人工知能は人の目となり耳となる!

 バイドゥが開発するあるプロトタイプは、人工知能(AI)の力で視覚障害者に「目」を与えました。それに限らず、SkypeやFacebookといったサービスを通じて利用が進むAIは、2015年末のオープンソース化ラッシュ以降、さらなる広がりを見せています。


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 耳を覆う小さなデヴァイスを細いケーブルでスマートフォンと接続するイヤホンは、Bluetooth接続のものが溢れるいま、時代に逆行しているようにも感じられます。しかし、そこに未来を垣間見られます。このちっぽけなデヴァイスは、視覚障害者に「目」を与えます。

 アンドリュー・ングは中国のテクノロジー大手、バイドゥのチーフサイエンティストで、このデヴァイスは同社の最新プロトタイプのひとつです。名前は「Dulight」。人の顔、道路標識、食品パックなど目の前にものをすべてとらえる超小型カメラが搭載されており、画像をスマートフォン上のアプリに送信します。アプリは画像を分析し、それが何かを特定し、イヤホンを通して届けられる音声で描写します。目が見えなくても、少なくとも目の前に何があるかを知ることができます。

 Dulightはまだ開発の初期段階のため、完全には機能しませんが、機械が人間と同じくらい、あるはそれ以上に、周りの環境を認識・理解する未来を指し示しています。この種の人工知能(AI)は、わたしたちが世界と対話する方法までをも変えるでしょう。



Dulight」が目の前にいる人物や物の画像を解析し、それを音声で伝えることによって、視覚障害者

でも周りに何があるのかを認識できるようになる。まだ開発初期段階だが、実用化への期待は大きい。


人の目となり、耳となる

 ングのプロトタイプに使われているのは、ディープラーニングと呼ばれるテクノロジーです。バイドゥのオンラインサーヴィスを支える巨大なコンピューターデータセンターでは、人間の脳内にある神経細胞網に似たハードウェアとソフトウェアのネットワーク、ニューラルネットワークが管理されています。

 ニューラルネットワークは、十分なヴォリュームの猫の画像を与えられれば猫の識別法を学び、雲の画像を与えられれば雲の識別法を学びます。そして、バイドゥやグーグル、フェイスブック、マイクロソフトでは、すでにこうしたテクノロジーが広範囲のあらゆるタスクを処理しています。

 グーグルでは、画像の山に埋もれた特定の人物や場所、物を瞬時に検索することを可能にし、Android端末の音声認識にも役立っています。フェイスブックでは投稿された画像の顔認識に使われ、Skype(マイクロソフト)では、会話を他言語に瞬時に翻訳するサーヴィスが実現しています。

 ニューラルネットワークはいま、人の自然な話し方さえも理解し始めました。グーグルが開発中のチャットボットの例もあり、何もかもがまるでSFのようです。

 2015年は、AI技術が世界中で大きく飛躍した年でした。グーグルは、その基軸であるインターネット検索エンジンにもこのテクノロジーを利用しています。Twitterでは、ポルノのブロックのための識別に利用されているし、バイドゥではターゲティング広告やマルウェアの識別に用いられています。ディープラーニングの進歩は加速する一方です。


2014年にSkypeがテスト公開した音声・動画のリアルタイム通訳サーヴィス。15年には英語とスペイン語に加え、中国語(北京語)とイタリア語のサーヴィスも開始された。インスタントメッセージのみであれば日本語も利用可能だ。


進化を加速させるAIのオープンソース化

 昨年11月初旬、グーグルはディープラーニングを動かすソフトウェアエンジンをオープンソース化し、この極めて重要な技術をあまねく共有すると発表してテック業界を驚かせました。もちろん、グーグルはすべての技術を表に出したわけではありません。それでも、このオープンソース化は社外でのディープラーニングの進化を後押しするのに十分です。

 その数週間後には、フェイスブックがディープラーニング機能を動かすカスタムビルト・ハードウェアサーヴァーのための設計をオープンソース化しました。

 さらにその翌日、テスラモーターズの創設者イーロン・マスクとYコンビネーターの社長サム・アルトマンが率いるグループは、AI研究とテクノロジーを共有することを約束する「OpenAI」という1億ドル規模の非営利団体の設立を発表しました。OpenAIは、グーグルのトップAI研究者のひとりだったイリヤ・サツケバーの下に置かれることとなり関心を集めました。

 マスクとアルトマンは、同組織をAIの危険から世界を守る方法としても売り込んでいます。「多くの人は善良で、それゆえその人道的な力が悪の力を食い止めている。同じように、多くのAIが存在すれば、一部の悪いAIが出てきたとしてもそれに対抗できると思う」とアルトマンは言っていいます。

(WIRED JAPANより)

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