ブタの膵細胞 1型糖尿病患者への移植を容認へ

  厚生労働省は、2016年5月27日、これまで禁止していた、動物の臓器や細胞を人に移植する「異種間移植」を、条件を満たせば容認する方針であると発表しました。「異種間移植」は異なる種の間でおこなう臓器移植で、臓器不足の解消につながることが期待されています。


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  人に動物の臓器を移植した場合、強い拒絶反応と機能不全が起こりますが、今年3月、大塚製薬がブタのすい臓から取り出したインスリンを分泌する細胞を、マイクロカプセルに包み移植する「マイクロカプセル化ブタ膵島細胞移植」を開発し、国外で1型糖尿病患者に移植し、拒絶反応や感染症も起きず、血糖値が改善したことを確認しています。

  カプセル化した細胞は、長期間安定してインスリンを分泌するため、1型糖尿病患者は定期的なインスリン注射の負担から解放される可能性もあります。

  海外では、同様の技術を利用した移植手術が、すでに治療に取り入れられている例もありますが、国内では、ブタの遺伝子に組み込まれているウイルスに感染する可能性が高く、除去も難しいとされ、異種間移植は実施されていませんでした。

  しかし、海外の研究発表や手術結果で、このウイルスが人や霊長類に感染した例はないとする報告が相次いでいることをうけ、厚労省は移植手術の指針を見直し、ブタの細胞を移植する異種間移植を容認する方針を決めました。

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 国内初の臨床研究として、国立国際医療研究センター研究所などは、1型糖尿病の患者に、インスリンを分泌するブタの膵島(すいとう)細胞を移植する計画を進めています。

 拒絶反応を避けるため、人の免疫細胞や抗体を通さない特殊な膜でブタの細胞を包み、患者の皮下に移植します。実験用のブタを生産している企業と協力して、ほぼ無菌のブタを供給する仕組み作りも進めます。

 研究グループは2~3年後にも、安全性や動物の細胞を人に使う倫理面について第三者委員会に諮った上で、患者に移植する方針で、同研究所の霜田雅之・膵島移植プロジェクト研究長は「異種移植の実現で、膵島の不足を解消したい」と話しています。

 異種移植をめぐっては、ニュージーランドのベンチャー企業が、ブタの膵島細胞をカプセルに包んだ薬を開発。同国やアルゼンチンなどの1型糖尿病の患者に移植され、効果を確認。脳細胞を使ったパーキンソン病治療の研究もしています。

 異種移植を長年研究している大塚製薬工場の松本慎一特別顧問は「国際学会でもここ数年でルール作りの議論が活発になり、環境が整ってきた」と話しています。

(Asahi Digital、Aging Stileより)



1型糖尿病:膵島(すいとう)細胞が壊れて血糖を安定させるインスリンを分泌できなくなる病気。国内の年間発症率は、10万人当たり1~2人と推計されている。生涯にわたってインスリンを注射する必要がある。膵島を移植する方法もあるが、人からの提供は極めて少ない。
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