喫煙者の約7割がニコチン依存症

 ニコチンはアルコールとともに、身近な依存性薬物の代表です。喫煙をやめられない人は、日本に1300万人いると言われています。

 肺がんをはじめとする健康被害が報告され、タバコのコマーシャルが規制される国もあるほど有害物質なのに、止められない人が多いのは、「 ニコチン依存症 」のゆえでしょう。禁煙とその失敗の繰り返しは、禁断症状の卑近な例です。


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ニコチン依存性のメカニズム

 ニコチンは呼吸や循環など生命維持に関わる「脳幹」と、情動などに関わる「大脳辺縁系」に作用します。ニコチンには、量が少ないと興奮性に、多いと抑制性に働く二面性の作用があって、ぼんやりしている時にゆっくりと吸うと頭を活性化させ、イライラしている時に吸うと、急速に気分が落ち着きます。

 しかも、麻薬などに比べると即効性があり、吸煙後10秒程度で、脳の報酬系神経回路を活性化させ、すぐにその効果が切れます。ですから、タバコを吸っている間、ごく短い快感の発生と喪失が繰り返されます。その回数はタバコひと箱で200回にも及ぶと言われています。この繰り返しが脳に記憶され、依存性が形成されます。



タバコがやめられない理由

 ひとたび依存性ができると、イライラ、集中困難、敵意と攻撃性、頭痛、疲労感、抑うつ気分などの離脱症状が現れます。禁煙してから48時間後がピークと言われ、その後は症状が治まりますが、では禁煙できるかというと難しいのがニコチン依存症です。

 1960年代には日本の成人喫煙率は80%でした。このころから心臓病や肺がんのリスクが叫ばれるようになってきましたが、現在でも、身体への慢性中毒症状が強調されているものの、感情や思考までおかしくなるわけではないと信じられているのが、禁煙が難しい理由だと言います。



禁煙の治療

 喫煙を病気と考え、喫煙者を患者とみる「禁煙外来」もできています。禁煙補助薬を処方してもらい、保険適用で禁煙に取組むこともできるようになりました。ニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン製剤を使った「ニコチン代替療法」、ニコチン受容体の部分作動薬バレニクリン(チャンピックス等)を用いて、離脱症状の切望感を抑え、服用による満足感を小さくする方法などがあります。

 また、生活習慣の改善による禁煙推進も盛んです。起きてすぐ一服の代わりに深呼吸や体操、水を飲む。勤務中のイライラには喫煙所に近づかない、ガムをかむ、深呼吸など。宴会では自分が禁煙していることを周囲に表明したり、吸わない人のそばに座ったりする。風呂上がりの一服には、水を飲んだり歯を磨くなどが、「禁煙治療のための標準手順書 」として奨励されています。



外圧でなく内発で!

 2005年現在、日本の成人喫煙者は約2,600万人弱(2,569万人)と推計されていますが、このうちの 約7割がニコチン依存症と推定されています。男性の4人に1人、女性の3人に1人は禁煙を希望しています。医師会は「すすめよう禁煙」というキャンペーンで、受動喫煙防止も含めた禁煙活動の推進を行っています。

 依存対象を絶つことは依存症克服の方法ですが、全か無かといった完璧主義は、ダイエット同様リバウンドのリスクを伴います。また、病気になるぞと脅したり、周囲の迷惑を考えろといった受動喫煙防止も、外圧でしかなかったら、本当には止められないでしょう。

 一昔前の映画を見ると、喫煙シーンが盛んです。主人公はかっこよくタバコを吸っています。50年前には大人の証だったような「タバコですが、現在は「病気」といわれるのですから、大きな価値観の変化に適応しなければ、内発的な禁煙は望めません。

(Mocosuku、アルバ薬局HPのより)
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