ただキリストの昇天によりてのみ(BWV128)

 今年の昇天祭に聴くこのカンタータは1725.5.10にライプツィヒで初演されたクリスティアーネ・マリアーネ・フォン・ツィーグラーの歌詞台本による作品です。 冒頭にコラール合唱曲を持つため、コラール・カンタータとして扱われてきましたが、今では通常のカンタータとして分類されています。


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 昇天祭オラトリオではペリコーペ(礼拝で朗読する聖書の段落)で語られる昇天の物語を直接扱っていますが、BWV128では、すでに昇天して神の右に坐すイエスを讃え、「われ」もイエスに倣いこの世を去りゆく備えのできたことを歌います。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ&合唱団、ボグナ・バルトシュ(A)、クリストフ・プレガルディエン(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




ただキリストの昇天によりてのみ(BWV128)

1 .合唱

Auf Christi Himmelfahrt allein

ただキリストの昇天のみに

Ich meine Nachfahrt gründe

わたしはその後を追う理由を求め

Und allen Zweifel, Angst und Pein

あらゆる疑念と不安、苦悩を

Hiermit stets überwinde;

つねにそのことで克服している。

Denn weil das Haupt im Himmel ist,

なぜなら主が天におられ、

Wird seine Glieder Jesus Christ

イエス・キリストはその四肢であるわれらを

Zu rechter Zeit nachholen.

正しいときに引き寄せられるから。

2 .レテ夕ティーヴォ(テノール)

Ich bin bereit, komm, hole mich!

わたしは用意ができています、

Hier in der Welt

どうか来て、わたしをお連れ下さい。

Ist Jammer, Angst und Pein;

この世では不幸と不安、苦悩、

Hingegen dort, in Salems Zelt,

けれどもかなた、サレムの幕屋では、

Werd ich verkläret sein.

わたしは栄光に包まれましょう。

Da seh ich Gott von Angesicht zu Angesicht,

そこでわたしは神を目の当たりにするのです、

Wie mir sein heilig Wort verspricht.

神の御言葉がわたしに約束されるように。

3 .アリアとレチタティーヴォ(バス)

Auf, auf, mit hellem Schall

さあ、さあ、明るい響きで

Verkündigt überall:

いたるところに告げ知らせよう。

Mein Jesus sitzt zur Rechten!

わがィエスが神の右に座っておられると。

Wer sucht mich anzufechten?

だれがわたしを惑わせようとするのか。

Ist er von mir genommen,

たとえイエスがわたしから奪われようと、

Ich werd einst dahin kommen,

わたしはいつの日かそこに行くだろう、

Wo mein Erlöser lebt.

わが救い主が生きておられるところに。

Mein Augen werden ihn in größter Klarheit schauen.

わたしの目は主をまざまざと見ることだろう。

O könnt ich im voraus mir eine Hütte bauen!

おお、前もって自分の小屋を建てることができるなら。

Wohin? Vergebner Wunsch!

どこに。無駄な願いだ。

Er wohnet nicht auf Berg und Tal,

主は山や谷に住んではおられない、

Sein Allmacht zeigt sich überall;

主の全能はいたるところに示される、

So schweig, verwegner Mund,

だから黙りなさい、不埒な口よ、

Und suche nicht dieselbe zu ergründen!

主の全能の奥義を求めてはならないのだ。

4 .アリア(二重唱)アルトとテノール

Sein Allmacht zu ergründen,

主の全能の奥義を知ることなど、

Wird sich kein Mensche finden,

望むべくもないこと、

Mein Mund verstummt und schweigt.

この口は閉ざされ、黙するのみ。

  Ich sehe durch die Sterne,

 わたしは星々を透して見るのだ、

  Dass er sich schon von ferne

 主がすでにかなたから

  Zur Rechten Gottes zeigt.

 神の右に座しておられることを。

5 .コラール

Alsdenn so wirst du mich

やがてあなたはわたしを

Zu deiner Rechten stellen

あなたの右に座らせ

Und mir als deinem Kind

あなたの子として

Ein gnädig Urteil fällen,

恵み深い判決を下されるでしよう、

Mich bringen zu der Lust,

わたしを喜びの国に連れて行かれ、

Wo deine Herrlichkeit

そこでわたしはあなたの栄光を

Ich werde schauen an

この目で見ることでしよう

In alle Ewigkeit.

世々とこしえに。

                    対訳:樋口隆一

マルコによる福音書 16章 14-20

 その後、十一人が食事をしているとき、イエスが現れ、その不信仰とかたくなな心をおとがめになった。復活されたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。それから、イエスは言われた。「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい。信じて洗礼を受ける者は救われるが、信じない者は滅びの宣告を受ける。信じる者には次のようなしるしが伴う。彼らはわたしの名によって悪霊を追い出し、新しい言葉を語る。

手で蛇をつかみ、また、毒を飲んでも決して害を受けず、病人に手を置けば直る。」

 主イエスは、弟子たちに話した後、天に上げられ、神の右の座に着かれた。一方、弟子たちは出かけて行って、至るところで宣教した。主は彼らと共に働き、彼らの語る言葉が真実であることを、それに伴うしるしによってはっきりとお示しになった。
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