世界最悪の大気汚染は中国でなくインド

 WHOが昨年発表した世界約1600都市の調査では、大気汚染と健康被害の原因となる微小粒子状物質(PM2.5)のニューデリーの年間平均値は、日本の基準の10倍を超える1立方メートルあたり153マイクログラムで、世界最悪でした。

 汚染の主な原因は、気温の下がる11~2月の間に、周辺の農村部で広範囲に行われる野焼きの煙や、年々増える自動車の排ガスです。この時期は、調理や暖房などで木材や固形燃料の消費も増えます。風が弱まり、空気が滞留しがちなのも要因とみられます。


shutterstock_71432056-690x449.jpg


 また、ヒンドゥー教の『ディワリ』と呼ばれる祝祭が行われ、市内各地で大量の花火が使われることも原因だと考えられています。

 インド環境当局の調査では今月、PM2.5は市内のほとんどの地点で連日300マイクログラムを超え、政府系研究機関の報告では、汚染が原因でぜんそくや肺がん、心臓疾患などにかかった市民が年に1万~3万人死亡しているといいます。


主な都市のPM2.5の年間平均濃度

無題.png

(WHO2014年の統計から 単位はマイクログラム/立方メートル)


屋内でも空気清浄機を最大風量に

 同じ頃、北京でも大気汚染が深刻な状態になっていたため先述の『赤色警報』が発令されていました。しかし、ニューデリーではそれを上回る大気汚染が発生していたにもかかわらず、緊急警報は出されませんでした。それは、警報を発する規定が無いからです。

 しかし、デリー市内は大気が白く濁り視界も効かない日が続いたため、在インド日本大使館は、邦人に対し屋外活動を控えるように注意を出しました。そればかりか、屋内でも空気清浄機を最大の風量にするように促すという凄まじさです。


まずはディーゼル車の規制が始まる

 そこで、デリー首都圏政府は、今年の1月1日から15日間、平日の午前8時から午後8時まで、市内を走行できる自家用車を、ナンバー末尾の数字が、偶数の日と奇数の日で交互に制限することを発表しました。また、夜間のトラック乗り入れも禁止する方針だといいます。

 ところがニューデリーでは、公共の交通手段が充実しておらず、地下鉄もバスも既に不足しているため、連日乗客で溢れかえっています。そのため、自家用車の走行を制限した分を、公共の交通機関では補えないため、無責任な対策だと批判されています。

 また、ディーゼル車の燃料価格を上げるという案や自動車税、さらに駐車場料金を上げるといった案も出ているようですが、国民の理解を得るのは難しそうです。

 他にもインドの最高裁は、デリー首都圏とその周辺で運行しているタクシー(約8万台)の、実に7割を占めると言われているディーゼル車を、2016年3月末までにCNG(圧縮天然ガス)車に切り替える命令を出しました。

 また最高裁は排気量2,000cc以上のディーゼル車の登録を、2016年1月~3月の間は禁止するとし、製造後10年以上のディーゼルトラックの通行も禁止するとしました。インドの大気汚染を改善するには、かなりの劇薬が必要になりそうです。



微小粒子状物質(PM2.5): 大気に浮遊する大きさ2.5マイクロメートル以下の微粒子。工場などのばい煙や自動車の排ガスなどが主な発生源で、肺の奥まで入りやすいためぜんそくや気管支炎などの呼吸器疾患に影響を与えるとされる。日本の環境基準は、1立方メートルあたり年平均15マイクログラム以下で、かつ1日平均35マイクログラム以下。

(Asahi Digital、FUTURUS他より)
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する