飛行機内での飲酒は百害あって一利なし!

 明日から待望のゴールデンウィークです。今年は2日休めば10連休になることもあり、海外などに長期旅行に出かける方も多いと思われます。海外旅行といえば飛行機での長旅にお酒は欠かせないという人も少なくないはずです。酒飲みでなくても、「お酒を飲んでさっさと寝る」という人もいるでしょう。しかし一般に、飛行機での飲酒は酔いが早いから気を付けようと言われますが、実はもっと怖いことがあります。


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飛行機で酒を飲むと、いつもより酔っぱらう

 飛行機内での飲酒と酔い方の関係を調べてみると、機内での飲酒は単に「酔いやすい」だけではない危険性を含んでいるようです。いわゆるロングフライト症候群(エコノミークラス症候群)との関係です。

 ロングフライト症候群は、長時間同じ姿勢で座り続けていることで、下肢の血流が悪くなることによって血栓ができ、その血栓が何らかの拍子に肺に届き、動脈を詰まらせてしまうというものです。そんな恐ろしいロングフライト症候群と機内での飲酒が関係あるとは!

 単に酔いやすいだけならまだしも、生死にかかわるとなると、これはもうただごとではありません。


低酸素状態が要因!

 飛行機は離陸した後、高度1万メートル付近を飛行しています。飛行中、飛行機は空気を外から取り入れ、与圧装置で気圧を調節します。飛行中の機内の気圧は0.8気圧前後で最大で0.74気圧まで下がります。気圧の低下に伴い、酸素の分圧も減少します。具体的には、機内の酸素分圧も地上の80%程度まで低下します。1回の呼吸で体内に入ってくる酸素の量が、機内では地上に比べ2割減るということです。そういう環境に身を置くと、呼吸や脈拍を上げて適応しようとしますが、それでも血液中の酸素濃度(酸素飽和濃度)も92~93%と低酸素状態になります。酸素飽和濃度は、90%を切ると低酸素危険レベルとなります。つまり、機内では危険レベルの一歩手前の状態にあるわけです。この低酸素がいつもより酔いが早いと思う要因の一つです。


アルコールの影響が出やすい

 では一体、低酸素状態に身を置くことで、体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか?脳は低酸素になるとパフォーマンスが落ち、判断力が鈍くなるなど、酔いにも似た症状が現れることがあります。そうした低酸素状態でお酒を飲むと、いつもよりアルコールの影響が強く出やすく、酔いが早いと感じます。

 単にアルコールが効きやすいだけなら大きな問題にならないように思われるかもしれませんが、心臓疾患や糖尿病をはじめとする、血管に関わる持病を抱えている方は症状が悪化する可能性があるので、より一層の注意が必要です。


「お酒を飲んでさっさと寝る」は危ない

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 フライト中の酸素飽和濃度の推移


 グラフをよく見ると、フライト半ばでいきなりガクーンと数値が下がり、低酸素危険レベルをしばらく下回っている部分があります。就寝時は、健常な状態の人でも呼吸が浅くなるため、覚醒時より低酸素状態になります。また、アルコールを摂取すると、低酸素に対する体の反応が鈍くなってしまいます。アルコールを飲んで寝てしまうと低酸素を助長することになり危険です。

 さらに、低地(海抜171m)と高地(3000m)におけるアルコール摂取前後の血液中の酸素濃度を比較した研究もあります。これによると、高地では低地に比べて酸素濃度が低くなり、さらにアルコールの摂取後は低地、高地のいずれも酸素濃度が下がることが確認されました。つまり、アルコールの摂取がカラダの低酸素状態をより助長していることを示しています。

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低地と高地におけるアルコール摂取前後の血液中の酸素濃度


機内は湿度20%! 猛烈に乾いている

 低酸素に加え、機内の乾燥による水分不足にも注意する必要があります。アルコールの利尿作用により水分不足が助長され、ロングフライト症候群などの健康問題を引き起こす可能性が高まります。

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フライト中の機内の湿度と温度の変化


 飛行機内は極めて乾燥しています。フライト開始後30分も経つと機内の湿度は30%台に下がり、その後20%程度まで下がります。適度な湿度と言われる40~70%と比較すると半分以下です。乾燥している状態で、利尿作用があるアルコールを飲むと、血液中の水分が不足し、血液はドロドロ状態になり、血栓のリスクが高まります。それでなくとも機内は同じ姿勢で長時間座っていることで、血栓ができやすいと言われています。

 これが、機内でのアルコール摂取がロングフライト症候群を引き起こす可能性があると言われる理由です。ロングフライト症候群を避けるためにも、アルコールは控えたほうがいいでしょう。特に心臓病などの血管系の病気や生活習慣病を持っている方は注意が必要です。


水分は1時間に100cc摂取!

 飲酒量を抑えるほかに注意すべきポイントは、水分をこまめに摂ることです。

食事の水分量も含め、1時間に100cc程度摂取するように心がけます。体重1キロあたり2ccが適量なので、体重50kgで100cc、体重100kgなら倍の200cc程度摂るようにします。

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 こうしたことに加え、血栓予防のためにも長時間のフライトの場合は、足を曲げたり、伸ばしたりするなどの軽い運動をすることも重要です。女性の場合、弾性ストッキングを身に付けることも有効な手立ての一つです。

 私もゴールデンウイーク直後に海外旅行を予定しています。酒は強いほうではないので控えますが、こまめな水分の補給を心がけます。またロングフライト症候群を予防するために、機内では「フットレストハンガー 」を使います。


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 色々市販されていますが気に入ったものがなく、また航空会社によっては使用を禁止されることがあります。そこで自分である工夫をしました。これについては後日、写真を撮ってブログで紹介する予定です。

(日経Goodayより要約、加筆)

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