PCのヘビーユーザーはボケない! PCライフの減少は“精神機能の低下”

 昔に較べてPCをあまり触らなくなってきた気がする――。身近な高齢者にそんな感想を抱いたら、それは「アルツハイマー病の初期徴候」かもしれません。

 そんなPC使用時間の減少傾向と、脳細胞がゆっくりと死んでゆく変性疾患の関連性に着目した研究の報告が3月9日、『Journal of Alzheimer's Disease』に掲載されました。

 米ポートランドにあるオレゴン健康科学大学加齢・アルツハイマー病センターのLisa Silbert氏らの論文です。


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PCを操るには複数の脳機能が必要


海馬の容積を左右するPCライフ

 この研究では、認知症やその他の思考/記憶障害の徴候がみられない男女(65歳以上)を対象に選び、各自のコンピュータの使用時間を記録しました。加えて記憶に関する重要な脳領域として知られる「海馬」のMRI撮影を実施しました。

 大脳側頭葉の内側部で側脳室下角底部に位置する海馬。その容積減少は「アルツハイマーの徴候」としてよく知られています。

 一方、PCを操るには注意力・計画力・記憶力などの複数の脳機能が必要とされるのも周知の事実です。また、現在の高齢層はPC第一世代として仕事や趣味の領域でもその文明の恩恵を浴びてきた人々です。

 そんなOB世代も寄せる年の波で個人差はあるものの、オンラインで過ごす時間を一様に減らしてゆきます。きっかけは定年退職や趣味の卒業など、その減少理由は十人十色ですが、Silbert氏らの報告は「精神機能の低下」がひとつの可能性である点を示唆しています。

 文字どおり寄せる年の波には勝てないわけですが、確かに「ネトゲ老人」の存在はあまり耳にしません。


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脳(前頭前野)の活動状況(東北大学加齢医学研究所)


寄せる年の波はキーボードで防ぐ!?

 良し悪しを別にすれば、PCと向き合える時間が長ければ長いほど若さの証明ともいえるのでしょうか。

 使用時間の記録とMRI撮影で解析した本研究でも、PCを1日あたり1時間長く使うと「海馬の容積が0.025%大きくなる」という関連が認められたといいます。

 PCを使ったリハビリ効果は、医学誌『Journal of Physical Therapy Science』に載った研究論文でも示唆されました。これはアルツハイマー型認知症の患者35人を対象に、PCを週5回の頻度で1日あたり30分使ってリハビリに臨ませました。

 具体的にはPC画面上に絵やコトバを表示し、被験者が記憶した内容(=回答)をマウス操作で応えていくというもので。約4週間に渡るこのリハビリの結果、被験者間で単語やモノを記憶する成績の向上が認められたといいます。


海馬の容積も比例して減少する可能性

 厚生労働省の概算によれば日本人の場合、65歳以上の高齢者のおよそ7人に1人が認知症とみられています。予備軍の軽度認知障害(MCI)を含めれば4人に1人です。日米間の事情格差は諸々あるでしょうが、ポートランド発の研究対象が同じ「65歳以上」である点は看過できません。

 もっとも、今回の研究はオンライン時間と精神機能の関連性には迫ったものの、直接の因果関係を突き止めたものではありません。しかしPCの使用時間が減ったぶん、海馬の容積も比例して減少する可能性があります。

 であれば、その関連性から「将来の思考や記憶低下の程度を予測しうるかどうか?」は今後の課題です。Silbert氏らも「今回の被験者たちの追跡調査を行なう予定」と表明しています。

(HealthPressより)
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