亜鉛が不足すると男性機能が低下する!

 亜鉛は成人では体内に約2gほど含まれ、血液や皮膚に多く存在し、臓器では、骨、筋肉、腎臓、肝臓、脳に多く含まれています。亜鉛は、男性では前立腺や性腺に高濃度に含まれていて、性ホルモンの合成や精子の生成などに深く関係しています。亜鉛が欠乏すると性的な機能が低下する可能性があり、アメリカでは亜鉛は“セックスミネラル”とも呼ばれています。

 性欲低下や勃起障害の原因はいろいろありますが、1つには、男性ホルモン(テストステロン)の減少です。亜鉛とこれらの関係はよくわかっていませんが、毛髪の亜鉛の濃度が高い男性は、血中のテストステロン値が高いという報告があります。つまり、テストステロンの維持には亜鉛が有効と考えられます。


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頭皮を健康に保つ亜鉛

 亜鉛は細胞分裂を正常に行って正しく細胞を作ったり、たんぱく質を合成したりすることに関わっています。そのため、体の成長に欠かせません。日本ではみられませんが、発展途上国では、亜鉛不足による子どもの低身長・低体重、第2次性徴の遅れなどがみられるといいます。

 亜鉛は大人にとっても重要です。とくに、細胞の新陳代謝が盛んな組織・臓器に必要とされ、そのうちの一つが皮膚です。亜鉛が欠乏すると皮膚炎が起こります。入院中の高齢者などで床ずれがある人は、亜鉛が不足すると症状が悪化します。

 亜鉛不足は抜け毛の原因になることもあります。それは、亜鉛が皮膚の新陳代謝と深くかかわっているためです。動物実験では明らかですが、ネズミを亜鉛欠乏にさせると毛が抜けてきます。これは、皮膚の状態が悪くなるためだと考えられます。

 亜鉛不足になると、味覚障害になる可能性もあります。私たちの体のなかで細胞分裂が盛んな場所がもう一つあり、それは、舌の表面にある味蕾(みらい)です。味蕾は味を感じる器官で、味細胞と支持細胞から成り、味細胞は約10日間で生まれ変わるといわれています。

 亜鉛が不足すると、味蕾の新陳代謝が十分に行われなくなるため、味がわかりにくくなったり、感じなくなります。また、何も食べていないのに塩味や苦味を感じたり、何を食べても嫌な味になるケースもあり、思いのほか辛い症状です。


亜鉛の食事摂取基準(mg/日)

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ベジタリアンや加工食品ばかりの人は要注意

 亜鉛は魚介類のカキに豊富に含まれていることが知られていますが、貝や肉などの動物性食品に多く含まれているのが特徴です。通常の食事で欠乏することはまずありませんが、植物性食品に偏った食生活を送っている人では不足することがあります。また、味覚障害は若い女性に多いという報告があります。これは、肉を食べないような極端なダイエットが原因の一つだと考えられます。

 亜鉛は吸収率が低く、腸管からの吸収率は約30%ともいわれています。穀類や豆類に多いフィチン酸や青菜に多いシュウ酸は、亜鉛と結合することによって亜鉛の吸収を妨げるため、ベジタリアンの人は、とくに亜鉛が不足しやすく注意が必要です。

 では、肉をしっかり食べていれば大丈夫かというと、そうともいえません。加工食品に含まれている添加物のリン酸塩やポリリン酸なども亜鉛の吸収を妨げます。つまり、加工食品ばかりの食生活を送っている人も亜鉛が不足しやすくなります。


亜鉛を多く含む食品単位:mg/100g)

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「1度にたくさん」よりも「こまめに」とるほうが効率的

 亜鉛をたっぷりとろう! と思った方もいるでしょう。しかし、亜鉛不足が原因で男性機能が衰えていたり、脱毛している場合には、亜鉛の摂取が有効ですが、そうでない人が過剰にとっても、効き目があるかどうかは疑問です。

 亜鉛のサプリメントは男性に人気です。しかし、あくまでも、“不足している人がとれば有効”ということを忘れずに、冷静に利用したいものです。

 亜鉛は1度にたくさんとると吸収率が低下するという特徴があるので、サプリメントで摂取する場合、高含有量のものを1日1回とるよりも、低含有量のものを数回にわけてとるほうが有効です。

 亜鉛は食品からとる分には過剰症の心配はありませんが、サプリメントで多量の亜鉛を継続的に摂取すると、銅や鉄の吸収が阻害され、貧血になることがあります。また、抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)の活性が低くなるという報告もあります。

 男性機能を高めたり、発毛を促したい場合、亜鉛だけに注目するのではなく、バランスのいい食事を心がけることが重要です。

(日経Goodayより)
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