汝らわが名において願いしことなし(BWV87)

 今日は復活祭後第5主日です。この日のためのカンタータもBWV86と87の2曲しか現存しません。1725年の第2年巻に合わせて、昨年と同じBWV87を聴くことにします。

 このカンタータは、1725.05.06、ライプツィヒで初演された女流詩人クリスティアーネ・マリアーネ・フォン・ツィーグラーの台本よるもので、当日朗読されたヨハネ福音書のイエスの決別説教を基にしています。


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 イエスの言葉をバスのアリオーソに託して始まり、前半は厳しい断罪の調子を帯び悔い改めの厳粛さに支配されていますが、後半では 「勇気を出せ」の言葉を受けて慰めに気分へと変わり、雅歌を思わせるような、イエスへの熱烈な愛の歌へとなります。


 今回もトン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ&合唱団、ボグナ・バルトシュ(A)、イェルク・デルミュラー(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




汝らわが名において願いしことなし(BWV87)

1.アリオーソ(バス)

Bisher habt ihr nichts gebeten in meinem Namen.

これまでお前たちは何も願ったことがない、私の名において。

2.レチタティーヴォ(アルト)

O Wort, das Geist und Seel erschreckt!

おお、霊と魂を恐れさせるこの御言葉。

Ihr Menschen, merkt den Zuruf,

人間たちよ、呼び声を心に刻むがいい、

was dahinter steckt!

その背後の意味を!

Ihr habt Gesetz und Evangelium

お前たちは、律法と福音を

vorsätzlich übertreten;

故意に踏み越えてしまった。

Und dies möcht' ihr ungesäumt

このおりにためらわず望むがいい、

in Buß und Andacht beten.

悔い改めと敬虔の中で祈ることを。

3.アリア(アルト)

Vergib, o Vater, unsre Schuld

許してください、おお父よ、私たらの咎を、

Und habe noch mit uns Geduld,

私たちのつことをなお堪え忍んでください。

Wenn wir in Andacht beten

私たちが敬虔に祈り

Und sagen: Herr, auf dein Geheiß,

こう言うときには:主よ、ご命令とおりに。

Ach, rede nicht mehr sprichwortsweis,

ああ、もはやたとえでお語りにならず、

Hilf uns vielmehr vertreten.

むしろ、私たちが代わりをつとめるのを助けてください。

4.レチタティーヴォ(テノール)

Wenn unsre Schuld bis an den Himmel steigt,

たとえ私たちの咎が天まで届くとしても、

Du siehst und kennest ja mein Herz,

あなたは私の心をご覧になり、知ってくださいます、

das nichts vor dir verschweigt;

この心があなたの前で隠し立てしないことを。

Drum suche mich zu trösten!

ですから、つとめて私を慰めてください。

5.アリオーソ(バス)

In der Welt habt ihr Angst;

世にあって、お前たちには苦しみがある。

aber seid getrost,

しかし勇気を出せ。

ich habe die Welt überwunden.

私は世に対して勝利をおさめたのだ。

6.アリア(テノール)

Ich will leiden, ich will schweigen,

私は苦しみを受けよう、沈黙しよう。

Jesus wird mir Hilf erzeigen,

イエスが私に助けを与えてくださるだろう、

Denn er tröst' mich nach dem Schmerz.

なぜならイエスは、私を苦痛の後で慰めてくださるのだから。

Weicht, ihr Sorgen, Trauer, Klagen,

退け、煩いよ、悲しみよ、嘆きよ。

Denn warum sollt ich verzagen?

なぜこの身がひるんでよかろうか。

Fasse dich betrübtes Herz!

落ち着くがいい、憂いに沈む心よ!

7.コラール

Muss ich sein betrübet?

憂いに沈む必要があろうか?

So mich Jesus liebet,

イエスが私を愛してくださる以上、

Ist mir aller Schmerz

あらゆる痛みは私にとって

Über Honig süße,

蜜よりも甘い。

Tausend Zuckerküsse

数知れぬ砂糖のようなキスを

Drücket er ans Herz.

イエスは心こ印してくださるのだ。

Wenn die Pein sich stellet ein,

たとえ苦痛が到来しても、

Seine Liebe macht zur Freuden

主の愛は喜びへと変えてくださる、

Auch das bittre Leiden.

辛い苦難をさえ。

                         対訳:磯山 雅

ヨハネによる福音書 16章 23-30

 その日には、あなたがたはもはや、わたしに何も尋ねない。はっきり言っておく。あなたがたはわたしの名によって何かを父に願うならば、父はお与えになる。今までは、あなたがたはわたしの名によっては何も願わなかった。願いなさい。そうすれば与えられ、あなたがたは喜びで満たされる。」

 「わたしはこれらのことを、たとえを用いて話してきた。もはやたとえによらず、はっきり父について知らせるときが来る。その日には、あなたがたはわたしの名によって願うことになる。わたしがあなたがたのために父に願ってあげる、とは言わない。父御自身が、あなたがたを愛しておられるのである。あなたがたが、わたしを愛し、わたしが神のもとから出て来たことを信じたからである。わたしは父のもとから出て、世に来たが、今、世を去って、父のもとに行く。」弟子たちは言った。「今は、はっきりとお話しになり、少しもたとえを用いられません。あなたが何でもご存じで、だれもお尋ねする必要がないことが、今、分かりました。これによって、あなたが神のもとから来られたと、わたしたちは信じます。」
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