糞便カプセルを飲んで肥満解消?米病院で仰天実験!

 マサチューセッツ総合病院(MGH)がユニークな臨床実験を行うことで話題を呼んでいます。その内容は太っている人に、痩せている人の糞便をフリーズドライにしたカプセルを摂取してもらい、肥満解消に効果があるか調べるというものです。



 この臨床実験は、腸内細菌が人々の体重や健康、肥満に何らかの影響を与える可能性が高いという理論に基づいて行われます。研究の前提になっているのは、痩せ型と肥満型では異なるタイプの腸内細菌をもっているという見方です。痩せ型の人の腸内にひそむバクテリアをフリーズドライにし、それを太った人に摂取してもらうことで、肥満解消の効果を調べるというのが実験の趣旨です。

 果たして、人の排出物が肥満予防や治療に役に立つのでしょうか。過去の研究から、腸内細菌の変化が肥満につながった例が確認されています。また、肥満型の人は、腸内のバクテリアの種類が痩せている人より少ないということも明らかになっています。なかでも、高脂肪、低繊維、精製炭水化物に偏った食事や抗生物質の過剰摂取は、多様な腸内バクテリアを消滅させ、結果的に肥満につながると指摘されています。さらに、マウスを使用した実験では、糞便の移植による体重減少が証明されました。

 とはいえ、このサプリだけが肥満の解決策になるわけではありません。本気で痩せたいなら、瘦せ型の腸内細菌を取り入れたらそれで終わりというわけではなく、その細菌のある腸を保つために、自分の食生活や生活環境、薬の摂取など様々な要因を見直すことが必要不可欠になります。

 人の糞便を利用した腸内細菌の移植は全く新しい試みというわけではなく、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)の腸内感染を治療する目的でこれまでにも利用されてきました。C. difficileは世界のいたるところで院内感染菌として下痢や腹痛、結腸に異常をもたらすほか、最悪の場合死に至ります。抗菌物質の投与を続けることによって正常細菌が乱れると、結果的にC. difficileの異常繁殖につながることも分かっているため、万一それらが効かない場合には糞便による腸内細菌移植の出番となります。ただし、まだ研究途上であるため、C. difficile以外のケースで腸内細菌移植を行う医師や医療機関があれば、少し注意が必要です。

 これまで、通常、腸内細菌の移植は内視鏡手術で行われてきました。まず腸内を洗浄し、その後直腸にチューブを差し込むというものです。しかし、今回のMGHの臨床実験はその従来のやり方を大きく変える、フリーズドライの糞便(カプセル)を口から摂取するという方法です。内視鏡手術をするより、ちょっと試してみようと思うかもしれません。

 ただ、安全性について不安に感じる人もいます。他人の体内にあったものを自分の身体に摂取するとなると、HIVや肝炎など何らかのウイルスに感染したりしないか心配するのはもっともです。病気やアレルギーなどが移ることを懸念する人もいます。しかし、これまでのところ、腸内細菌の移植による重大な合併症などは報告されていません。実績のある医療機関や移植ドナーの仲介業者は、ドナーの病原菌やその他のリスク要因について定期的にスクリーニングを行っているからです。もし移植を受ける際には、そうした手順を踏んでいるかしっかりと確認することが大切になります。

 現時点で確かなのは、腸内細菌の移植がC. difficileの治療に活用されているということと、肥満治療への効果については検証中ということです。だからといって、実験結果に期待し、高をくくって暴飲暴食に走らないようご注意を。

(Forbes JAPAN より)


※ クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)

 クロストリジウム・ディフィシルは、健常な人の糞便から分離される場合もあるが、腸内に常在している菌(常在菌)ではなく、また、健常者由来の菌株は毒素を産生しないことが多い。この菌は多く種類の抗生物質が効かない(耐性)菌であるため、抗生物質の投与によって他の菌が死滅すると、この菌だけが生き残り異常増殖(菌交代現象)をし、毒素を産生するようになる。この産生する毒素(エンテロトキシン、サイトトキシン)が腸管粘膜に障害を起こし、軽症では軟便、重症では激しい下痢、腹痛、高熱を伴う、円形に隆起した偽膜ができる偽膜性大腸炎を発症し、最悪の場合死に至る。

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