社会的な付き合いは、食事や運動と同じぐらい健康に影響する

 米大学が行った研究は、「社会的なつながり」と「体の健康」の関連を明確に示した最初の研究です。若いころから「社会との強い結びつき」を維持することは、病気のリスクを低下させ、健康状態に影響するといいます。


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 「人間は社会的な動物である」とは古代ギリシャの哲学者アリストテレスが残した名言ですが、身も心も健康でいたければ、この言葉が指摘する通り、人は引きこもっていてはいけないそうです。研究により、長期的な健康を保つには、ある程度の良好な社会付き合いが必然だということがわかってきました。

 個人の社会性と健康状態を横断的なデータで関連付ける調査は、これまでにもいくつもなされています。しかし、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校社会学科教授のキャスリーン・ハリス率いるグループの研究は、「社会的なつながり」と「体の健康」の関連を明確に示した最初の研究です。

 米国科学アカデミー紀要(PNAS)で発表された論文によると、若いころから社会との強い結びつきを維持することは、病気のリスクを低下させ、人生のあらゆる段階における健康状態に影響することがわかりました。

 研究者らは、個人の人生における各段階で、腹部肥満、C-リアクティブ・プロテイン(CRP)による炎症反応、高血圧、体格指数(BMI)などのバイオマーカーと、社会的な繋がりの関連を分析しました。社会的なつながりの指標には、個人がどれだけ社会に溶け込めているか(社会的統合)と、社会的サポートがあるか、社会的負荷があるか、の3つに重点がおかれました。

 すると社会に溶け込めているかの指標は、特に若年期と老年期の両方に影響することがわかりました。驚くことに、思春期から青年期にかけての社会からの孤立は、運動をしないのと同じほど、CRPによる炎症リスクが上昇しました。反対に、そのころに広い社会関係を築けていると、腹部肥満のリスクが低下の傾向がありました。


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 老年期の社会的孤立は、高血圧のリスクに大きく関連しました。糖尿病の患者には高血圧が多いのですが、中年期から老年期の社会からの孤立が関連する高血圧リスクは、糖尿病患者と高血圧の関連がさらに上回りました。

 ただし、仕事をばりばりこなしたり、子育てに追われる壮年期から中年期にかけては、社会関係の広さよりも、それらの関係が提供する「社会的サポート」や「社会的負荷」の方が、バイオマーカーとの関連が大きかったそうです。

 幅広い社会関係は、若いころと老後のバイオマーカーには影響がみられましたが、壮年期から中年期の成人には、量よりも質、すなわち社会関係のクオリティの方が重要だということなのでしょう。このころ社会的サポートがあると、腹部肥満とBMIは低下する、つまり一般的な肥満からの予防になっており、社会的負荷が大きいと、CRPによる炎症反応、腹部肥満、BMIが上昇する傾向にありました。

 この研究のポイントは、被験者の“主観的”な社会との繋がりは、計測可能なバイオマーカーに相関することを示したことです。そして炎症反応、高血圧、肥満などは、どれも長期的に心臓病、脳卒中、癌といった生活習慣病に繋がる可能性が高いバイオマーカーです。

 近年の研究で、社会からの孤立や、“主観的”な孤独は、健康を害することがわかってきています。また、幸福な人生の秘訣は、社会との繋がりであるという調査結果もあります。そして今回の研究が示唆するのは、個人が社会とどう結びついているかは、人生における心身の健康を左右するほどの影響があるということです。

 ハリス氏はこの結果を受け、リリースで次のように述べています。「幅広い社会関係とソーシャルスキルを身に付けることは、健康な食事や運動と同じくらい重要だと、思春期から青年期の若者たちに伝えていくべきです」

(WIRED JAPANより)
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