コラール・パルティータ「ようこそ、慈しみ深きイエスよ」BWV768

 今日は四旬節の初日で灰の水曜日といいます。四旬節は復活祭の日曜日を含めて46日前から始まります。初期キリスト教時代、信徒は粗末な衣服をまとい、ちりと灰の上に座り、それを頭にふりかけながら断食を行いました。この日は必ず水曜日になるので灰の水曜日と呼ばれます。


現在では司祭によって額に灰で十字架を描いてもらうのが習わしになっています。


 BACHの作品とは直接関係のない行事なのですが、今日はやはりキリストにちなんだ音楽を聴きたいと思います。

 コラール・パルティータとはコラールを主題とする変奏曲で、全部で6曲が残されていますが、1曲は偽作であることが分かっています。5曲の中で最も規模が大きく、演奏される機会の多いBWV768を選びました。

 原コラールの詩は、ツィッタウの牧師クリスティアン・カイマンによる1663年の作で、4声和声体(ト短調、4/4拍子)で暗示され、11の変奏曲として多彩に展開されます。

 作曲年代は不明ですが、1700から1718年、ヴァイマル時代からケーテン時代に作られたと言われます。


 トン・コープマンが1999年に聖アレクサンダー&セオドア大聖堂(ドイツ オットーベウーレン)で録音した演奏でお聴きください。




ようこそ、慈しみ深きイエスよ

(原コラールの歌詞)

コラール(四声)

恵み深きイエスを迎えよ、

だれよりも善にして愛情深きお方!

ああ! 汝はなんと痛ましく引き裂かれ

汝の御体はみな粉々に砕けてしまったことか!

汝の愛を共にせんことを許したまえ

それにより、幸福な死を迎えさせたまえ。

第1パルティータ(二声)

おお、神であり我が救い主、イエス、

我が心のすべてのなぐさめ、

手を差しのべたまえ、汝のそばで

汝が望みたもう時、我自らを打てるように。

汝の愛を共にせんことを許したまえ

それにより、幸福な死を迎えさせたまえ。

第2パルティータ(四声)

イエス、我が不安を見たまえ。

我、汝を見いださんとせし時

悲しくも、我が精神と心に、

汝の血がみなぎりて、我が苦しみをいやさん。

汝の愛を共にせんことを許したまえ

それにより、幸福な死を迎えさせたまえ。

第3パルティータ(二声)

おお汝、命と血の源泉、

涸渇した我が魂をよみがえらせたまえ。

我、死によりて打ちひしがれし時、

とがめることなく、死に立ち向かうよう我を助けたまえ。

汝の愛を共にせんことを許したまえ

それにより、幸福な死を迎えさせたまえ。

第4パルティータ(四声、歌詞記載なし)

第5パルティータ(三声)

おお、どれだけ親しみをこめて汝はげましたもうことか、

おお、イエス、汝のもとで生きる者みな。

汝の苦悩を注視する者みな

幸せのうちにこの世を去らん

汝の愛を共にせんことを許したまえ

それにより、幸福な死を迎えさせたまえ。

第6パルティータ(四声)

敵が我を打ち負かさんとせし時、

絶望せぬよう、イエスよ、我を助けたまえ。

我、苦悩から逃れんとせし時、

絶望せぬよう、イエスよ、我を助けたまえ。

汝の愛を共にせんことを許したまえ

それにより、幸福な死を迎えさせたまえ。

第7パルティータ(三声、歌詞記載なし)

第8パルティータ(四声、歌詞記載なし)

第9パルティータ(三声、歌詞記載なし)

第10パルティータ(四声、歌詞記載なし)

第11パルティータ(五声)

愛情深きイエス、恩寵の太陽、

我が宝、至上の喜びと法悦、

とわに、とわに、讃えんことを許したまえ

天使とともに、汝の気高い神聖を。

汝の愛を共にせんことを許したまえ

それにより、幸福な死を迎えさせたまえ。

(マリー=クレール=アラン「バッハ:オルガン作品全集」の解説より)
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