彼は羊の名を呼びたもう(BWV175)

 聖霊降臨祭第3日目に聴くこの曲は、1725.5.22ライプツィヒで演奏されました。台本は女流詩人マリアーネ・フォン・ツィーグラーですが前半は「真の羊飼い」としてのイエス、後半は「盲目の理性」が主題で、当日の福音書の章句を踏まえたものとなっています。イエスが自分を良い羊飼い、羊に門になぞらえ、羊としての信徒に、その門から入ることを勧めるのが詩の趣旨です。


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 特徴的なのは第4曲で歌われるテノールアリアはBWV173a第7曲のパロディーで、BWV173の改作で省略された曲が使われています。使われなかった曲を別のカンタータで再利用するのが、いかにもBACHらしいところです。


 昨日に引き続きクリストフ・コワン指揮、アンサンブル・バロック・ド・リモージュ、バルバラ・シュリック(S)、アンドレアス・ショル(CT)、クリストフ・プレガルディエン(T)、ゴットホルト・シュヴァルツ(B)の演奏でお聴きください。




1.レチタティーヴォ(テノール)

Er rufet seinen Schafen mit Namen und führet sie hinaus.

「彼は自分の羊たちの名を呼んで、彼らを連れ出す」

2.アリア(アルト)

Komm, leite mich,

お出でになり、私を導いてください。

Es sehnet sich

憧れているのです、

Mein Geist auf grüner Weide!

私の霊は、緑の牧場で。

Mein Herze schmacht,

私の心は焦がれ、

Ächzt Tag und Nacht

昼も夜も呻きます

Mein Hirte, meine Freude.

私の羊飼いよ、私の書びよ、と。

3.レチタティーヴォ(テノール)

Wo find ich dich?

どこにいらっしゃるのですか?

Ach, wo bist du verborgen?

ああ、どこにお隠れになったのですか?

O! Zeige dich mir bald!

おお、早くお姿を見せてください!

Ich sehne mich.

私はあこがれているのです、

Brich an, erwünschter Morgen!

現れよ、望ましい朝よ!

4.アリア(テノール)

Es dünket mich, ich seh dich kommen,

私には思われる、あなたの来られるのが見えると。

Du gehst zur rechten Türe ein.

あなたは正しい扉からお入りになり

Du wirst im Glauben aufgenommen

信仰において迎えられます。

Und musst der wahre Hirte sein.

それならぼ、真の羊飼いに違いない。

Ich kenne deine holde Stimme,

私はあなたのやさしい声を知っています。

Die voller Lieb und Sanftmut ist,

それは愛と温和さに満ちているのです。

Dass ich im Geist darob ergrimme,

ですから私は霊において憤る、

Wer zweifelt, dass du Heiland seist.

あなたが救い主であることを誰が疑うのか、と。

5.レチタティーヴォ(アルトとバス)

A:Sie vernahmen aber nicht, was es war,

  「しかし彼らにはわかりませんでした、

      das er zu ihnen gesaget hatte.

   彼らに語られたことが何だったのかを。」

B:Ach ja! Wir Menschen sind oftmals den Tauben zu vergleichen:

   そうだとも!私たち人間はよく鳩にたとえられる、

  Wenn die verblendete Vernunft nicht weiß,

  was er gesaget hatte.

  語られたことを盲目の理性が悟らないときには。

  O! Törin, merke doch, wenn Jesus mit dir spricht,

  おお、愚か者よ、銘記するがいい、

  イエスが言葉をかけてくださるとき

  Wer zweifelt, dass du Heiland seist.

  事はお前の救いに通ずるのだ、と。

6.アリア(バス)

Öffnet euch, ihr beiden Ohren,

開け、両の耳よ、

Jesus hat euch zugeschworen,

イエスがお前たちに誓われたのだ、

Dass er Teufel, Tod erlegt.

悪魔を、死を滅ぼすと。

  Gnade, Gnüge, volles Leben

恵み、満足、全き命を

Will er allen Christen geben,

イエスはキリスト者すべてに与えようとされる。

Wer ihm folgt, sein Kreuz nachträgt.

みあとに従い、その十字架を背負う者に。

7.コラール(合唱)

Nun, werter Geist, ich folg dir;

いざ・尊い霊よ、あなたに従います、

Hilf, dass ich suche für und für

助けてくだきい、私がとこしえに

Nach deinem Wort ein ander Leben,

御言葉に従い、新しい命を求められるように。

Das du mir willt aus Gnaden geben.

それをあなたは、恵みから私に

Dein Wort ist ja der Morgenstern,

与えてくださるのです。

御言葉こそは、明けの明星。

Der herrlich leuchtet nah und fern.

それほ遠く近くに、すばらしく輝いています。

Drum will ich, die mich anders lehren,

ですから私は、違うことを教える者たちに

In Ewigkeit, mein Gott, nicht hören.

永遠に、神様、耳を傾けますまい。

Alleluja, alleluja!

アレルヤ、アレルヤ!

                訳詞:磯山 雅


ヨハネによる福音書10,1-11

 「はっきり言っておく。羊の囲いに入るのに、門を通らないでほかの所を乗り越えて来る者は、盗人であり、強盗である。門から入る者が羊飼いである。門番は羊飼いには門を開き、羊はその声を聞き分ける。羊飼いは自分の羊の名を呼んで連れ出す。 自分の羊をすべて連れ出すと、先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、ついて行く。 しかし、ほかの者には決してついて行かず、逃げ去る。ほかの者たちの声を知らないからである。」

 イエスは、このたとえをファリサイ派の人々に話されたが、彼らはその話が何のことか分からなかった。 イエスはまた言われた。「はっきり言っておく。わたしは羊の門である。 わたしより前に来た者は皆、盗人であり、強盗である。しかし、羊は彼らの言うことを聞かなかった。 わたしは門である。わたしを通って入る者は救われる。その人は、門を出入りして牧草を見つける。 盗人が来るのは、盗んだり、屠ったり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしが来たのは、羊が命を受けるため、しかも豊かに受けるためである。 わたしは良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる。

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