究開発に向けて


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 シフマン博士はすでに、アメリカ医学協会誌「JAMA」で、人間のDNA損傷とガン治療に向けたゾウのガン耐性の応用研究を発表し、医学界から注目を集めることとなりました。彼はいま、p53遺伝子が損傷したり、そもそも持たずに生まれた子供ほど、小児ガンのリスクが高まることに着目。この遺伝子の研究を進め、将来的には「小児ガン治療の新たな戦略として役立てたい」とするシフマン博士の抱負をCNNが報じています。

 じつは、彼自身も15歳の時、ホジキンリンパ腫のガンを患った経験があり、現在、プライマリ小児病院の医師も兼任するシフマン博士が、ゾウの血液サンプルからガン抑制に関連するメカニズム解明に情熱を注ぐのも、こうした背景があるからでしょう。

(Health Press、TABILABO、他より)
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