まことの人にして神なる主イエス・キリスト(BWV127)

 復活節前第7主日(五旬節の主日)に聴くカンタータは、1725.2.11ライプツィヒで初演されましたが、1724年6月以降続いたコラール・カンタータ連作の最後の作品です。なぜ年度の途中でコラール・カンタータの創作をやめたのか、理由は明らかではありません。


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 五旬節の主日はイエスの受難と強く結びついており、このコラール・カンタータはパウル・エーバーのコラール詩に基づき死と永遠をテーマとする臨終の歌で、第1節でイエスの受難が歌われます。特に第3曲のアリアはカンタータの心臓部にあたり、受難の雰囲気に満たされた名曲です。


 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮、コレギウム・ヴォカーレ・ゲント&オーケストラ、ドロテー・ブロツキー・ミールズ(S)、ヤン・コボウ (T)、ペーター・コーイ(B)の演奏でお聴きください。名手マルセル・ポンセールのバロック・オーボエのオブリガートを伴ったドロテー・ミールズのアリアは名演です。




まことの人にして神なる主イエス・キリスト(BWV127)

1.合唱

Herr Jesu Christ, wahr' Mensch und Gott,

主イエス・キリスト、まことの人にして神よ、

Der du littst Marter, Angst und Spott,

貴方は拷問と不安と嘲りに耐え、

Für mich am Kreuz auch endlich starbst

私のためについに十字架の死を遂げ、

Und mir deins Vaters Huld erwarbst,

私のために御父の恵みを手に入れられた。

Ich bitt durchs bittre Leiden dein:

私は、貴方の辛い受難によって願います、

Du wollst mir Sünder gnädig sein.

罪人である私に貴方の恵みを与えてくださいと。

2.レチタティーヴォ (T)

Wenn alles sich zur letzten Zeit entsetzet,

最期の時に全てが恐ろしげになるとき、

Und wenn ein kalter Todesschweiß

冷たい死の汗が

Die schon erstarrten Glieder netzet,

硬くなった四肢を濡らすとき、

Wenn meine Zunge nichts, als nur durch Seufzer spricht

舌はただ喘ぎによってのみ言葉を発し、

Und dieses Herze bricht:

この心臓が張り裂けても、

Genug, dass da der Glaube weiß,

そのとき信仰が知っていれば充分だ、

Dass Jesus bei mir steht,

イエスが私の側に居られ、

Der mit Geduld zu seinem Leiden geht

忍耐強く受難に向かわれ、

Und diesen schweren Weg auch mich geleitet

この辛い道を私と共に歩まれ

Und mir die Ruhe zubereitet.

私に安息を準備してくださることを。

3.アリア (S)

Die Seele ruht in Jesu Händen,

魂はイエスの御手に安らいでいる、

Wenn Erde diesen Leib bedeckt.

土がこの身体を覆うとき。

   Ach ruft mich bald, ihr Sterbeglocken,

   ああ、死の鐘よ、私を呼んでください、

   Ich bin zum Sterben unerschrocken,

   私は恐れることなく死に向かいます

   Weil mich mein Jesus wieder weckt.

   私のイエスが再び目覚めさせて下さるのだから。

4.レチタティーヴォとアリア (B)

Wenn einstens die Posaunen schallen,

いつの日かラッパが鳴り響き、

Und wenn der Bau der Welt

この世の骨組みが

Nebst denen Himmelsfesten

天空とともに

Zerschmettert wird zerfallen,

粉々に崩れ落ちるとき、

So denke mein, mein Gott, im besten;

我が神よ、私のことを第一にお考え下さい。

Wenn sich dein Knecht einst vors Gerichte stellt,

貴方の僕がいつの日か審きの座に立ち、

Da die Gedanken sich verklagen,

思うところを訴えるとき、

So wollest du allein,

貴方だけが

O Jesu, mein Fürsprecher sein

おおイエスよ、私の弁護者となり

Und meiner Seele tröstlich sagen:

我が魂に慰めの言葉を告げて下さい。

Fürwahr, fürwahr, euch sage ich:

まことに、まことに、あなたがたに告げよう、

Wenn Himmel und Erde im Feuer vergehen,

たとえ天と地が火に包まれて滅びようとも、

So soll doch ein Gläubiger ewig bestehen.

信じる者は永遠に生き続けると。

  Er wird nicht kommen ins Gericht

 その者は審きの庭に出ることはなく

  Und den Tod ewig schmecken nicht.

 永遠に死を味わうことはないだろう。

  Nur halte dich,

 ただ私に堅くすがっていなさい

  Mein Kind, an mich:

 わが子よ。

  Ich breche mit starker und helfender Hand

 わたしは強い救いの手で

  Des Todes gewaltig geschlossenes Band.

 硬い死の絆を断ちきる。

5.コラール(合唱)

Ach, Herr, vergib all unsre Schuld,

ああ、主よ、私達の罪の全てを許して下さり、

Hilf, dass wir warten mit Geduld,

助けて下さい、私達が忍耐強く、

Bis unser Stündlein kömmt herbei,

最期の時が来るのを待つように。

Auch unser Glaub stets wacker sei,

また私達の信仰がつねに目覚めており、

Dein'm Wort zu trauen festiglich,

貴方のお言葉を堅く信じているように、

Bis wir einschlafen seliglich.

そして幸せな眠りにつけますように。

                         対訳:磯山 雅


ルカによる福音書 18章 31-43

 イエスは、十二人を呼び寄せて言われた。「今、わたしたちはエルサレムへ上っていく。人の子について預言者が書いたことはみな実現する。人の子は異邦人に引き渡されて、侮辱され、乱暴な仕打ちを受け、唾をかけられる。彼らは人の子を、鞭打ってから殺す。そして、人の子は三日目に復活する。」十二人はこれらのことが何も分からなかった。彼らにはこの言葉の意味が隠されていて、イエスの言われたことが理解できなかったのである。
 イエスがエリコに近づかれたとき、ある盲人が道端に座って物乞いをしていた。群衆が通っていくのを耳にして、「これは、いったい何事ですか」と尋ねた。「ナザレのイエスのお通りだ」と知らせると、彼は、「ダビデの子イエスよ、わたしを憐れんでください」と叫んだ。先に行く人々が叱りつけて黙らせようとしたが、ますます、「ダビデの子イエスよ、わたしを憐れんでください」と叫び続けた。イエスは立ち止まって、盲人をそばに連れてくるように命じられた。彼が近づくと、イエスはお尋ねになった。「何をしてほしいのか。」盲人は、「主よ、目が見えるようになりたいのです」と言った。そこで、イエスは言われた。「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを救った。」盲人はたちまち見えるようになり、神をほめたたえながら、イエスに従った。これを見た民衆は、こぞって神を賛美した。

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