アクリルアミドの発がん性懸念!食品安全委員会が注意喚起

 野菜などの食材を高温で熱した時に生じ、国際機関が発がん性がある可能性を指摘している化学物質アクリルアミドについて、日本人への健康影響を検討していた内閣府食品安全委員会の作業部会は、「懸念がないとは言えず、できる限り低減に努める必要がある」とする評価書案を委員会に報告しました。


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 アクリルアミドは、炭水化物を多く含む食材を揚げる、焼く、あぶるなどして120度以上の高温で加熱したときに生じます。ジャガイモを原材料とする料理やスナック菓子、穀物を原材料とするビスケットなど様々な食品に含まれ、家庭での調理でも生じます。

 評価書案は、人の摂取量とがん発生との関連には一貫した傾向はみられず、「健康影響は明確ではない」と指摘しました。日本人の推定平均摂取量は体重1キロあたり1日0.24マイクログラムで、動物実験でがん発生の増加が確認されている量のおよそ1千分の1でした。しかし海外のリスク評価機関の中には、1万分の1より多い場合は低減対策が必要だとするところもあるため「懸念がないとは言えない」と結論づけました。


アクリルアミドを日本人は何からとっている?

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 日本人がどんな食材からとっているかの割合をみると、高温調理した野菜が56%と最も多く、食品安全委の佐藤洋委員長は同日の審議で「野菜を避ければいいということではない。野菜には栄養があり、食べることで健康によい影響がある。過度の加熱を避けて適切に調理することと、特定の食品に偏らない食生活が大切だ」と述べました。


120℃以上で発がん性物質が!

 アクリルアミドは、合成樹脂や染料などの原料として工業的に生成されている物質です。毒物及び劇物取締法上の劇物に指定され、職業暴露や事故によって大量に吸収すると神経毒性・肝毒性があり、国際がん研究機関(IARC)は1994年に「ヒトにおそらく発がん性がある物質(グループ2A)」に分類しています。

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なぜ食べ物に含まれるのか?

 実はアクリルアミドは、食品中のアスパラギンというアミノ酸とブドウ糖や果糖などの糖質が合わさり、120℃以上で加熱されると化学反応によって生成されることがわかっています。ただし、その量はごく微量です。同じ食材でも、煮たり蒸したりした場合は、アクリルアミドは作られません。

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 食品中のアクリルアミドについては、2002年、スウェーデン食品安全庁とストックホルム大学が、「炒める」「焼く」「揚げる」などの調理をしたジャガイモや穀類の加工品に含まれていると発表して注目されました。以来、全世界で食品中のアクリルアミドの毒性と食品の安全性について研究が開始。当時は日本でもポテト系のスナックが問題視され、メーカーはアクリルアミドの低減研究に奔走しなければなりませんでした。

 肝心の「摂取量」と「がん発生率」の疫学調査はどうでしょうか? 2007年にオランダで「アクリルアミド摂取が発がんリスクを上げる」という研究結果が出ています。しかし一方で、「発がん性がある」という見解は動物に大量投与する実験から導き出されたものであり、人における発がんリスクは上昇しないという調査結果も多いといいます。

 食品安全委員会はこうした疫学調査を詳細に検討し、その結論として「動物実験の大量投与と同様に、人もアクリルアミドを大量摂取するとおそらく発がんリスクが上がるだろう」と結論づけました。しかし、日常生活レベルの摂取量での発がんリスク上昇は確認されていないため「大量摂取をしないように」という呼びかけにとどめています。


家庭調理、注意点は 焼き・揚げ色、控えめに

 では、摂取量を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。「バランスよく適量食べること」「摂取源として比較的大きな割合を占めるジャガイモの調理に気をつけること」が勧められます。ジャガイモの調理では、揚げ物など120度以上で加熱する場合は、調理の前に冷蔵庫で保管しないで、揚げ色や焼き色をつけるときは控えめにすることが有効だといいます。

 食品安全委によると、ジャガイモを低温で保存すると、アクリルアミドができる原因となる糖類が増え、これを揚げたり炒めたりすると、特定の糖類とアミノ酸が反応し、アクリルアミドが生成されます。蒸したりゆでたりする場合は、加熱温度が120度にはならないため、問題となりません。

 また、農研機構食品総合研究所は、フライドポテト=グラフ=やトーストの加熱度合いとアクリルアミドの生成量を調べました。ほとんど色づかない状態では生成量はあまり増えませんでしたが、焼き加減や揚げ加減が強くなると生成量も増えるとしています。家庭によって揚げ加減や焼き加減の好みはさまざまですが、おいしく食べられる範囲で生成量を減らす工夫は家庭でもできます。

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食品業界も対策

 食品業界でもアクリルアミド低減の取り組みは進んでいます。農林水産省は2013年、「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」を出しました。事業者に対し、貯蔵方法や加熱条件などについてアクリルアミドを減らす方法を細かく示しました。

 カルビーは貯蔵段階、加工段階それぞれで、アクリルアミドの元となるアミノ酸や糖類を抑える取り組みをしています。例えば、ジャガイモをスライス後、揚げる前に湯通しして糖類を洗い流す。ジャガイモの品質によって加熱条件を加減し、焦がさないようにする。揚げたポテトチップスに風を当て120度以上になる時間を短くする。湿度や温度をコントロールできる専用倉庫で貯蔵する、などです。「取り組み前に比べれば確実に減っている」といいます。

 一方、昨秋からは、アクリルアミドの生成を抑える食品添加物「アスパラギナーゼ」も流通するようになりました。微生物由来の酵素で、加工段階で生地などに混ぜると、アクリルアミドが減らせるといい、アスパラギナーゼのメーカーは「クラッカーやビスケットでは約8割、ジャガイモ練り生地では約9割減らせる」としています。

(AsahiDigital、HealthPress、農林水産省pdfより)
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