復活祭オラトリオ「来たれ、急げ、そして走れ、急げる足よ」 BWV 249

 復活祭とは、処刑されたイエス・キリストが死後3日目に復活したことを記念する日でイースターとも言います。 復活祭は春分の後の最初の満月の日の次の日曜日で、キリストが甦ったことを記念し、春の自然の甦りを祝うお祭りです。復活の象徴の卵を食べたり、ペインティングした卵を贈り合ったりして、盛大に祝います。

 


 オラトリオとカンタータの違いを簡単に言えば、劇的な内容を持つが演劇的には演じないオーケストラ付きの声楽曲がオラトリオで、カンタータは劇的な内容を持たないオーケストラ付きの声楽曲です。

 BACHがライプツィヒのトマス・カントルに就任して2年目の1725.4.1に初演されたこの復活祭オラトリオは、羊飼いのカンタータと呼ばれる祝賀カンタータ(BWV202)の歌詞を入れ替え、レチタティーヴォを新たに書きなおして、復活祭オラトリオとして作り上げました。


 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、イングリッシュ・バロック・ソロイスツの演奏会録画でお聴きください。歌手はハンナ・モリソン(S)、メグ・ブレイグル (MS)、ニコラス・ムルロイ(T)、ピーター・ハーベイB)で2013年の演奏録画です。





復活祭オラトリオ「来たれ、急げ、そして走れ、急げる足よ」BWV 249


第1曲:シンフォニア

第2曲:アダージョ   

第3曲:合唱と二重唱

 合唱

Kommt, eilet und laufet, ihr flüchtigen Füße,

来たれ、急げ、そして走れ、急げる足よ、

Erreichet die Höhle, die Jesum bedeckt!

イエスを覆う洞穴に至るまで。

 二重唱(テノール、バス)

Lachen und Scherzen Begleitet die Herzen,

笑いと冗談が心に伴う、

Denn unser Heil ist auferweckt.

我らの救い主は目覚められた。

第4曲:レチタチーフ

 アルト

O kalter Männer Sinn! Wo ist die Liebe hin,

おお冷たき男らの心よ、愛はどこに行った。

Die ihr dem Heiland schuldig seid?

救い主の恩を思う愛はどこに。

 ソプラノ

Ein schwaches Weib muss euch beschämen!

か弱き女はあなた方を恥じます。

 テノール

Ach, ein betrübtes Grämen

ああ、悲しみの極み。

 バス

Und banges Herzeleid

そして気がかりな心の痛みが。

 テノール、バス

Hat mit gesalznen Tränen

苦き涙と

Und wehmutsvollem Sehnen

哀切のあこがれで

Ihm eine Salbung zugedacht,

あの方に塗油を施したのだ。

 ソプラノ、アルト

Die ihr, wie wir, umsonst gemacht.

あなたがたもまたわれら同様、なすすべもなく。

第5曲:アリア(ソプラノ)

  Seele, deine Spezereien

魂よ、おまえの香料は

Sollen nicht mehr Myrrhen sein.

もはや没薬(もつやく)ではない。

Denn allein Mit dem Lorbeerkranze prangen,

月桂冠の輝きのみが

Stillt dein ängstliches Verlangen.

おまえの切なる願いを満たそう。

第6曲:レチタチーフ

 テノール

Hier ist die Gruft

ここに墓穴がある。

 バス

Und hier der Stein,Der solche zugedeckt.

そしてここに穴を塞ぐ石がある。

Wo aber wird mein Heiland sein?

だが私の救い主はどこに。

 アルト

Er ist vom Tode auferweckt!

あの方は死から目覚められた。

Wir trafen einen Engel an,Der hat uns solches kundgetan.

私達が会った天使がそう告げたのです。

 テノール

Hier seh ich mit Vergnügen

喜ばしくも私はここに

Das Schweißtuch abgewickelt liegen.

御汗を拭った布が丸めて置かれているのを見ます。

第7曲:アリア(テノール)

Sanfte soll mein Todeskummer,

わが死の苦しみは和らいで、

Nur ein Schlummer,

ただの眠りとなりましょう、

Jesu, durch dein Schweißtuch sein.

イエスよ、あなたの御布によって。

Ja, das wird mich dort erfrischen

まことにそれは私を元気づけ

Und die Zähren meiner Pein

私の苦痛の涙は

Von den Wangen tröstlich wischen.

慰めるように 頬を洗う。

第8曲:レチタチーフとアリオーソ(ソプラノ、アルト)

Indessen seufzen wir

しかし私たちはため息をつく

Mit brennender Begier:

燃える思いで。

Ach, könnt es doch nur bald geschehen,

ああ、どうかただすぐに、

Den Heiland selbst zu sehen!

救い主に自らお会いできれば。

第9曲:アリア(アルト)

Saget, saget mir geschwinde,

言っておくれ、私にはやく、

Saget, wo ich Jesum finde,

言っておくれ、どこでイエスが見つかるか、

Welchen meine Seele liebt!

心から愛するイエスを。

Komm doch, komm, umfasse mich;

おいで下さい、どうか、私を抱いて下さい。

Denn mein Herz ist ohne dich

私の心はあなた無しには

Ganz verwaiset und betrübt.

全く孤独で悲しみに沈むから。

第10曲:レチタチーフ(バス)

Wir sind erfreut,

私たちは嬉しい、

Dass unser Jesus wieder lebt,

私たちのイエスが生き返り、

Und unser Herz,

はじめは悲しみに融け流れた

So erst in Traurigkeit zerflossen und geschwebt

我らの心が、

Vergisst den Schmerz

苦しみを忘れ

Und sinnt auf Freudenlieder;

喜びの歌を思うのが。

Denn unser Heiland lebet wieder.

我らの救い主が蘇られたのだから。

第11曲:合唱 とアレグロ

Preis und Dank

称賛と感謝よ

Bleibe, Herr, dein Lobgesang.

留まりたまえ、主よ、あなたの誉め歌よ。

Höll und Teufel sind bezwungen,

地獄と悪魔は屈服し、

Ihre Pforten sind zerstört.

彼らの城門は陥落した。

Jauchzet, ihr erlösten Zungen,

喜び歌え、救われた舌よ、

Dass man es im Himmel hört.

天国にも聴こえるように。

Eröffnet, ihr Himmel, die prächtigen Bogen,

開け、天国よ、輝けるアーチを、

Der Löwe von Juda kommt siegend gezogen!

ユダの獅子は勝ち誇りて昇る。

                    対訳:樋口隆一


マルコによる福音書 16章 1-8

  安息日が終わると、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメは、イエスに油を塗りに行くために香料を買った。 そして、週の初めの日の朝ごく早く、日が出るとすぐ墓に行った。 彼女たちは、「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。 ところが、目を上げて見ると、石は既にわきへ転がしてあった。石は非常に大きかったのである。 墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので、婦人たちはひどく驚いた。若者は言った。「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスを捜しているが、あの方は復活なさって、ここにはおられない。御覧なさい。お納めした場所である。 さあ、行って、弟子たちとペトロに告げなさい。『あの方は、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる』と。」 婦人たちは墓を出て逃げ去った。震え上がり、正気を失っていた。そして、だれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。
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