そは頑なにしてひるむものなり(BWV 176)

 聖霊降臨祭(ペンテコステ)の次の主日(日曜日)に来るのが三位一体主日です。このカンタータは1725.5.27.ライプツィヒで初演されましたが、女流詩人ツィーグラーによる台本では最後の作品で、第2年巻のカンタータもここまでとなります。


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 当日の福音書章句をなすイエスとニコデモの対話を素材として用いています。 ニコデモはファリサイ派の教師で、名望ある議員でしたが、ある夜、彼がイエスのもとに来て行ったとされる対話も、福音書ではそれなりに敬意を込めた真摯なものですが、その彼をイエスがけんもほろろに扱うのは、ニコデモが地上的な知識にとらわれ、霊の側面を理解できないからにほかなりません。


 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮、コレギウム・ヴォカーレ・ゲント&オーケストラ、ヨハネット・ゾマー (S)、インゲボルグ・ダンツ (A)、ペーター・コーイ(B)の素晴らしい演奏でお聴きください。ヘレヴェッヘは私のベストです。





そは頑なにしてひるむものなり(BWV 176)


1.合唱

Es ist ein trotzig und verzagt Ding um aller Menschen Herze.

著り臆するところがあるものだ、すべての人の心には。

2.レチタティーヴォ(アルト)

Ich meine, recht verzagt,

私は、まさに臆して考える、

Dass Nikodemus sich bei Tage nicht,

ニコデモが昼ではなく

Bei Nacht zu Jesu wagt.

あえて夜、イエスのもとへ向かったことを。

Die Sonne musste dort bei Josua so lange stille stehn,

かのヨシュアのもとでは、日の留まることこそが望まれた、

So lange bis der Sieg vollkommen war geschehn;

勝利が完全なものとなるまで、長いこと。

Hier aber wünschet Nikodem: O säh ich sie zu Rüste gehn!

しかしここでニコデモは願う、おお、日の沈むのが見たいもの、と。

3.アリア(ソプラノ)

Dein sonst hell beliebter Schein

世の人があれほど慕うあなたの光も、

Soll vor mich umnebelt sein,

私のためには霞んでいてほしいもの、

Weil ich nach dem Meister frage,

私が師にお尋ねしようというのですから。

Denn ich scheue mich bei Tage.

この私は、昼をはばかるのです。

Niemand kann die Wunder tun,

奇跡をなしうるのはただ

Denn sein Allmacht und sein Wesen,

師の全能のみ。師の存在は

Scheint, ist göttlich auserlesen,

神に選ばれているように見えます。

Gottes Geist muss auf ihm ruhn.

神の霊が注がれているに違いないのです。

4.レチタティーヴォ(バス)

So wundre dich, o Meister, nicht,

ですからいぶかしまないでください、おお師よ、

Warum ich dich bei Nacht ausfrage!

私がなぜ夜にお尋ね申し上げるかを!

Ich fürchte, dass bei Tage

私は恐れているのです、昼に

Mein Ohnmacht nicht bestehen kann.

無力なこの身が持ちこたえられないことを。

Doch tröst ich mich, du nimmst mein Herz und Geist

しかし私は望みをかけます、あなたが私の心と霊を

Zum Leben auf und an,

命へと取り上げ、受け入れてくださることへと。

Weil alle, die nur an dich glauben, nicht verloren werden.

それはあなたをこそ信じる者が、ひとりも失われないからです。

5.アリア(アルト)

Ermuntert euch, furchtsam und schüchterne Sinne,

奮い立て、恐れ萎縮した五感よ。

Erholet euch, höret, was Jesus verspricht:

気を取りなおして聞きなさい、イエスの約束されることを。

Dass ich durch den Glauben den Himmel gewinne.

私は信仰を通じて、天を勝ち得るのです。

Wenn die Verheißung erfüllend geschicht,

約束が成就するとき、

Werd ich dort oben

私はかの天上で

Mit Danken und Loben

感謝と讃美をもって

Vater, Sohn und Heilgen Geist

父と子と聖霊を

Preisen, der dreieinig heißt.

讃えるでしょう、三位-一体と称せられる方を。

6.コラール

Auf dass wir also allzugleich

願わくは私たちがすぐにも

Zur Himmelspforten dringen

天の門へと至り、

Und dermaleinst in deinem Reich

いつか、あなたの御国で

Ohn alles Ende singen,

終わりなく歌いますように。

Dass du alleine König seist,

あなたのみが王として

Hoch über alle Götter,

あらゆる神々 の上高くあられますように、

Gott Vater, Sohn und Heilger Geist,

父と子と聖霊なる神よ

Der Frommen Schutz und Retter,

信仰ある者の護り手にして救い手よ、

Ein Wesen drei Personen.

一つの本質、三つのペルソナよ。

                   対訳:磯山 雅


ヨハネによる福音書 3章 1-15

 さて、ファリサイ派に属する、ニコデモという人がいた。ユダヤ人たちの議員であった。 ある夜、イエスのもとに来て言った。「ラビ、わたしどもは、あなたが神のもとから来られた教師であることを知っています。神が共におられるのでなければ、あなたのなさるようなしるしを、だれも行うことができないからです。」

 イエスは答えて言われた。「はっきり言っておく。人は、新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない。」ニコデモは言った。「年をとった者が、どうして生まれることができましょう。もう一度母の胎内に入って生まれることができるでしょうか。」

 イエスはお答えになった。「はっきり言っておく。だれでも水と霊によって生まれなければ、神の国に入ることはできない。肉から生まれたものは肉である。霊から生まれたものは霊である。『あなたがたは新たに生まれねばならない』とあなたがたに言ったことに、驚いてはならない。風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。霊から生まれた者も皆そのとおりである。」

 するとニコデモは、「どうして、そんなことがありえましょうか」と言った。

 イエスは答えて言われた。「あなたはイスラエルの教師でありながら、こんなことが分からないのか。はっきり言っておく。わたしたちは知っていることを語り、見たことを証ししているのに、あなたがたはわたしたちの証しを受け入れない。わたしが地上のことを話しても信じないとすれば、天上のことを話したところで、どうして信じるだろう。天から降ってきた者、すなわち人の子のほかには、天に上った者はだれもいない。そして、モーセが荒れ野で蛇を上げたように、人の子も上げられねばならない。それは、信じる者が皆、人の子によって永遠の命を得るためである。

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