人間の老化に対する初の遺伝子治療が成功か

 遺伝子治療について研究を行うBioViva USAが、世界で初めて人間の加齢に対する遺伝子治療に成功したと発表しました。実験的治療は同社のCEOに対して行われたもので、今回の実験結果が正しければ、年齢に関係して発生する疾患の治療法が大きく進化する可能性があります。


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 BioViva USAのCEOであるエリザベス・パリッシュ氏は2015年9月、自社で開発されている実験的な遺伝子治療を2つ受けました。1つは加齢による筋肉量減少を防ぐもので、もう1つは年齢に伴うさまざまな疾患によって幹細胞が消耗するのを防ぐ治療です。

 もともとこれらの研究は現代における遺伝子治療の安全性を示す目的で行われていたのですが、実験初期のデータが正しければ、遺伝子治療によってテロメアを伸長を可能とした世界最初の事例になるとのこと。これまで、テロメアの伸長実験はマウスを対象として行われてはきたものの、人間を対象とした実験は行われていませんでした。


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 テロメアとは、染色体の末端部にあり、遺伝子情報を保護するための部分。テロメアは細胞分裂が繰り返されるにつれて短くなっていき、その結果として老化現象が起こると言われています。反対に言うとこのテロメアを伸長することができれば老化を遅らせることが可能で、テロメラーゼという酵素がその役割を果たすのですが、人間の体細胞ではテロメラーゼが発現していないか、発現していても弱い活性しか持っていません。

 2015年9月、実験を行う前のパリッシュ氏が白血球からデータを採取して分析したところ、パリッシュ氏は同年齢の人に比べてテロメアの長さが短く、人生の早期に年齢に関連した疾患にかかりやすいという結果が出たとのこと。しかし、実験後、2016年3月に同じテストを行ったところ、パリッシュ氏のテロメアは約20年分も長くなっており、生物学的には白血球が若返っているという結果が示されたそうです。調査結果はブリュッセルを本拠とするNPO団体Heales Medicalにも確認されました。


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 パリッシュ氏は「今日の治療は、年齢に関係する疾患で苦しむ人たちに大きな利益をもたらしていませんでした。また、ライフスタイルを変えてもこれらの疾患に大きな影響を与えることはできません。バイオテクノロジーの進化は問題を解決する最善の方法ですし、もし今回の結果が正しければ、我々は歴史を作ったことになります」と語っています。



 BioVivaは今後数年間にわたってパリッシュ氏の血液をモニタリングしていく予定。また、白血球を若返らせることが可能でなるならば他の細胞や臓器に対しても有効である可能性があるとの見方で、現在はパリッシュ氏以外の被験者が存在しませんが、加齢に伴うダメージを修復する新しい治療法や、複数の治療法を組み合わせた方法について研究が続けられる意向です。

BioViva USAーGigazineより)
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