ああ神よ、心の痛手いと多く(BWV3)

 公現後第2主日に聴くカンタータは、1725. 1.14ライプツィヒで初演されたコラール・カンタータです。ラテン語賛歌「イエスの思い出は甘し」に基づくマルティン・モラーのコラールを骨格としています。



 当日の福音書の章句は「カナの婚礼」のエピソードですが、それとは関連していません。扱われているのは、苦難の中でどう生き、どう信仰を貫くかという時節を超えた基本問題です。これは当日の書簡章句「望みを抱き、苦難に耐え、常に祈れ」の内容に対応しています。


 鈴木雅明指揮、バッハ・コレギウム・ジャパン、ドロテー・ブロツキー・ミールズ (S)、パスカル・ベルタン (CT)、ゲルト・チュルク (T)、ペーター・コーイ(B)の演奏でお聴きください。




ああ神よ、心の痛手いと多く(BWV3)

1.合唱

Ach Gott, wie manches Herzeleid

ああ神よ、なんと多くの心の悩みが

Begegnet mir zu dieser Zeit!

襲ってくることでしょう、この時に!

Der schmale Weg ist trübsalvoll,

この狭き道は患難に満ちています、

Den ich zum Himmel wandern soll.

天へと歩みゆくべきこの道は

2.コラールとレチタティーヴォ(テノール、アルト、ソプラノ、バス)

Wie schwerlich lässt sich Fleisch und Blut

なんと激しく血肉は抗うことか

T:So nur nach Irdischem und Eitlem trachtet

  それは地上のこと空しきことのみ追い求め

  Und weder Gott noch Himmel achtet,

  神も天をも心にかけはせぬもの

Zwingen zu dem ewigen Gut!

永遠の財へと強いようとしても。

A:Da du, o Jesu, nun mein alles bist,

  御身こそ、おおイエスよ、わがすべてとなり給うたこの今でさえ、

  Und doch mein Fleisch so widerspenstig ist.

  なおわが肉がかくも逆らい背くなら

Wo soll ich mich denn wenden hin?

いずかたへ向かえばよいのだろう?

S:Das Fleisch ist schwach, doch will der Geist;

  肉は弱い、それでも霊は志しています。

  So hilf du mir, der du mein Herze weißt.

  それゆえ御身こそ助けませ、この心を知り給う御身こそ。

Zu dir, o Jesu, steht mein Sinn.

御身へと、おおイエスよ、わが思いは向かいます。

B:Wer deinem Rat und deiner Hilfe traut,

  御身の経綸と助力に信頗する者は、

  Der hat wohl nie auf falschen Grund gebaut,

  けっして誤った地盤の上に住まいを築いておりません。

  Da du der ganzen Welt zum Trost gekommen,

  御身があまねく世界の慰めとして来たり給い

  Und unser Fleisch an dich genommen,

  我らの肉を引き受け給うたからには、

  So rettet uns dein Sterben

  われらを御身の死が救い給う、

  Vom endlichen Verderben.

  もうあとのない滅びから。

  Drum schmecke doch ein gläubiges Gemüte

  それゆえ信仰篤い心根は味わうがよい、

  Des Heilands Freundlichkeit und Güte.

  救い主のやさしい慈しみを。

3.アリア(バス)

Empfind ich Höllenangst und Pein,

感じるものは陰府の不安と責苦だろうと、

Doch muss beständig in dem Herzen

なおも必ず 絶えず心の中に

Ein rechter Freudenhimmel sein.

まことの歓喜の天がある。

 Ich darf nur Jesu Namen nennen,

 イエスの御名を呼びまつればよい、

 Der kann auch unermessne Schmerzen

 あの方は、はかり知れない苦しみも

 Als einen leichten Nebel trennen.

 薄もやのように晴らし給うのだ

4.レチタティーヴォ(テノール)

Es mag mir Leib und Geist verschmachten,

我が身体も霊も渇きはてようと、

Bist du, o Jesu, mein

御身が、おおイエスよ、我がものたり給い、

Und ich bin dein,

この身が御身のものならば、

Will ichs nicht achten.

けして気にかけはしますまい。

Dein treuer Mund

信実をつくす御口と

Und dein unendlich Lieben,

御身のつきることない愛、

Das unverändert stets geblieben,

変わりなく絶えず続くその愛が、

Erhält mir noch den ersten Bund,

今なお初めの盟約を保ち給う、

Der meine Brust mit Freudigkeit erfüllet

あれこそ我が胸を雄々しい心で満たし、

Und auch des Todes Furcht,

死の恐怖をも、

 des Grabes Schrecken stillet.

 墓を思う戦きも安らがせるもの。

Fällt Not und Mangel gleich von allen Seiten ein,

困苦と欠乏がたとえ四方から襲いかかろうと、

Mein Jesus wird mein Schatz und Reichtum sein.

我がイエスは我が宝と富で在し給おう。

5.アリア(二重唱。ソプラノとアルト)

Wenn Sorgen auf mich dringen,

憂いが迫り来るならば

Will ich in Freudigkeit

くじけることない気概を持って

Zu meinem Jesu singen.

我がイエスに向かって歌いましょう。

  Mein Kreuz hilft Jesus tragen,

  我が十字架はイエスが共に担い給う。

  Drum will ich gläubig sagen:

  それゆえ信じて言いましょう、

  Es dient zum besten allezeit.

  これはいつの時でも何より善いもの。

6.コラール

Erhalt mein Herz im Glauben rein,

保ち給え我が心を、信仰のうちに純真に、

So leb und sterb ich dir allein.

さすれば生きるも死ぬもただ御身のため。

Jesu, mein Trost, hör mein Begier,

イエスよ、我が望みよ、わが希いを聞き給え、

O mein Heiland, wär ich bei dir.

おお我が救い主、御許におれましたなら。


ヨハネによる福音書 第2章1-11節
 三日目に、ガリラヤのカナで婚礼があって、イエスの母がそこにいた。イエスも、その弟子たちも婚礼に招かれた。ぶどう酒が足りなくなったので、母がイエスに、「ぶどう酒がなくなりました」と言った。イエスは母に言われた。「婦人よ、わたしとどんなかかわりがあるのです。わたしの時はまだ来ていません。」しかし、母は召し使いたちに、「この人が何か言いつけたら、そのとおりにしてください」と言った。そこには、ユダヤ人が清めに用いる石の水がめが六つ置いてあった。いずれも二ないし三メトレテス入りのものである。イエスが、「水がめに水をいっぱい入れなさい」と言われると、召し使いたちは、かめの縁まで水を満たした。イエスは、「さあ、それをくんで宴会の世話役のところへ持って行きなさい」と言われた。召し使いたちは運んで行った。世話役はぶどう酒に変わった水の味見をした。このぶどう酒がどこから来たのか、水をくんだ召し使いたちは知っていたが、世話役は知らなかったので、花婿を呼んで、 言った。「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、酔いがまわったころに劣ったものを出すものですが、あなたは良いぶどう酒を今まで取って置かれました。」イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行って、その栄光を現された。それで、弟子たちはイエスを信じた。

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