われは生きて汝を楽しません、わが心よ(BWV 145)

 復活祭第3日目に聴くこの曲は、1729.4.19ライプツィヒで初演されたと推測されていますが、直接伝承されたものではなく、19世紀初頭に作成されたスコアによって伝えられています。全曲で10分以内で演奏される短いカンタータです。

(1725年の作品は現存しません)


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 作詞はピカンダーで、いわゆる「ピカンダー年巻」の第1曲になります。ピカンダーとは本名はクリスティアン・フリードリッヒ・ヘンリーツィで、本職は公務員ですが、「マタイ受難曲」や「コーヒーカンタータ」の台本作者でもあります。

 当日の福音書の朗読箇所は、復活したイエスがエルサレムで弟子たちの前に現れたことを述べたルカ福音書です。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ&合唱団、ヨハネッテ・ゾマー(S)、クリストフ・プレガルディエン(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




われは生きて汝を楽しません、わが心よ(BWV 145)


1 .アリア(二重唱)テノール:イエス、ソプラノ:魂

イエス

Ich lebe, mein Herze, zu deinem Ergötzen,

わが心よ、わたしが生きるのは、あなたを喜ばせるため。

Du lebest, mein Jesu, zu meinem Ergötzen,

わがイエスよ、あなたが生きるのは、わたしを喜ばせるため。

イエス

Mein Leben erhebet dein Leben empor.

わたしの生命があなたの生命を高く引き上げる。

Dein Leben erhebet mein Leben empor.

あなたの生命がわたしの生命を高く引き上げる。

両者

Die klagende Handschrift ist völlig zerrissen,

訴えの証書は完全に破棄された

Der Friede verschalt ein ruhig Gewissen

平和は良心の安らかさを生み

Und öffnet den Sündern das himmlische Tor.

罪人たちに天国の扉を開く。

2 .レチタティーヴォ(テノール)

Nun fordre, Moses, wie du willt,

モーセよ、思うさま求めなさい、

Das dräuende Gesetz zu üben,

威嚇する律法を行使しろと、

Ich habe meine Quittung hier

わたしはこの証文に

Mit Jesu Blut und Wunden unterschrieben.

イエスの血と傷で署名した。

Dieselbe gilt,

その効力とは、

Ich bin erlöst, ich bin befreit

わたしが贖われ、解放され

Und lebe nun mit Gott in Fried und Einigkeit,

いまこそ神との平和と一致を得て生きること、

Der Kläger wird an mir zuschanden,

訴える者はわたしのところで自滅する、

Denn Gott ist auferstanden.

神は復活されたのだから。

Mein Herz, das merke dir!

わが心よ、そのことを憶えていなさい。

3 .アリア(バス)

Merke, mein Herze, beständig nur dies,

わが心よ、このことだけを常に銘記していなさい、

Wenn du alles sonst vergisst,

たとえあなたが他の全てを忘れても、

Dass dein Heiland lebend ist;

あなたの救い主は生きておられるということを。

Lasse dieses deinem Gläuben

このことがあなたの信仰の

Einen Grund und Feste bleiben,

堅い基礎であり続けるように、

Auf solche besteht er gewiss.

その上にこそ信仰は堅くあり続ける。

Merke, meine Herze, nur dies.

わが心よ、このことだけを銘記していなさい。

4 .レチタティーヴォ(ソプラノ)

Mein Jesus lebt,

わがイエスは生きておられる、

Das soll mir niemand nehmen,

わたしからそれを奪える者はいない、

Drum sterb ich sonder Grämen.

だからわたしは死んでも悲しくない。

Ich bin gewiss

わたしは確信し

Und habe das Vertrauen,

信頼を置いている、

Dass mich des Grabes Finsternis

墓の暗闇がわたしを

Zur Himmelsherrlichkeit erhebt;

天の栄光へと高めることを。

Mein Jesus lebt,

わがイエスは生きておられる、

Ich habe nun genug,

だからわたしは満ち足り、

Mein Herz und Sinn

この心と思いは

Will heute noch zum Himmel hin,

今日にも天に昇りたい、

Selbst den Erlöser anzuschauen.

みずから救い主を拝むために。

5 .コラール

Drum wir auch billig fröhlich sein,

だからわれらも喜んでよい、

Singen das Halleluja fein

ハレルヤを上手に歌い

Und loben dich, Herr Jesu Christ;

主イエス・キリストよ、あなたを賛美します。

Zu Trost du uns erstanden bist.

あなたはよみがえり、われらの慰めとなる。

Halleluja!

ハレルヤ。

                       対訳:磯山 雅


ルカによる福音書 24,36-47
 こういうことを話していると、イエスご自身が彼らの真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。彼らは恐れおののき、亡霊を見ているのだと思った。そこで、イエスは言われた。「なぜ、うろたえているのか。どうして心に疑いを起こすのか。わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしだ。触ってよく見なさい。亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある。」こう言って、イエスは手と足をお見せになった。彼らが喜びのあまりまだ信じられず、不思議がっているので、イエスは、「ここに何か食べ物があるか」と言われた。そこで、焼いた魚を一切れ差し出すと、イエスはそれを取って、彼らの前で食べられた。イエスは言われた。「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄は、必ずすべて実現する。これこそ、まだあなたがたと一緒にいたころ、言っておいたことである。」そしてイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心の目を開いて、言われた。「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、(あなたがたはこれらのことの証人となる。)

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