緑茶を飲む習慣は長寿につながる!

 薫り高く、心を落ち着かせてくれる「緑茶」。緑茶はおいしいだけでなく「健康にいい」という認識を多くの人が持っています。「緑茶はダイエットに効くらしい」「緑茶でうがいすると風邪の予防になる」といったことを聞いたことがある人も少なくないはずです。


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 近年、緑茶の健康効果についての研究が国内外で進行しており、緑茶に秘められた健康パワーが次々と明らかになっています。2015年5月には、緑茶を飲む習慣が死亡リスクを減らし、長寿につながるという研究結果が国立がん研究センターから発表され、マスコミなどで大きく取り上げられました。

 この研究結果では、最初の段階ではがんや循環器疾患にかかっていなかった40~69歳の男女約9万人を、約19年間にわたって追跡しました。その結果、緑茶を1日1杯未満飲む人を基準にして比較すると、緑茶を飲む量が多くなるほど、死亡率が下がることが明らかになりました。


緑茶摂取と全死亡リスク

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 さらに死因別で見たところ、がんによる死亡リスクには男女とも有意な関連は見られなかったものの、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患では緑茶を摂取する量が多くなるほど危険度が有意に低下しました。


「カラダにいい緑茶」が飲まれなくなっている!

 緑茶の健康効果が次々に明らかになり、緑茶を使った健康志向の食品・飲料が登場する一方で、緑茶を飲む習慣が失われつつあるのも今の日本の現状です。お茶と言えば、かつては訪問先では必ず茶托に載った湯飲みが出されたものです。ところが最近はペットボトル飲料が出されることが多くなりました。家庭でも、急須で丁寧にお茶をいれる習慣が減っています。

 静岡県立大学茶学総合講座、岩崎研究室が2014年に20~60代の男女1000人を対象に行った「急須でいれた緑茶に関する意識調査」によると、緑茶を飲む頻度については半数近くの49.0%が「ほぼ毎日飲む」と回答しています。一見高いようにも見えますが、逆に言うと半数以上の人が毎日緑茶を飲んでいないのです。

 普段の飲み方も、20代から30代では、「急須でいれる」より、「ペットボトルで緑茶を飲む」人の方が多数派です。若い世代で「急須離れ」が進んでいることがわかります。

 実際、日本での緑茶の生産量と、国内消費量は減少傾向にあります。農林水産省の統計によると、2015年の荒茶(仕上げ茶の前段階のもの)の 生産量(全国)は7万9500トンと前年に比べ5%も減りました。

 緑茶にはさまざまな健康効果があります。値段が安く、量も摂取しやすい緑茶――こんなスグレモノを活用しない手はありません。


緑茶の良さが忘れられている

 緑茶の健康効果は欧米諸国でも注目されています。1998年にアメリカ健康財団のJ.H.ワイスバーガー博士によって『がん予防効果がある』と発表され、近年では、メタボリック症候群予防やがんのステージのどこで効くかなど、研究内容はより細分化していっています。

 緑茶の機能性研究は世界各国で進行する一方で、緑茶は日本人にとってはあまりにも当たり前すぎて、その良さが忘れられているのかもしれません。

 緑茶に含まれる「カテキン」「カフェイン」「テアニン」といった成分による複合的な働きによるもので、渋みと苦み、うまみが重なり合うこれらの健康成分を、急須に茶葉を入れてお湯を注ぐだけで同時に取ることができます。日本茶はあえてサプリメントを取る必要がなく、しかも経済的にもやさしいという、最も身近で健康効果を期待できる飲料です。


緑茶に含まれる主な健康成分と効果

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カテキンは「ポリフェノール」の仲間

 カテキンは、緑茶に多く含まれる、緑茶を代表する“健康成分”です。カテキンは、植物中に数千種類あるといわれる「ポリフェノール」の一種で、緑茶の渋みの主成分です。カテキンという言葉の語源は、インド産のアカシア・カチューという豆科の樹液からとれる“catechu(カテキュー)”に由来しています。緑茶に含まれるカテキンは、1929年に理化学研究所の辻村みちよ博士らによって初めてその存在が明らかにされました。

 カテキン単独ではとても飲めたものではないのですが、緑茶に含まれる他の成分のいい香り、甘み、うまみが重なることによって独特のまろやかなおいしさが出ます。カテキンそのものは白く、緑茶の鮮やかな緑はクロロフィル(葉緑素)によるものです。煎茶にはカテキンが多いのですが、ほうじ茶や番茶にはあまり含まれていません。

 食後に濃い煎茶を飲むと、この苦みが口をさっぱりさせてくれます。カテキンは、通常、茶葉乾燥重量の10~18%含まれ、春先に最初に摘む一番茶に比べて、二番茶、三番茶となるにつれて増加します。ただ、一番茶はうまみ成分であるテアニンが多いため、価格も高めとなります。玉露のように光が当たらないように覆われて栽培されるものは、カテキンの生成が抑えられて煎茶よりも少なくなります。ただ、その代わりにアミノ酸のテアニンが多くうまみが強い緑茶になります。

 カテキンは、とても酸化されやすい成分です。緑茶の場合、製造工程で蒸したり炒ったりという熱処理が行われることにより酸化酵素の働きが抑えられるので、ほとんど酸化しません。しかし、発酵させて作るウーロン茶や紅茶では、酸化酵素の作用がそのまま続くために、“重合”という作用が働いて、カテキンがテアフラビンといった成分に変化するのです。色も赤っぽい色になります。

 ただ、それらのポリフェノールはカテキンと同じような抗酸化パワーを持っているので、総合的に言うと緑茶、紅茶、ウーロン茶の活性は同じぐらいです。ただ、いろいろな種類があるカテキンの中でも含有量が多く、生理活性が高いといわれる「エピガロカテキンガレート」は、発酵を止めて作られる緑茶に最も多く含まれます。


カテキンは“腸活”にも効果あり!

 カテキンの健康効果は幅広くダイエットや、血圧、血糖値の抑制から、抗菌、抗ウイルス効果(インフルエンザ予防)にいたるまで、さまざまな効果があると言われています。その秘密は、カテキンの二つの特徴によるものと考えられています。一つめは、吸着性の強さ。口に含めば虫歯菌にくっつき増殖を抑え、口臭を防ぎます。うがいをすればウイルスが持っている“とげ”に吸着し、ウイルスの体内への侵入を防ぐ。また、飲めば腸内に入って悪玉菌に付着してやっつけます。


茶カテキンの摂取(1日300mg)の腸内菌叢に対する影響

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 1998年にわが国で行われた研究では、介護施設の高齢者15名に茶カテキン100mgを1日3回(1日分のカテキンは300mg、煎茶5~6杯に相当)、3週間摂取してもらったところ、腸の有用菌である乳酸菌やビフィズス菌が増加し、悪玉菌とされるクロストリジウムや大腸菌群は減少しました。


茶カテキン摂取(1日300mg)のヒトの糞便に対する効果

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 腸内環境も、有用菌が増えやすい弱酸性環境に改善されました。胃十二指腸潰瘍の原因菌とされるヘリコバクター・ピロリや、腸管出血性大腸菌O157、耐性菌のMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の殺菌効果もあることが報告されています。コレステロールや脂肪の吸収を緩やかにするダイエット効果にも、この吸着性が関わっていると考えられています。


緑茶は非常に優れた「抗酸化食品」

 カテキンのもう一つの働きは、体内で生まれる活性酸素を消去する抗酸化機能です。私たちは生きるエネルギーを生産するために酸素をつねに必要としていますが、酸素はストレスや紫外線、疲労などによって有害な活性酸素に変化します。体内には、この活性酸素を無毒化するSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という酵素が備わっていますが、40代以降になるとその働きが衰え始めて、活性酸素を処理する働きが低下します。すると、増えすぎた活性酸素が正常な細胞や遺伝子を攻撃し、動脈硬化やがんの発症につながっていきます。

 だからこそ、活性酸素を消去する抗酸化作用を持つ食品を取ることが重要となります。緑茶には抗酸化作用が高いカテキンのほか、同じく抗酸化作用を発揮するビタミンCやEも併せ持つことから、非常に優れた抗酸化食品といえます。


緑茶は「ちょこちょこ飲む」のがベスト

 緑茶として口から摂取すると、大腸に到達するもの以外は、小腸の腸管から吸収されて全身をめぐりながら、活性酸素を中和すると考えられます。ただし、カテキンは体内では異物として扱われるので、いったん吸収されても腎臓を通るときに体外に追い出されます。腸管から吸収される率もごくわずかです。飲んだ後、およそ1~2時間で血中濃度はピークになります。だから、カテキンのパワーをいつも享受するためには、緑茶を机において、ちょこちょこと飲むのがいい、というわけです。
 さらに、カテキンには脂肪燃焼効果があります。血中に出てきたカテキンは肝臓に到達して脂質代謝を活発にします。運動によって脂肪の燃焼を促進させるには、運動前の1~2時間前に緑茶を飲んでおくのがお勧めです。血中のカテキンの濃度が高い状態で運動するので、より効率よく脂肪を燃焼させることができます。また、緑茶に含まれるカフェインも脂肪を燃やす効果が期待できます。

(日経Goodayより要約)
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