ラウテンヴェルクのための組曲ホ短調(BWV996)

 リュートのための組曲として知られるこの曲は、「ラウテンヴェルクのために」というBACHの記述があり、現在ではラウテンヴェルクのために書かれたというのが定説となっています。ラウテンヴェルクとはリュートチェンバロともいわれ、外見はチェンバロですが、通常の金属の弦ではなく、リュートに用いられるガット弦が張られた楽器で、リュートのようなやわらかな音色が特徴です。18世紀中頃のドイツでは、このガット弦を張ったチェンバロは比較的多く存在していたといわれ、BACHもこの楽器の音色を好んでいたといいます。BACHの遺産目録によると、2台のラウテンヴェルクを所有していました。


lute-harpsichord.jpg

リュートのイメージで復元されたラウテンヴェルク


 組曲ホ短調(BWV996)の自筆譜では鍵盤用の二段譜しか残っていないこともあり、鍵盤での演奏の方がBACHの意図により近いのかもしれません。

 今日はこの曲を5つの異なる楽器による演奏で聴いてみたいと思います。

I.プレリュード

II.アルマンド

III.クーラント

IV.サラバンド

V.ブーレ

VI.ジーグ

 最初は指揮者としても活躍するリュートの名手、コンラート・ユングヘーネルの演奏です。1984年製の13弦のバロックリュート(ニコ・ヴァン・デア・ヴァールス作)を使用しています。1988/89年の録音です。



 次はアメリカのチェンバロ奏者エリザベス・ファーのラウテンヴェルクによる演奏です。キース・ヒルが復元した楽器を用いていますが、ふくよかな響きに耳を奪われます。2007年の録音です。



 2011年、グスタフ・レオンハルト最後のチェンバロ演奏の録画がYoutubeで聴けます。意外なのは最初の前奏曲からテンポが速いことです。レオンハルトは鍵盤楽器のための作品だと割り切っているのでしょう。アンドレアス・リュッカース1636年のコピーで演奏しています。レオンハルトはこの演奏の25日後に亡くなりました。



 イタリアのチェンバリスト、ミケーレ・バルキはクラヴィコードで演奏しています。音色は悪くいのですが、残音が少し気になります。



 最後はスウェーデン出身のクラシックギター奏者、イェラン・セルシェルです。セルシェルは11弦ギターを使用し、BACHからビートルズまで幅広いジャンルの音楽を演奏することで知られています。



 聴き比べるとレオンハルトのチェンバロ演奏よりも、ユングヘーネルのリュートやファーのラウテンヴェルクによる演奏の方が変化があって楽しめます。BACHが好んだというラウテンヴェルクの音色も、とても魅力的です。

スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する